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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ
カテゴリ:巻き爪

【専門医のまとめ第7回】巻き爪やさしく解説:爪棘【突然の痛みはコレが原因】

  • 2024.10.02

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪やさしく解説シリーズ、
今回は「爪棘(そうきょく)」について取り上げたいと思います。

爪棘とは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、
突然の激痛ではじまり、適切な手当をするまで、
どんどん痛みが進行していくという非常に厄介な症状を引き起こします。

さらに厄介なのは、ホームケアやお薬は無効で自然治療もほぼないということ。
一旦発症してしまうととても厄介ですが、有効な予防策がない訳ではありません。
そこで今回のブログでは、そもそも爪棘とは何なのか?というところから、
できる理由と治療法、予防法まで詳しく説明していきたいと思います。

ぜひ最後までご覧いただき、
ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.爪棘とは何か?

2.爪棘はなぜできるのか?

3.爪棘の診断

4.爪棘を治すのは簡単!

5.爪棘の予防

6.まとめ


1.爪棘とは何か?

巻き爪の典型的な症状として
「パンプスなどで圧迫された時などにジワッと痛む」というのがありますが、
それがある時、突然鋭い激痛に変わり、触れることさえできないくらいに
ズキズキと激しく痛みはじめることがあります。

ズキズキとした痛み。その原因になるのが爪棘。つまり“爪のトゲ”です。
痛みは突発的かつ強烈で、痛みのレベルで言えば
前回のテーマで取り上げた『肉芽』をさらに上回るほどツライものです。

爪棘の痛みには、進行性というもう一つの特徴があります。

通常、足の爪は月に約1.5ミリのスピードで指先に向かって伸びます。
爪棘は、爪の先端がトゲのようになっている状態。
そのため、爪と同じスピードで指先に向かい、少しずつ肉に刺さっていきます。
まるで身体の中に一寸法師がいて、
縫い針のつるぎで肉を突き刺しているようなものです。

そのため軟膏や飲み薬で様子を見たところで、
まったく改善せず、むしろどんどん悪化していきます。
化膿して真っ赤に腫れ上がったり、肉芽ができたりすることもあり、
最悪の場合、爪棘の先端が指先から飛び出してくることもあるのです。

取り除かれた爪棘

しかもこの痛みというのは、爪棘を取り除くまでずーっと続きます。
何年ものあいだ、セルフケアで凌いできた巻き爪患者さんが、
突然の激しい痛みに耐えきれずに医療機関に駆け込んでくる。
そのもっとも多い理由が、この『爪棘』なのです。

2.爪棘はなぜできるのか?

爪のトゲは自然にできるのではありません。
じつは、患者さん自身が作ってしまっているのです。


その背景にあるのが、巻き爪。巻き爪の患者さんの中には、
爪のくい込みを深爪で回避している方がたくさんいらっしゃいます。
むしろそれが普通と言ってもいいくらいです。
そして多くの場合は、深爪で痛みがなくなります。

しかし、自分の足の爪を切るのは意外と難しいもの。
理由としては手の爪に比べて、厚くて切りにくい、
遠くて見えづらい、身体が硬いと届きにくい、など。
特に炎症による腫れや痛みがある状態で、
家庭用の爪切りで正確に切るのは至難の業です。

そうした状況の中で、運悪く爪の一番深い所を切り残してしまうことがあります。
そこで残った爪を引き抜くように取り除こうとすることで、
爪の角がトゲ状に残る⇒これが爪棘誕生の瞬間です!
そして、直後~翌日あたりから激しい痛みに見舞われます。

3.爪棘の診断

爪棘の治療をする上で求められるのは、
当然ながら速やかに激しい痛みを取ることです。
そのために医師に求められるのが、正確な診断能力と的確な処置を行うスキル。

よくある「軟膏やテーピングで様子を見ましょう」というやり方は、
爪棘にはまったく通用しません。それは爪棘の症状は突発的かつ進行性だから。
患者さんの痛みは数日の間にドンドン悪化してしまいます。
患者さん側には経験のある医師を選ぶことが求められるのです。
そのため、医師も患者さんも爪棘の特徴についてよく知っておく必要があります。

1.病歴の特徴

爪棘は、長年『巻き爪』で悩んでいた患者さんによく見られます。
こうした患者さんは痛みを深爪で凌いできたケースが多いです。
痛みが出る数日前に爪を切ったというエピソードもよく聞きます。


痛みの原因が思いつかないという患者さんでも
こちらから「直前に爪切りをしませんでしたか?」と尋ねると、
「たしかに、2日くらい前に気になって爪を切りました。考えてみればその後、急に痛みが出てきたかも」と答える方が多いのです。

2.痛む方向の特徴

巻き爪は、爪の横が皮膚に食い込むため、
横方向から皮膚を押すと爪の脇の皮膚が痛みます。
一方で爪棘は、爪の先端に小さなトゲがあるため、
指先の方から皮膚にちょんと触れるだけで、
その部分が針で刺されたような鋭い痛みを感じます。

3.痛む場所の特徴

巻き爪は、一般的に爪の中央付近から先の方にかけて痛みがあります。
爪棘では、指先の部分に集中した鋭い痛みがあるのが特徴です。

診察をする際、医師が不用意に患部に触れると
患者さんは飛び上がるほど痛いので
医師は指先だけで痛みの方向や場所を確認することが大切です。

そして、患者さん自身の指で軽く触れていただき、
横からと先から、どちらか痛いですか?
どの辺が痛いですか?とひとつ一つ尋ねながら診断します。

爪棘が放置されると、膿を伴う化膿性炎症になって指全体が腫れたり
肉芽の中に爪棘が埋まっていることもあります。それが更に進行すると、
爪棘の先端が皮膚を突き抜けて飛び出してくることもあります。

他院手術例

特殊な爪棘の例として、深爪とは無関係に生じるものもあります。
巻き爪の根治術後に生じるもので、爪母の取り残しなど不適切な手術が原因。
今回、取り上げている通常の爪棘とは症状・予後共にまったく異なります。
根治術の再手術が必要ですので、手術を担当した医師にご相談下さい。

4.爪棘を治すのは簡単!

爪棘に対して、内服薬や軟膏の効果は気休め程度にしかなりません。
テーピングや巻き爪ワイヤー矯正は、むしろ症状を悪化させます。
肉芽であっても冷凍凝固は無効です。

明らかな爪棘にそうした治療を勧められたら、ただちに次の病院を探しましょう。

Q.では、爪棘を治すにはどうしたらいいの?

これはとてもシンプルです。爪のトゲを切り取れば良いのです。
的確に判断して速やかに爪棘を切ること。それ以外の方法はありません。
爪棘は医療用の鋭いニッパーで切り取りますが、
それには二つの方法があります。

■方法①/簡易手術

巻き爪シリーズで何度も説明してきた簡易手術。
局所麻酔注射をして、爪の端を幅2-3ミリ切除すると同時に爪棘を取り出します。

■方法②/爪甲除去

局所麻酔をして、あるいは麻酔なしで爪棘だけを切りとります。
肉芽を伴っていたり、炎症範囲が広い場合は簡易手術。
症状が指先先端に限局する場合は爪甲除去が適切です。
簡易手術について過去の動画で詳しく説明しています。

▼是非そちらをご覧下さい▼

【巻き爪まとめ第3回】やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】

処置の痛みとして最も楽なのは意外にも麻酔なしでの爪甲除去です。
理由としては、指先へ痛い注射をせずに済むからです。
爪切り自体より、麻酔注射のほうがむしろ痛いと判断されるケースでは無麻酔でおこないます。

じつは、ほとんどのケースで麻酔なしで爪甲除去が可能です。
ただし、無麻酔での爪甲除去を痛みなく終わらせるには
高い診断能力と熟練の技が要求されます。
また腫れが酷い場合や、患者さんの不安が強い場合は 注射による局所麻酔をおこないます。

5.爪棘の予防

爪棘は一旦作ってしまうと厄介なので、予防がとても大切です。

聞いたことがある方も多いと思いますが
巻き爪では、爪はスクエアに切りましょうとよく言われます。
爪の角を切らない、角を深爪しないように、ということです。
誤解が非常に多いのですが、爪をスクエアに切っていれば
巻き爪が治るということでは決してないのでご注意ください。

あくまで角をスクエアに保てば深爪にならないので
少なくとも爪棘を作って急激に悪化することはないというのが本当のところです。

とにもかくにも爪切りに気をつけることで
突然の激痛に見舞われるリスクは回避することができるでしょう。
旅行などの大切なイベントの直前に
突発的に激しい痛みに見舞われることはぜひ避けたいものです。

旅行や運動の直前に、深爪をすることの危険性をぜひご理解下さい。

6.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

巻き爪シリーズ第7回の今回は爪棘について説明させていただきました。
冒頭で、爪棘は何年にも渡って巻き爪を深爪で凌いできた患者さんに多いとお話ししました。

患者さんは決して好んで深爪をしているわけではなく、
あくまで巻き爪のくい込みを回避しようと深爪し、時に失敗して爪棘を作ってしまうのです。

最悪の事態に陥る前に、早めにワイヤー矯正などで治療されることをお勧めします。
また爪棘を作ってしまった場合でも、治療により痛みが落ち着いたら同様に治療を検討して下さい。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

お電話でのご予約・お問い合わせ

電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【専門医のまとめ第6回】巻き爪やさしく解説:肉芽を簡単に直す方法【ホームケアと治療】

  • 2024.09.11

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
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巻き爪やさしく解説シリーズ。今回は痛くて辛くて直ぐに治したいのに、なかなか治らない、あのいや~な肉芽について取り上げます。

「肉芽ができる本当の理由とは?」

「なぜあんなにも治りにくいのか?」

など

肉芽の本質にせまり、すばやく確実に退治する方法を説明したいと思います。
ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.肉芽とは何か?

2.なぜ不良肉芽ができるのか

3.肉芽を治すのは簡単!

4.正しい肉芽ホームケア

5.病院での肉芽治療

6.簡易手術とは/a>

7.肉芽の予防

8.まとめ


1.肉芽とは何か?

巻き爪・陥入爪が悪化するとできる、赤くて痛い肉の塊、あれがいわゆる「肉芽」です。
「にくめ」とか「にくが」と呼ぶ人も居ますが、正式には「にくげ」です。

皆さまの中には、肉芽の辛さを身に染みてご存じの方も多いでしょう。
痛くて血が出るし、なかなか治らない「とっても嫌なヤツ」というイメージですよね?

でも、じつは肉芽にも『善玉』と『悪玉』があるのをご存じでしょうか?

■善玉肉芽について

肉芽のイメージとは正反対にキズを速やかに治す働きがあります。
善玉肉芽は血流が豊富で鮮やかな赤色です。
痛みもなく、盛り上がらずに速やかに上皮に覆われてしまうので、あまり目にすることはないと思います。

例えばホクロをレーザーでえぐって深いキズになると、まず善玉肉芽が作られ凹みを埋めます。
次に肉芽中の線維芽細胞がコラーゲンを作り、やがて肉芽全体がコラーゲンへ置き換えられます。
また、肉芽表面は豊富な血流と適度な潤いがあり、周辺から上皮細胞が移動するのを助けます。
このように肉芽が傷跡の組織に置き換わる治り方を「瘢痕(はんこん)治癒」と言います。

■悪玉肉芽について

一方で巻き爪の皆さんを苦しめるのは、悪玉肉芽のほうです。

我々医師は、善玉肉芽を単に「肉芽」、悪玉のほうを「不良肉芽」と呼んで区別します。
不良肉芽は血流が乏しいので色が悪く、表面に細菌感染を伴っていて膿を含んだ浸出液がたくさん出ます。コラーゲンへの置き換わりも遅く、表面に上皮細胞が伸びて来にくいので治りも悪い。

深い火傷や床ずれなどの時に現れて、治癒を遅らせる“やっかいもの”です。

症例写真巨大肉芽

巻き爪でできる不良肉芽の特徴は、爪の刺激を受け続けることで巨大化すること。
強い痛みがあり、歩きにくかったり、靴が履けなくなったりします。

また、出血や浸出で靴下を汚し続けます。
数ヶ月から数年、時には10年以上も居座り続けることがあります。

2.なぜ不良肉芽ができるのか

身体は早くキズを治そうしているはずなのに、なぜ不良肉芽を作ってしまうのでしょう?

不良肉芽というのは、

じつは身体がキズを治そうとする過程で生じるエラーによる不良品なのです。

キズの治りが何かの原因で妨害され、治癒に遅れが生じることが引き金になります。

遅れの原因が取り除かれなければ、身体は無理にでも治癒を進めようとします。
悪条件の中で懸命に肉芽を作ることで、エラーが生じて不良肉芽が作られてしまうのです。
不良肉芽は、キズを治すのに役に立たず、むしろ邪魔になるため治癒がますます遅延します。
原因が取り除かれないとエラーの悪循環に陥り、治癒は大幅の遅れることになります。

キズの治りを妨害して、治癒を遅らせる原因として最も多いのは異物です。

▼例えば▼

・爪や毛
・壊死組織などの血流のない生体組織
・ガーゼやコットンの切れ端
・手術用の糸などの医療材料
・砂粒
・植物のトゲや魚の骨など自然由来の物 など

異物以外にも細菌感染や血流障害、消毒液の細胞毒性も治癒を妨害する原因となります。

きっかけキズ症例写真

ここで、巻き爪で肉芽が作られる過程を見てみましょう。

はじめに深爪やきつい靴を履くことでキズができ、炎症が起きて腫れが生じます。
足はむくみやすいので腫れとあいまって、くい込みが厳しくなります。

爪棘症例写真

くい込みを深爪で解決しようとして切り損ねてしまい、爪のトゲ爪棘を作ってしまうこともあります。
これら爪の刺激が1つ目の原因としてキズの治りが遅らせ、エラーの引き金が引かれます。

身体がなんとか早く治そうとして不良肉芽を作りはじめます。そして肉芽のボリュームで、ますますくい込みが激しくなる。

これが2つ目の原因になります。

肉芽症例写真

歩行による刺激が3つ目の原因となって歩く度に肉芽を刺激し、悪循環が完成し、肉芽が巨大化します。

“キズを濡らすとバイ菌が入るという誤解”からキズを洗うのをためらい不潔になります。
不潔にすると細菌感染が生じ、4つ目の原因になります。治りが悪いのはバイ菌のせいだからと消毒液をつけ、その細胞毒性が5つ目の原因になります。

消毒液は細胞毒であるだけでなく感染もコントロールできませんが誤解から使い続けてしまいます。

かぶれ症例写真

消毒液カブレがおきて6つ目の原因になります。

慢性肉芽症例写真

このように様々な原因が重なりあって、状況が複雑化、深刻化するのです。
これが巻き爪で肉芽が作られ、慢性化していく典型的な経過です。
こうなると適切な治療をしなければ肉芽地獄から抜け出すのは非常に困難になります。

3.肉芽を治すのは簡単!

では、肉芽地獄から脱するにどうしたらよいのでしょうか?

ご安心ください。じつはとてもシンプルなのです。

エラーの原因をすべて取り除き、キズが治りやすい環境を整えさえすれば肉芽は速やかに縮んで消えてなくなります。

それなのに、なぜ巻き爪の肉芽はあれほどまでに治りにくいのでしょうか?
それは原因を取り除く事ができず、エラーの悪循環から抜け出せていないからです。
正しいアプローチをしなければ、治癒には結びつきません。

4.正しい肉芽ホームケア

肉芽できても、忙しかったり病院が遠かったりして、すぐに受診できるとも限りません。
辛い肉芽を早く治すために、まずは以下のホームケアを試してください。
大切なのは、先ほど申し上げたキズの治りを遅くしている原因を取り除くという考えです。

●圧迫をさける

圧迫による爪のくい込みはキズを作るきっかけでありエラーの原因でもあります。
パンプスやストッキング、パンプス用のフットカバー、タイツは避けましょう。

●安静にする

腫れとむくみを抑えることで爪のくい込みを和らげます。
散歩やスポーツ、長時間立ち続けることを控え、可能な範囲で安静にしましょう。
帰宅後に足に下にクッションを入れて横になることもおすすめです。
通勤や仕事で難しい場合は、週末の安静だけでも効果的です。

●清潔にする

1日1〜2回石鹸と湯で足全体を洗い、浸出液、古い軟膏やコットンの切れ端を綺麗に洗い流します。
足ごと風呂の湯につけても良いですし、抵抗があるなら足湯もおすすめです。
キズを濡らすとバイ菌が入るという考えは“まったくの誤解”ですので今すぐ忘れて下さい。

●消毒はしない

細胞毒性がエラーの原因になります。

これも誤解が多いのですが、そもそも消毒液ではキズは充分清潔にはならないのです。

●コットンパッキング

爪の刺激を和らげるためにコットンパッキングは有効です。

●テーピングをする

肉芽があると困難ですが、爪の刺激を和らげることができます。

●飲み薬を飲む

腫れを抑えるためにロキソニンなどの消炎鎮痛剤が有効です。

●軟膏を塗る

ゲンタシン軟膏やドルマイシン軟膏など、ワセリン基剤の軟膏を、キズではなく、バンドエイドのパッドに塗り、キズを優しく覆いましょう。

ハンドエイドが汚れたら小まめに取り替えます。軟膏はテープを貼りにくくするので日中テーピング、夜間は軟膏処置と使い分けるのがおすすめです。

ホームケアの具体的なやり方については、こちらの動画をご覧下さい。

うまくすればホームケアだけで落ち着いてくれるかも知れませんが、2週間試しても変化が無い、あるいは悪化する場合は皮膚科や形成外科を受診して下さい。

5.病院での肉芽治療

病院では、担当医師の考えに基づいて様々な肉芽治療が行われます。
ここでは病院でよく行われている肉芽治療について説明します。

●飲み薬と軟膏

ホームケアで説明した消炎鎮痛剤内服のほか、感染コントロールのために抗生物質内服薬を使われます。
免疫抑制による肉芽縮小を目的にステロイド軟膏を使うこともあります。ただし、こうした薬による治療はあくまで補助的なものであり、単独で肉芽を治療することは困難です。

また、内服薬や外用薬を別の種類に変更しても状況が改善することはありません。

●冷凍凝固

マイナス196度の液体窒素を肉芽に接触させて壊死させる方法です。
痛みが強く、繰り返し施術が必要で、効果も不安定です。

ガター法は、シリコンチューブを爪の端に被せて、当たりを柔らかくする方法ですがチューブの分ボリュームが大きくなり更なる刺激を生み出します。

人工爪は食い込んでいる爪をアクリル樹脂で延長することで刺激を和らげる方法です。ガター法同様、刺激自体は無くなりませんし、使用される薬剤HEMA ヒドロキシエチルメタクリレートの組織刺激性、細胞毒性は肉芽の原因になりえます。

この記事をご覧になっている方の中には何ヶ月も通院したけど一向に治らない、そんな経験のある方も少なくないのではないでしょうか。

病院で治療を受けても肉芽がなかなか治らないのには、理由があるのです。

先ほど挙げた治療法は、どれもキズの治りを遅くしているエラーの原因を取り除けていないからです。そんな時は一つの病院にとどまらず、1ヶ月を目処に、別の医療機関で相談してみることをおすすめします。

なお、神楽坂肌と爪のクリニックでは先ほどの肉芽治療のうち、お薬以外はどれも行いません。
意外だと思われるでしょうが、私達は“肉芽自体に触れること”さえしません。
巻き爪の不良肉芽は爪の刺激によるエラーの結果に過ぎないと考えているからです。
私達は積極的にエラーの原因である食い込んだ爪を取り除く簡易手術を行っています。
原因さえなくなれば、肉芽は放っておいても速やかに小さくなり、やがてなくなります。非常にシンプルなのです。

6.簡易手術とは

神楽坂肌と爪のクリニックで行っている簡易手術とは、bbiiiouu一般的には『部分抜爪』と呼ばれる方法です。局所麻酔をして、肉芽を刺激している爪を3、4ミリの幅で切り取ります。

痛みは直後から激減し、10日程で肉芽は自然に縮んで消えてなくなります。
先ほども言いましたが、肉芽を切ったり焼いたりせず、触れさえしません。
なぜなら、肉芽を除去すると術後の出血と痛みが激しくなるからです。
爪の刺激がなくなりさえすれば、肉芽は速やかに消えてしまうので除去する必要さえないのです。

■簡易手術最大のメリットとは!

それは、速効性と確実性です。
ただし、簡易手術をしても数ヶ月から数年おきに肉芽を繰り返す方もいらっしゃいます。
そんな方には、再発に強い『根治手術』という方法もあります。簡易手術、根治手術については過去動画で詳しく紹介しておりますのでぜひご覧下さい。

なお、ワイヤー矯正法は肉芽を悪化させることがありますので、肉芽治療には原則行いません。

7.肉芽の予防

ここまでご覧いただいた方には、予防法については、説明するまでもありませんね。
肉芽はキズを治そうとする過程で生じるエラーによる不良品なのですから、エラーの原因をすべて取り除けば、肉芽は予防可能なのです。

まずは、圧迫や深爪で肉芽のきっかけになるキズを作らないことが何より大切です。
キズができてしまったら、先ほど説明したホームケアで正しい手当をしましょう。
それでも肉芽ができてしまったら、2週間を目処に皮膚科や形成外科を受診します。
そこで1ヶ月しても改善が見られなければ、次の医療機関で相談することです。
これだけで長期間肉芽に苦しむことはなくなるでしょう。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第6回の今回は、肉芽について説明させていただきました。

痛くて治りにくい肉芽ですが、正しいアプローチをすれば速やかに治せることが
この記事を通してお分かりいただけたのではないでしょうか。

一日でも早く肉芽を治して、気持ちの良い一歩一歩を取り戻していただけたら幸いです。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

お電話でのご予約・お問い合わせ

電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
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  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
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<詳しいプロフィールはこちら>

【専門医のまとめ第5回】巻き爪やさしく解説:巻き爪ワイヤー矯正編【無痛&速効性】

  • 2024.08.22

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪シリーズ、第5回の今回はワイヤー矯正について詳しく説明します。

巻き爪治療と言えば辛い痛みがつきものですよね?触れられるだけでも痛い巻き爪です。「その治療が痛くないはずがない」…そうお考えの方も少なくないと思います。

でもご安心を。ワイヤー矯正なら治療の痛みはまったくありません。ゼロです。しかも、痛みは99%以上のケースで治療開始5日以内に消失または激減します。

今回はそんな凄いワイヤー矯正について実際の施術動画も交えて詳しく説明いたします。ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪ワイヤー矯正とは何か?

2.巻き爪ワイヤー矯正は他の矯正法とどう違うのか?

3.超弾性ワイヤー矯正とは?

4.神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正

5.ワイヤー矯正の実際

6.治療の流れ

7.ワイヤー矯正の問題点

8.まとめ


1.巻き爪ワイヤー矯正とは何か?

巻き爪ワイヤー矯正とは、爪にあけた穴に特殊な金属線を通し、金属線の力で爪の形を徐々に整え、痛みや圧迫感を取り除く方法です。

神楽坂肌と爪のクリニックでは、巻き爪で来院された患者さんに、ワイヤー矯正と前回の動画で説明した根治手術を中心に提案しています。

その際、どちらかへの誘導にならないよう気をつけています。あくまでも、フェアに、とくにデメリットを中心にご説明することで、患者さん自身に治療法を選んでいただくようにしています。

結果として、9割以上の方が『ワイヤー矯正』を選択されます。

■ワイヤー矯正の特徴

ワイヤー矯正の最大の特徴は“無痛”であること、そして速効性です。

「爪に穴をあけるのが痛そう…」とよく言われるのですが、実際はまったく無痛です。手術のような安静も必要なく、当日からハイヒールで歩いたり、走ることもできます。そして施術直後、あるいは遅くとも5日以内に99%以上の患者さんに痛みが激減・消失します。治療前は半信半疑だった患者さんも、本当に無痛であること、そして直ぐに痛みが取れることに大変驚かれます。

■ワイヤー矯正の欠点

欠点を挙げるとすれば、健康保険が効かないため費用が高いこと、そして根治手術と比べて再発に弱いことでしょうか。これは次に説明するワイヤー以外の矯正法もおなじです。

■治療費の相場

医師が施術する場合、治療費の相場は材料費込みで1回あたり5000円〜1万円ほどです。神楽坂肌と爪のクリニックで巻き爪矯正1クール、当院では4回ワイヤーを入れ替えながら半年間矯正すると、治療費総額は4万円ほどになります。

再発については後ほど説明します。

2.巻き爪ワイヤー矯正は他の矯正法とどう違うのか?

巻き爪矯正には使用する器具の違いによって、以下のような種類があります。

超弾性ワイヤー、巻き爪マイスター、VHO、BSスパンゲ、巻き爪クリップ。肌と爪のクリニックでは、ここに挙げた矯正法のすべてを取り扱っていますが、私自身が実際治療に使ってみて感じた特徴を表にすると以下のようになります。

今回、巻き爪ワイヤー矯正としてお話ししているのは、表でいう左端の超弾性ワイヤーによる矯正です。これは、私の知人であり尊敬する『町田英一博士』がマチワイヤー法として1999年発表された方法。ご覧のように、超弾性ワイヤーが総合的に最も優れています。そのため当院では、99%の患者さんに超弾性ワイヤーを使用します。また、全国の医療機関で、もっとも広く普及しているのもこの方法です。

3.超弾性ワイヤー矯正とは?

巻き爪矯正のワイヤーはニッケルチタンという特殊素材。ニッケルチタンは形状記憶合金として有名です。巻き爪矯正に使われるワイヤーは、常温で直線になるよう記憶させたもので、その温度帯で超弾性という非常にしなやかな性質を有しています。

超弾性ワイヤーを爪に開けた穴に通して、巻き爪のカーブに沿わせて固定すると、ワイヤーが直線の戻ろうとする力によって爪が引っ張られ、形が真っ直ぐに整えられるのです。

特徴はなんといっても適応範囲の広さです。爪の穴に単線を差し込むという非常にシンプルな構造で、矯正力の調整も自在なため、薄くデリケートな爪から分厚く硬い爪、軽い変形からひらがなの「“の”の字」に巻いた高度変形まで、あらゆる巻き爪をカバーします。コンパクトに爪と一体化するため、とくに意識することもなく、いつも通りの日常生活をおくることができます。パンプスを履いたり、スポーツをやったりできることはもちろん、空港セキュリティゲート通過やMRI検査も問題ありません。

4.神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正

神楽坂肌と爪のクリニックのワイヤー矯正の最大の特徴は、その症例数にあります。

年間で5,000件、累計5万件以上施術しており、これは世界有数の施術実績です。

小さなクリニックではありますが、巻き爪矯正のスペシャリストとして、東京大学医学部附属病院や三井記念病院などの総合病院をはじめ、都内各所のクリニックから多数の紹介患者さんを受け入れています。もちろん、ご紹介がなくても当院に直接お問い合わせいただいても結構です。

もう一つの特徴として採用しているワイヤーとツールがあります。我々が独自に開発した『オニックスワイヤー®』という製品です。使いやすさと優れた治療実績から、最近採用する医療機関が増えています。本記事をご覧の医師の方で、興味をお持ちの方はこちらをご覧ください。

5.ワイヤー矯正の実際

オニックスワイヤーを使って施術している動画をご覧いただきます。

当院では、患者さんにご安心いただくために座った状態で施術します。ご自身の施術の様子を、目の前でご覧いただけます。当院で矯正を受けた患者さんであれば、この動画が決して早回しではないことがお分かりいただけるはずです。

過去に、他の病院や巻き爪治療院でワイヤー施術を受けていた患者さんから「前のところでは、すごく時間がかかった」「とても痛かった」という話しを伺ったことがあります。しかし、ご覧いただいているように、巻き爪ワイヤー矯正は正しくおこなえば、1分程で終わります。そして、まったくの無痛なのです。

ワイヤー矯正動画は、当院以外のものもYouTubeでいくつも見ることができます。

ぜひ「巻き爪 ワイヤー矯正」で検索して、比べてみて下さい。

6.治療の流れ

巻き爪ワイヤー矯正はワイヤーの力で徐々に形を整える治療です。急激に力を加えると爪が欠けたり、爪が剥がされて内出血をしたりすることがあります。また痛みが取れてからといってすぐに外すと後戻りしやすいです。

当院では半年くらいかけて徐々に爪の形を矯正していきます。通常は初診当日に矯正を開始します。開始直後はワイヤーが取れやすいので一週間後に再診していただきます。その後は6週おき通院していただき、その都度、爪切りとワイヤーの交換をおこないます。概ね半年後にワイヤーを外しますが、爪が硬い方や変形が強い方は1年位のこともあります。

7.ワイヤー矯正の問題点

ワイヤー矯正の優れた効果について説明してきましたが、ここで問題点について説明します。

1.再発が多い

我々の経験では、矯正1クールを終えた患者さんの約3割が再発で受診されます。根治手術の再発がほぼゼロであることを考えると、非常に多いと言えます。

再発が多い理由としては、

こちらの動画で説明したような巻き爪の原因が、治療後も取り除かれないため治療前と同じ理由で爪が巻いてしまうのです。

再発された方の99%以上が矯正再開を希望され、根治手術への変更を希望される方は、ほぼゼロです。

これはワイヤー矯正が無痛であることと速効性が評価されてのことだと思います。ワイヤー矯正は巻き爪と徹底的に闘うと言うより、日々一歩一歩を気持ち良く歩けるようになることが治療の目的と考えるべきなのかもしれません。

2.爪割れ、外力による脱落

亀裂脱落症例写真

つま先は外力を受けやすい部分であるため、ワイヤーは常に衝撃や荷重、摩擦、湿気に晒されます。厳しい条件の中、約3%の患者さんで爪が割れたり、接着が外れたりしてワイヤーが脱落します。そしておなじ患者さんで、何度も繰り返し外れる傾向があります。また、脱落してもご自身でワイヤーをつけることはできません。治療継続には来院が必要であり、患者さんの負担になることがあります。

3.取扱い医療機関が少ない

巻き爪ワイヤー矯正は非常に優れた方法であり、四半世紀もの歴史があります。にもかかわらず、いまだに皆さんが近隣の病院で手軽に受けられるほどは普及していません。

他院矯正症例

この理由として、医師のスキルによる治療成績のバラツキがあると考えています。安定した結果が得られないことが施術医師や患者さんの不信を招き、普及の妨げになっているのです。ご覧のケースは、治療途中で他院から転院されてきた患者さんたちで、2年以上続けてもまったく改善しないとか、ワイヤーが飛びだして危険というケースさえあります。

他院矯正例の当院やり直し例

こうした患者さんには、当院でオニックスワイヤーを使っての矯正のやり直しをおこないます。オニックスワイヤーは、医師が巻き爪矯正に取り組みやすい環境と整え、安定した治療成績が得られることを目的に開発されました。ワイヤー矯正の普及により、一人でも多くの患者さんが痛みから解放されることを願ってやみません。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第5回の今回は、ワイヤー矯正について説明しました。

ワイヤー矯正に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、お近くの取り扱い医療機関、または当院までお気軽にお問い合わせください。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【専門医のまとめ第4回】巻き爪やさしく解説:根治手術編【元から絶つ・保険適応】

  • 2024.07.17

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪シリーズの第3回『簡易手術編』で、即効性と確実性が特徴の簡易手術について解説しました。

巻き爪シリーズ・第4回となる今回は『根治手術』について詳しく説明します。

「根治」とは再発しないように根本から徹底的に治すという意味です。

その名の通り、根治手術は一度受ければ再発することはありません。痛くて辛いだけでなく、再発が多いことでも知られる巻き爪・陥入爪でそんなことが可能なのか・・・

じつは可能なのです。

今回はそんなスゴイ根治手術について、実際の施術動画を交えながら詳しくご説明いたします。ぜひ最後までご覧いただき、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.治療の選択肢

2.根治手術の種類

3.神楽坂肌と爪のクリニックの根治術

4.根治手術の実際を解説

5.手術後の経過

6.根治手術のリスク

7.まとめ


1.治療の選択肢

神楽坂肌と爪のクリニックでは毎日たくさんの患者さんが受診されますが、その内のじつに6割以上が巻き爪の患者さんです。

重症・軽症に関わらず、患者さんが積極的治療をご希望の場合は根治手術かワイヤー矯正を提案し、患者さん自身で選んでいただきます。

■根治手術とは

食い込んでいる爪とその爪母を除去する方法です。特徴は、“再発がほぼゼロ”という根治性と確実性。再発をどうしても避けたいという方やI型陥入爪で簡易手術を何度やっても再発を繰り返してしまう方におすすめします。欠点は術後3日間もの自宅安静が必要なことで速効性に欠ける治療です。

安静と再発率については術式や医師によって異なりますので直接主治医にご確認下さい。健康保険が使えるので費用は8000円程。効果は一生持つため経済的な治療と言えます。

■ワイヤー矯正とは

器具を使って爪の形を整える方法で麻酔や切除は不要です。特徴は、無痛であることと速効性。「痛い手術は絶対いやだ」「3日間の安静はムリ」とおっしゃる方に人気があります。ワイヤー矯正の欠点としては、根治手術と比べて再発が多いことと、保険が効かないので費用が高額なことが挙げられます。

ワイヤー矯正については以下の動画で説明していますが、

次回の『巻き爪シリーズ第5回』であらためて詳しく説明する予定です。

2.根治手術の種類

根治手術には主な術式として「鬼塚法」「児島法」「フェノール法」があります。

■鬼塚法

鬼塚法

鬼塚法は私の恩師でもある鬼塚卓弥博士が考案した術式で、最も一般的な方法です。

シンプルな手術ですが、爪母以外に『側爪郭』という爪の横の皮膚も同時に処理することで再発リスクを下げています。組織損傷がやや大きいことが欠点として挙げられます。

■児島法

児島法

児島法は小さな切開から爪母のみを切除する方法で、鬼塚法同様広く行われています。

組織損傷の少ないため術後の痛みや合併症リスクが軽減されます。欠点は医師にある程度のスキルを要求し、視野が狭く切除が不十分になりやすいところです。

■フェノール法

フェノール法

フェノール法は爪母を切り取る代わりにフェノールという腐食性薬剤で変性させます。

メスを使わないので手術スキルが不要で、当日から歩行できるメリットがあります。欠点は、爪母処理を薬剤の接触時間でコントロールするので不確実になりやすいところです。

なお、これらの術式は医師の責任で選択されるものであって患者さん自身で選ぶことはできません。

患者さんが選べるのは術式ではなく、医師や病院ですので術式が気になる方は事前にホームページなどで調べてから受診するようにしてください。

3.神楽坂肌と爪のクリニックの根治術

実は神楽坂肌と爪のクリニックで行っているのは、先ほどの3つの代表術式とは違う方法です。

部分的Zadik法

部分的Zadik法という独自の方法で、根治性つまり再発しないことを追求した術式です。広い視野から責任爪母を直接、目で確認し、確実に切除します。

手術前
手術後

このため再発がほとんどなく、私は患者さんに再発率は1%以下、ほぼゼロと説明しています。25年前からやっているのですが、10数年前に学会発表しただけで論文にしなかったのでまったく普及していないというのが現状です。

ご覧になっている医師の方でこの術式に興味をお持ちの先生がいらっしゃいましたら、私の著書である最強巻き爪矯正テクニックに詳しい記載がございますのでぜひご一読下さい。

独自の方法ではありますが、私だけで25年以上・2000件以上の実績があります。

現在も、年間に80〜100件ほど行っていますが、ここ10年再発は経験していません。この数字から、再発率のかなり少ない術式と言えると思います。

4.根治手術の実際を解説

実際の施術を動画でご覧いただきます。
※実際の手術の様子は、動画の5:14からご覧ください。

まず、局所麻酔の注射をします。
根治手術では指全体が痛みを感じなくなる指神経ブロックを行います。指には時計でいう2時、4時、8時、10時の方向に神経が走っていますので、根本付近に針を刺したら順番にこれら神経を麻酔していきます。10分経つと手術が可能でそのまま2時間ほど効果がつづきます。その間、指は正座後の足の裏のような痺れた感覚になり、痛みはまったく感じません。

よく「以前の手術で麻酔が効かなかった」とか「医師から麻酔が効きにくい体質と言われた」とおっしゃる患者さんもいますが、じつはそのほとんどは医師の麻酔テクニックに起因するものなのです。経験のある医師が行えば、手術中はまったくの無痛ですのでご安心を。

手術はまず食い込んだ爪を食い込む幅だけ切り取ります。ここは前回の動画で紹介した簡易手術とまったく同じです。

部分的Zadik法では爪の切り取り線の延長線を、指の付け根に向かって皮膚切開します。関節の手前で90度折れてL字型にします。このL字型に後爪郭稜線の切開を繋げて扉の様な形にします。この扉を『皮弁(ひべん)』と言います。

次に皮弁を爪母の深さで剥がして扉を開くように持ち上げると「角(horn)」と呼ばれる爪母の一番奥と側縁が確認できます。ここで爪母を最初に切り取った爪の幅で、一番奥から半月まで骨の深さで切開します。この切開は半月の先で90度折れて、皮弁に連続させます。

次に完全に見えるようになった責任爪母を指先の方から付け根に向かって骨の深さ剥がします。先ほどの爪母の「角」部分は靱帯で骨にくっついているのでしっかり剥がします。「角」はケースによってはかなり深いことがあり、どの術式でも取り残しのリスクが一番高い部分なので特に慎重に行います。最後に残った爪母の一番奥を切り落とせば爪母全体が一塊として完全に取り除かれます。取れた爪母をよく観察し、取り残しが無いことを確認します。

皮膚を縫合して終わりです。時間は一箇所5分位、指の両側だと10分です。ご覧いただいたように出血はほとんどありません。最後に包帯を巻いたら手術した脚を心臓より高くしてベッドで30分休んでいただきます。

5.手術後の経過

フェノール法以外の根治手術は、痛みと出血対策のため術後の安静が非常に重要です。神楽坂肌と爪のクリニックの術後の安静について説明します。

手術後はタクシーか、ご家族が運転する車で帰宅していただきます。
激しい出血や強い痛みの懸念があるため、歩いたり電車で帰ったりすることはできません。

手術当日を含めて、3日間はご自宅で原則横になって過ごしていただきます。その際、手術をした足を心臓より高く保つことが大切です。

基本的に3日間は歩くことはできませんが、トイレなど最低限の移動は可能です。ただし、用が済んだら直ぐにまた足を心臓より高くしなければ出血や痛みが酷くなります。

とうぜん部屋を掃除したり、買い物に出たりはできません。高熱で寝込んでいる状態をイメージして下さい。

ただし、ベッドでなくても、ソファでも床の上で安静にしてもOKです。

手術後3日目の朝からシャワー浴が可能で、キズも洗い流していただきます。

また3日目からはゆっくりですが、キズのある足を庇いながら歩いていただけます。このため、両足同時に手術はいたしません。

7日目には、かなり普通の歩けるようになり、14日目に抜糸します。運動は2週後以降、様子を見ながらゆっくり再開していただきます。

2ヶ月後に再度受診していただき、処理した部分に爪が生えないことを確認したら治療終了。

おめでとうございます。もう二度と、巻き爪に悩まされることもありません。

6.根治手術のリスク

根治手術の効果について説明してきましたが、次にリスクについてご説明します。

「巻き爪・陥入爪の手術はリスクが高いので受けない方が良い」とか「慎重に考えるべき」という記事をネットで読んだことがある方も多いのではないでしょうか?実際に、皮膚科医にはそのように書いている先生が多いですし、日本皮膚科学会の公式ホームページにもそのような記載があります。手術をしても良くならないし、術後にひどく変形することがあるというのが理由です。

一方で私も所属している日本形成外科学会は治療ガイドラインで手術を推奨していますし、整形外科などでも積極的に手術をする先生が多いようです。それは困っている患者さんの症状を、手術以外の方法で改善するのは難しいと考えるからです。

巻き爪の治療が標準化されていないため、ある医師からは手術はリスクが高いので絶対やめた方が良いと説明され、別の医師には手術を勧められる、といったことがしばしば起きて、患者さんは混乱されるだろうと思います。

では、多くの医師が口にする『手術後のリスク』とはどのようなものなのでしょうか?

ここで、そのリスクについて

説明します。

■リスクその1【再発のリスク】

他院で手術を受けた症例

たとえ根治手術であっても、手術が不完全であれば再発することがあります。ほかの病院で、児島法やフェノール法で手術を受けた後に再発してしまい、私が部分的Zadik法で再手術をしたケースはたくさんあります。

私個人の考えでは、再発率の差は術式の選択よりも医師の技術的な差のほうがはるかに大きいと考えています。充分な経験のある医師が行えば、どの術式であっても再発はほとんどしないものです。

つまり、病院を選ぶことである程度コントロールできるリスクとも言えます。

再手術を避けるためには慎重に病院を選び、手術の前に主治医の話を良く聞いてから決断することが大切です。

■リスクその2【爪の見た目が悪くなるリスク】

他院で手術を受けた症例

根治手術は爪の幅を狭くする手術ですが、内側外側の両方の手術や、トランペットネイルでもともと爪幅の狭い方の場合、手術後に爪がとても小さくなって、見た目が気になることがあります。

手術後に気になったとしても、元に戻すことは決してできません。

このリスクは、医師が正しく適応症例を選ぶことでコントロールできます。

予防的手術はしない、カーブが強い場合はワイヤー矯正を検討するなどです。

患者さん側としては手術と矯正など、複数の治療に対応できる病院を選べるかが大切になります。

■リスクその3【爪変形のリスク】

他院で手術を受けた症例

根治手術は比較的組織損傷の大きいので、それが原因で爪が変形してしまうことがあります。一度変形した爪は元に戻すことは出来ません。

私達は他院の巻き爪手術後に酷く変形した爪に対して、冒頭に説明した無爪術、Zadik手術で対応することがあります。

他院手術後変形手術計画
術後半年後

写真の症例は他の病院でフェノール法手術を受けた後に爪が変形した方です。この爪変形は治療が出来ないため、患者さんの希望によりZadik法で爪を生えなくしました。

他院手術後変形
人工爪施術後

別の症例ですが他の病院で児島法手術を受けて爪が変形した方です。治療は出来ませんが、患者さんの見た目を改善して欲しいというご要望により人工爪を付けました

手術後の爪変形は手術による過度の組織損傷や、手術前からあった靴等による爪のダメージが手術で悪化することが原因です。

リスクを小さくするために医師が丁寧な手術を心がけること、手術前から爪の厚みや伸びの遅さがある場合は手術ではなくワイヤー矯正など別の治療を検討する等があります。

また私は15才未満の成長期では変形リスクが高まると考えています。

そのため当院では15才未満の患者さんには根治手術ではなく日常的なケアによる改善や簡易手術をお勧めしています。

根治手術に伴うリスクについて説明しました。

医師はリスクの説明はできますが、代わりにとってあげることは決してできません。リスクを受け入れるか、受け入れないかの判断は患者さん自身の責任でもあります。

ご自身の症状の改善とリスクを天秤にかけてじっくり慎重に検討して下さい。

7.まとめ

今回の動画では巻き爪の根治手術について説明しました。再発に強いという大きなメリットをお分かりいただけたかと思います。

一方で、もう一つの選択肢ワイヤー矯正についてもっと知りたいという方も多いのではないでしょうか。

次回の巻き爪シリーズ第5回では巻き爪の『ワイヤー矯正治療』について取り上げますのでぜひご覧下さい。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。

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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
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  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
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【専門医のまとめ第3回】巻き爪やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】

  • 2024.06.07

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪シリーズの第2回『治療総合編』で、巻き爪手術について簡単に触れました。

そこで今回は、手術治療の中で一番シンプルな簡易手術について詳しく説明したいと思います。

手術というとなんだか怖い感じがするかもしれませんが、肉芽がある場合でも手術の翌日から痛みなく歩けるようになり、旅行もできます。何年も悩みつづけた肉芽がわずか数日で消えてなくなります。

今回はそんなスゴイ簡易手術について、詳しく説明いたします。ぜひ最後まで読んでいただき、「そうなの?」「知らなかった!」という気づき・発見がありましたら、ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪手術 二つの方法

2.各手術の特徴

3.肉芽とは何か?

4.簡易手術と手術以外の肉芽治療との比較

5.簡易手術が向いている患者さんとは

6.簡易手術の実際を解説

7.簡易手術後の経過

8.まとめ


1.巻き爪手術 二つの方法

上記のとおり、巻き爪の手術には【簡易手術】と【根治手術】の二つがあります。イラストにあるように簡易手術では食い込んでいる爪のみを除去し、根治手術は食い込んでいる爪とその爪を作っている爪母を除去します。

<簡易手術について>

簡易手術は、速やかに痛みを取ることを目的とします。
速効性と確実性が特徴で一般的には部分抜爪とか陥入爪手術(簡単なもの)と呼ばれます。

<根治手術について>

根治手術は、再発させないことを目的とします。
根治性が特徴で、『鬼塚法』や『児島法』などの術式があります。

2.各手術の特徴

患者さん目線での、二つの手術の違いについて説明します。
ここでの数字データは施術する医師によって大きく異なりますので参考までにご覧下さい。神楽坂肌と爪のクリニックでは赤字の数字で患者さんに説明しています。

典型症例簡易手術

簡易手術は30秒しかかからず、安静期間は当日のみ。翌日から痛みなく歩くことができます。もっと言えば、走ることさえできます。この速効性と確実性こそが簡易手術における最大のメリットと言えるでしょう。
一方でデメリットは再発に弱いこと。爪を作る爪母を除去しないため、爪は1年程で元通り生えるからです。約半数で再発し、もっとも早いケースでは半年で痛みがでることがあります。このため、応急的処置とも言えますが、そのまま治ってしまうケースもあります。

典型症例根治手術

根治術は、簡易手術とは逆に再発がほぼゼロですが、術後3日間の自宅安静が必要で速効性という面で劣ります。病院によっては、入院でおこなうこともあります。スケジュール調整など事前の準備も必要なため、気軽に受けられる治療ではありませんが、簡易手術をやっても半年など短い期間で再発を繰り返すような場合には根治手術への切り替えをおすすめしています。

状態に応じて手術を使い分けることがとても大切ですので、複数の手術を行っている医療機関で治療を受けられることをおすすめします。

ちなみに、ずっと昔におこなわれていた爪をすべて取り除く「抜爪術」は、現在ではほとんどおこなわれません。

3.肉芽とは何か?

肉芽

巻き爪・陥入爪でできる、あの痛い「肉芽」とはいったい何でしょうか?

肉芽とは、赤いゼリーのようなもろく柔らかい肉の塊で、『不良肉芽』や『血管拡張性肉芽腫』などとも呼ばれます。

深爪や靴の圧迫により、爪が皮膚に刺さってできた小さなキズが、肉芽発生のきっかけになります。そこに爪の刺激がつづいたり、手当が悪くてキズの治癒が邪魔されたりすると肉芽が盛り上がってきます。歩くたびに爪が刺さる痛みがあり、いつまでも汁や出血がつづくなど、たいへん不快なものです。

あまりに痛みがひどくなると、まともに歩けなかったり、靴が履けなくなったりすることもあります。

4.簡易手術と手術以外の肉芽治療との比較

肉芽があって医療機関を受診した場合、先ほど説明した手術より、むしろ以下のような治療を提案されることが多いと思います。

◎内服薬、外用薬
◎テーピング
◎液体窒素による冷凍凝固
◎ガター法
◎人工爪

内服薬・外用薬やテーピングは、軽症例を除いて単独で肉芽を治療することは困難です。

冷凍凝固は痛みが強く効果が不安定で、繰り返し施術が必要なことが多いです。

ガタ―法(左)・人工爪(右)

ガター法や人工爪は、手術同様に麻酔が必要なわりに信頼性に欠け、効果も限定的です。

いずれの方法においても、たとえ肉芽が治ったとしても治癒まで数週間もの間痛みが続きます。そうなると治療で治ったのか、自然治癒力で治ったのかもわかりません。

これら手術以外の治療は、爪には触れずに肉芽自体をなんとかしようとしているのですが、肉芽の原因になっている爪の刺激がなくならないのでなかなか改善しないのです。肉芽治療の大原則はキズへの刺激を取り除くことと、治癒環境を整えることです。

そのために簡易手術をして術後正しく処置をすれば、肉芽は10日程で自然に縮んでなくなります。速効性・確実性から肉芽治療においては、簡易手術に圧倒的なアドバンテージがあると考えています。

5.簡易手術が向いている患者さんとは

先ほどから繰り返している速効性・確実性ですが、なぜそんなに大事なのでしょう?

それは、肉芽のある患者さんのなかには、何ヶ月も自分で、あるいは他の病院で治療をしていながら一向に良くならず、大切なイベント直前になって『神楽坂肌と爪のクリニック』に飛び込んでこられた方が非常に多いからです。以下は、私が実際に経験した患者さんの例です。

[CASE.01]翌日にディズニーランドを子供連れで、一日中歩き回るというお母さん

[CASE.02]翌日から修学旅行で沖縄へ出発するという高校生

[CASE.03]明後日に海外出張が迫っているというビジネスマン

[CASE.04]3日後の運動会のリレーで、アンカーを走るという中学生

[CASE.05]翌週に自身の結婚式でハイヒールを履くという女医さん

など。

このような患者さんでは、速やか、かつ確実に治療して差し上げないと、大切な予定を台なしにしてしまうかもしれません。治療する側の責任も、たいへん重いものです。今回の記事をご覧いただいている方なかに医師の方がいたら、ぜひ考えてみてください……。このような患者さんのために、我々医師はなにができるでしょうか。先生だったら、どうしますか?

私がこれらすべての患者さんにおこなったのは、簡易手術でした。そして幸いにも、全員が無事に痛みもなく大切な予定を終えることができました。もちろん、大切な予定がなかったとしても辛い肉芽というのは一日でも早く治したいものです。

悩んでいる方は、あまり我慢せずに早めに医療機関で相談して下さい。すでに治療中で経過が芳しくないという方は、他の医療機関でも相談されることをおすすめします。1ヶ月通って肉芽が良くならなければ、そのまま続けてもあまり期待できないと思います。

6.簡易手術の実際を解説

※実際の手術の様子は、動画の7:25からご覧ください。

まず局所麻酔の注射をします。
指先に直接針を刺したりすると激痛なので、我々は『ウイングブロック』という方法をおこなっています。この方法は、爪の付け根と関節の中間地点あたりの感覚が鈍い部分から針を刺します。針先を足の裏に向けて、指の裏側を走っている指神経と血管の束周辺、そこから爪側に伸びている細い神経の枝の周囲に麻酔薬を注入していきます。熟練した医師がおこなえば爪の半分が完全に無痛となりますので、その後の施術で痛みを感じることは全くありません。

次に爪が皮膚に食い込んだ部分を5~8ミリの幅で皮膚から剥がします。

この時に使う器具がとても重要で、私たちは刃が薄く、刃先剛性の高い特殊なハサミを使っています。見た感じは痛そうに見えますが、先ほども書いたように施術中の痛みはゼロ、軽い圧迫感を感じるだけです。次にハサミを使って、剥がした部分で爪に切れ目を入れます。この時に、爪の下にある爪床・爪母と呼ばれるところを傷つけないことがとても大切です。傷つけてしまうと術後の出血が多くなったり、将来的に爪に亀裂が生じる原因となったりするからです。

最後に、切れ目を入れた爪を先の細い道具で掴んで指の中心に向かって捻り、そっと引き抜きます。間違ってもまっすぐ強引に引き抜いてはいけません。抜き方が悪いと爪周辺の組織を損傷し、術後の出血と痛みが激しくなります。手術は一分もかからず終わり、この後5分ほどキズを抑えて止血します。

抜いた爪を見ると、表面から見えていたよりもかなり深く刺さっていたことがわかります。

7.簡易手術後の経過

手術後2時間程度は麻酔が効いた状態なので、歩いても痛みはまったく感じませんが、出血することがあるので寄り道せずにまっすぐご帰宅していただき、

当日は自宅で安静していただきます。

当日からシャワーを浴びることができ、患部を洗い流すこともできます。清潔なタオルで水分を取ったら、軟膏をつけたバンドエイドでそっと保護します。

翌日から痛みをほとんど感じることなく普通に歩くことができます。手術の前のように、歩くたびに爪が肉芽をチクチク刺激することがなくなるからです。

一週間後に再度診察していただき、痛みがなくなっていることを確認します。

当院では簡易手術を年間180件ほどおこなっていますが、一週間後の時点で痛みが取れていないケースはゼロであり、過去数千例で直後に手術をやり直した経験はありません。

この確実性と即効性は、医師にとっても患者さんにとってもたいへん大きな魅力です。実際に一度、簡易手術を受けた患者さんが再発時に再度施術を希望されるケースは非常に多いです。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第3回の今回は『簡易手術』について説明させていただきました。

簡易手術のメリットがご理解いただけたかと思います。次回は、一度受ければ再発することのない『根治手術』について詳しくお話しさせていただきますので、どうぞご期待ください。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

お電話でのご予約・お問い合わせ

電話なら当日予約可能。突然の痛みや手術希望にも可能な限り対応いたします。

5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。

03-3513-8212

【平 日】10:00~13:00/14:00~19:00 【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30

ご予約・お問い合わせ

【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
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  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

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【専門医のまとめ第2回】巻き爪やさしく解説:治療総合編【病院選びと治療法】

  • 2024.04.26

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、前回は巻き爪シリーズの第1回として「巻き爪とは何か?」について説明しました。

そこで、第2回では『治療総合編』として病院の選び方と巻き爪治療の全体像についてお話しさせていただきます。ぜひ最後までご覧いただき、共感いただけましたらご家族やお友達との会話に話題として取り上げていただき、また共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?

2.巻き爪治療の矛盾

3.巻き爪治療を受ける病院の選び方

4.病院選びの注意点

5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?

6.補助的治療法の種類

7.積極的治療法の種類

8.まとめ


1.巻き爪はどの科を受診すれば良いか?

さて、皆さんは巻き爪で病院に相談するとしたら何科を受診しますか?

皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?

皮膚科でしょうか?整形外科?あるいは形成外科?

はい、どれも正解です。

■皮膚科:皮膚・毛・爪病変を扱う科
■整形外科:指先の再建を扱う科
■形成外科:皮膚・毛・爪の手術、指先の再建を扱う科

爪の病気は、皮膚科医が治療にあたるのが一般的です。
なぜなら、爪は毛とおなじで皮膚の角質が変化したもの、つまり皮膚の一部だからです。また、指先の怪我というのは整形外科医や一般外科医で治療しますので、巻き爪治療も行うことがあります。
そして医師数としては少ないのですが、私のような形成外科医も巻き爪の治療をします。

大勢の医者

このように巻き爪はいろいろな科で治療をしてもらうことができます。

「ということは、巻き爪は治療環境に恵まれた治しやすい病気なのでは?」

いえ、治療環境に恵まれているどころか、なかなか良くならずに困っている方が沢山いらっしゃるのが巻き爪なのです。

YouTubeやブログなど、ネット上には巻き爪治療に関する情報が溢れかえっていることが、その証と言えるでしょう。この記事をご覧の方もそうしたお一人かもしれません。

2.巻き爪治療の矛盾

ではなぜ、このような矛盾が起きるのでしょう?

大空を飛ぶ鳥

その最大の理由は「爪医療」が医学の世界では非常にマイナーな分野であるということです。そのため巻き爪には標準治療というものが存在せず、私のような専門とする医師もほとんどいません。各医師がそれぞれの考えと経験で治療にあたり、その熱意の温度差も大きいのが現状です。

また、巻き爪治療で良い結果をだすためには

医師スキル

解剖学的知識や診断能力など爪自体への深い理解だけでなく、創傷治療の知識や麻酔・手術といった外科的スキルが欠かせません。これらをすべてカバーする医師はあまり多くないため、治療レベルに差がでてしまします。

もうひとつの理由として、指先は痛みを強く感じるので

不安な女性

治療への恐怖から“患者さんが病院受診を敬遠しがち”ということもあります。過去に適切な痛み対策をされずに処置を受け、それでも改善しなかったというような辛い経験がトラウマになっているケースも多く、受診の遅れが症状の悪化、慢性化に繋がっているのです。

このように巻き爪は安定的に良い治療結果をだすのが意外と難しい病気なのです。では、どうすればいいのか。そこで大切になるのが『病院選び』ということになります。

3.巻き爪治療を受ける病院の選び方

最短で最善の結果に到達するには、いきなり手近の病院を受診するのではなく、事前にしっかりと情報収集をして病院を選ぶことがなにより大切です。ほとんどの医療機関がホームページで診療情報を公開していますので、

グーグル検索

「地域名+巻き爪+治療」といったキーワードでネット検索して候補を5つくらいに絞ります。候補が見つからない場合は地域をお住まいの都道府県全域などに拡大して再度検索しましょう。

次にホームページの内容をチェックして、

ホームページ
https://www.hadatotsume.com/wire/ より

巻き爪の治療内容や症例写真を積極的に公開している病院を有力候補にすると良いでしょう。その情報量は医師の巻き爪への取り組みかたと直結しているからです。ここから先は実際に受診してみないと分かりません。まずは一番の有力候補の病院で相談してみましょう。

自信のある医師

巻き爪治療に熱意を持っている医師であれば、辛い痛みに真剣に向き合ってくれるはずです。もし、そこで提案された治療が「希望とは違うな」と感じたら他の医師の説明も聞いてみましょう。

医師への遠慮は無用です。

自信を持って治療に取り組む医師であれば、他と比較されることをむしろ歓迎するはずですからね。治療中でも、経過が思わしくないと感じたら早めに他の医師へ相談しましょう。それが、治癒への早道であることも多いからです。-

4.病院選びの注意点

病院選びの基準についてはお分かりいただけたと思いますが、ひとつ気をつけていただきたいことがあります。ネットで「巻き爪を治療してくれる医療機関」を検索しているつもりでも、検索上位に接骨院・治療院やフットケアサロンなどが表示されることがあるということ。

ニセ医者

これらは医療機関ではないのにも関わらず、店名が○○院とか○○クリニックであるとか、医師のような白衣を着た「院長」「ドクター」が登場するので、たいへん紛らわしいです。

医療機関のホームページには院長の経歴が載っていますので医学部卒業した医師であることを念のため確認して下さい。
医療機関では患者さんの体験談を掲載することは禁止とされています。(医療法における病院等の広告規制)
そのため、もし体験談が掲載されている場合は治療院やお店であると判断できます。あとは、ネットクチコミ。不自然なくらい5つ☆ばかりなのも特徴なので注意が必要です。

5.巻き爪の治療法にはどのような方法があるか?

医療機関では軟膏から手術まで幅広い治療が行われています。

これらを整理すると大きく『補助的治療法』と『積極的治療法』に別けることが出来ます。

■補助的治療法とは

爪周辺の皮膚や皮下組織に直接的、間接的に働きかけることにより局所の安静を図り、痛みを軽減する方法です。薬、テーピング、肉芽焼灼など多数の方法があり、一部を除けば患者さん自身でおこなうことができます。あくまでも補助的に用いられる方法ですが、軽症例であればこれだけで改善することもあります。

■積極的治療法とは

爪そのものに働きかけることにより炎症をコントロールして痛みを取り除く方法です。具体的には手術法と矯正法があり、一部を除き医師が行います。補助的治療では十分な効果が期待できない場合に選択される、より確実性の高い方法です。

※これらを複数組み合わせておこなうこともあります。

6.補助的治療法の種類

■自宅でおこなうもの(自分でできること)

・安静:靴やストッキングによる圧迫を避ける、散歩や運動を控える
・清潔:石鹸と湯で日に1-2回洗う
・テーピング:食い込んだ皮膚を引っ張って爪の刺激を和らげる
・コットンパッキング:コットンを詰めて隙間を作り爪の刺激を和らげる
・薬:化膿や炎症をコントロールして腫れを抑える

先ほど説明したように、補助的治療法とは爪周辺組織に働きかける方法です。そのなかで主に自宅でおこなうものとして、安静、清潔、テーピング、コットンパッキング、内服薬服用、外用薬塗布などがあります。具体的なやり方については過去の記事・動画「爪の専門医が教える、陥入爪のホームケア7選!」で詳しく取り上げていますのでぜひご覧下さい。

■医師がおこなうもの

・肉芽焼灼:-200度の液体窒素で肉芽を繰り返し凍らせて小さくする

液体窒素

・ガター法:爪の側縁をカバーで覆って皮膚への刺激を和らげる

ガタ―法
他院の施術例

・人工爪:深爪を樹脂製で延長しての爪を皮膚への刺激を和らげる

人工爪
他院の施術例

補助的治療法には医師が行うものがあり、肉芽焼灼、ガター法、人工爪があります。炎症が高度で肉芽という赤い肉の塊が生じているような重症例に行わることがあります。

<肉芽焼灼>

マイナス200度の液体窒素を染みこませたコットンを肉芽に押し当てる治療です。冷凍凝固により肉芽表面が壊死するので、これを繰り返して肉芽を小さくしていきます。設備やスキルを必要とせず広く普及していますが、施術の痛みや結果の不安定さが欠点です。

<ガター法>

爪の縁に樹脂のカバーを縫い付けることで皮膚への食い込みをやわらげる方法です。補助的治療法に分類しましたが麻酔が必要なので手術に準じた方法といえます。

<人工爪>

深爪を樹脂で延長することで皮膚への刺激を和らげる方法です。
条件の悪い部位でうまく硬化させるのは難しく、またHEMA(ヒドロキシエチルメタクリレート)という刺激性の強い薬剤を傷口に使うことには安全性に疑問が残るなど問題もあります。

なお神楽坂肌と爪のクリニックでは、これらの3つの治療は行っていません。

これは私個人の考えですが、これらは施術の痛みが強く時間もかかるわりには効果が不安定かつ限定的であり、即効性と確実性において手術のほうが優れているからです。

7.積極的治療法の種類

積極的治療法は爪自体に働きかけて皮膚への刺激を和らげる方法で、手術法と矯正法があり、手術法には根治的手術と簡易手術、矯正法にはワイヤー矯正やクリップ矯正等があります。

<手術法>

爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。

根治手術前
根治手術前
根治手術後
根治手術後

手術法は古くからおこなわれており、健康保険が使えるため現在でも主力の治療として全国の医療機関で受けることができます。

<矯正法>

ワイヤー矯正前
ワイヤー矯正前
ワイヤー矯正後
ワイヤー矯正後
クリップ矯正
クリップ矯正

爪の一部を切り取り、矯正法は器具を使って爪のカーブを整える方法です。

矯正法は25年ほど前に登場した比較的新しい方法。健康保険が使えないため、都市部を中心とした一部医療機関でおこなわれています。普及はこれからで、お住まいの地域によっては近くで見つけられないかもしれません。ただ通院は1~2ヶ月に一度なので、私達の神楽坂肌と爪のクリニックには新幹線や飛行機で通院されている患者さんもいらっしゃいます。

あとこれはよくある誤解ですが、重症だから手術、軽症だから矯正と言うことではありません。重症でも矯正が向いているケースもありますし、軽症でも患者さんの希望があれば手術を選択することもあるからです。

8.まとめ

巻き爪シリーズ第2回では、治療全体についてザックリとお話しさせていただきました。

ご紹介した治療法はすべての医療機関で行われている訳ではありませんが、可能であれば複数の治療法から選択できるような体制を整えている病院で相談されることをお勧めします。

次回からは『各治療法』について更に詳しく説明していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに!

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

【専門医のまとめ第1回】巻き爪やさしく解説:基礎編【原因と種類、似ている病気】

  • 2024.04.04

先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて本日は、当院で一番ご相談の多い『巻き爪』についてお話しします。

巻き爪に関してはお話ししたいことが非常にたくさんあり、
とても一回では伝えきれません。
そこで数回に分けてシリーズでやっていきたいと思います。

第一弾となる今回は
「巻き爪とはどんな病気か?」
というテーマでお話しします。

現在、巻き爪で悩まれている方に、まずはご自身の巻き爪がどういうものなのかを知っていただきたい。ぜひ最後までご覧いただき、共感いただけましたらご家族やお友達との会話に話題として取り上げていただき、また共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.巻き爪・陥入爪とは

2.巻き爪の原因

3.巻き爪の種類

4.巻き爪に間違われやすい病気

5.まとめ


1.巻き爪・陥入爪とは

巻き爪とは

“爪が食い込んで痛みがでる病気”

であることは皆さんご存じかと思います。これとは別に『陥入爪』という呼び方を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
爪が食い込んで痛い状態を指す病名が二つある。これが混乱の元となっていますので、まずは『巻き爪』と『陥入爪』の違いを説明します。

実は二つは定義の異なる別の病名なのです。

実は一部を院長が執筆

世界的に有名な形成外科医で私の恩師でもある鬼塚卓彌博士が書かれた「形成外科手術書」という国内でもっとも権威のある専門書で調べてみると、

「陥入爪は爪が彎曲(わんきょく)して皮膚にめり込んだもの」

と定義されています。英語病名のingrown nailを鬼塚先生自身が日本語訳されたものです。
一方で巻き爪は別の病気として陥入爪とは違うページで紹介されており

「巻き爪とは陥入爪の中で爪の端が垂直を超えて巻いたもの」

と書かれています。

いかがですか?なんだかほとんど同じようにも思えますよね。同業医師のなかにはこの二つの病気は厳密に区別しなくてはならないと主張される先生もいらっしゃいますが、実際に患者さんを診察してみると、陥入爪の患者さんの多くで爪が巻いています。つまり巻き爪であることが多いのです。また、巻き爪の患者さんの多くで爪がめり込んでいます。つまり陥入爪の状態でもあるのです。

ということは二つの言葉は概ね同じ病像を指していると言えるのです。さらには陥入爪と巻き爪の治療法は、ほとんどが重複しています。こうしたことから私は、皆さんにも馴染みのある「巻き爪」という病名で統一した方が良いと考えています。実際に患者さんへの説明は、巻き爪という言葉を使うようにしています。

実はこの件、私自身の著書の中で陥入爪の名付け親である鬼塚先生から
「巻き爪で統一して良い」というお墨付きをいただいております。
今後、私のブログでは巻き爪で統一したいと思います。
ひとつ問題なのは、健康保険の診療報酬点数表にはいまだに「巻き爪」という用語がなく「陥入爪」という病名だけが使われていること。そのため私の説明の中に一部に陥入爪と言う言葉が入ってしまうことがありますが、巻き爪と同じ意味だとご理解ください。

2.巻き爪の原因

毎日多くの巻き爪患者さんを診察していますと「巻き爪になった原因が知りたい」というご質問をよくいただきます。靴の圧迫が原因になりやすいことはご存じかと思いますが、なかには思い当たる節がないという方もいらっしゃいます。そう、巻き爪は圧迫以外にもさまざまな原因で生じる可能性があるのです。いくつかグループに分けて説明したいと思います。

こちらの動画も、ご参考ください。

【圧迫のグループ】

■履物による圧迫:パンプス、タイツ、ストッキング、五本指靴下、足袋

■隣接組織による圧迫:大きすぎる靴で足が横ブレ、脇の肉(側爪郭)の盛り上がりが

大きい、外反母趾で隣の指がのしかかる、太鼓バチ指、爪周辺の腫瘍

はじめに圧迫のグループ。履物による圧迫はもっとも多い原因ですが、パンプスだけではなくストッキングやタイツも多いです。意外かもしれませんが逆に大きすぎる靴にもリスクがあります。靴の中で足が横ブレし、爪の横の肉によって繰り返し圧迫されるので要注意です。やはり、足にフィットした靴選びを心掛けることが何よりの予防策となるでしょう。

【関節や加重の問題のあるグループ

■関節の異常:外反母趾、関節リウマチ、先天性内反足、下肢麻痺

■荷重の異常:外反母趾で母趾が垂直に着地できず加重が偏る、浮き指、寝たきり

関節や荷重の問題のあるグループ。アライメント異常(アライメントとは骨・関節の配列のこと)とも言います。特に外反母趾で母趾が垂直に加重できなくなっている方は多いです。

≪先天的に巻き爪リスクの高いグループ≫

■爪や指の形:幅広い爪、末節骨が短い又は長い、中足骨が短い、クロウトゥ

先天的に巻き爪リスクの高いグループ。中でも爪の横幅が広いというケースは多いです。

≪その他のグループ≫

■爪甲剥離:外傷、爪白癬、抗がん剤

■その他:深爪や爪むしり、血管病変(慢性動脈硬化症、糖尿病性末梢血流障害)

■不明

他にこのようなことも原因になります。爪甲剥離といって爪が肉から浮き上がること、深爪や爪をむしる癖、慢性的な血管の病気でも生じることもあります。また、二つ以上の原因が同時に巻き爪を起こしていることもありますし、原因がはっきり分からない方もいらっしゃいます。このように巻き爪というのは、爪以外のさまざまなことが原因になっていることが多く、それこそが巻き爪が再発しやすい理由にもなっています。

3.巻き爪の種類

では、巻き爪にはどのような種類があるのでしょうか。巻き爪の分類法はさまざまあるのですが、私たちは指先の方向から見たときの爪の形によって主に3つの種類に分けています。それがC型、ステイプル型、I型です。ぜひ、ご自身の爪と見比べながらご覧ください。

■C型について

C型はアルファベットのCの形で、一番多いタイプです。とくに20代~40代の女性に多く、ハイヒールやストッキングの圧迫が原因になりやすいのが特徴です。治療法としてはワイヤー矯正が向くケースが多いです。

■ステイプル型について

2番目に多いタイプがステイプル型。見た目はカタカナの「コの字型」で中央部分に変形がありません。変形が内側か外側どちらかだけのハーフステイプル型もあります。こちらは比較的男性に多く見られます。治療法はワイヤー矯正・手術のどちらにも向いています。

■I型について

I型はアルファベットのIの形で変形がほとんどないのが特徴。もともと爪の幅の広い人に見られ、爪の刺激による肉芽や出血といった激しい症状であることが多いです。また、私たちのクリニックへ来る前にさまざまな治療を試したけれどダメだった、という方が多く、難治性・治療抵抗性も特徴のひとつとなっています。そのため治療としては手術が向いています。私の経験上、足の多汗のある患者さんが多いです。

■その他

そのほかの特殊な形としては、トランペットといってC型から変形が進んで1周巻いたり、さらに巻いて「のの字」になった形、デルタ型といって指先から見た時にアルファベットの逆V字の形、折り返し型といってステイプル型から変形が進んで折りたたまれたようになった形もあります。治療法は、トランペット型とデルタ型はワイヤー矯正、折り返し型は手術が向いていることが多いです。

4.巻き爪に間違われやすい病気

巻き爪は足の指先が痛いのが特徴ですが、ほかの病気でも似た症状になることがあります。当院には「ほかの医療機関で治療を受けているが、まったく良くならない」という方もたくさん受診されます。なかにはそもそも巻き爪ではなく、まったく別の病気が見つかる方もいらっしゃいます。巻き爪に間違われやすい病気とはなにか?次のようなものがあります。

■爪白癬(つめはくせん)

爪が白癬菌に感染して厚くなり、その厚みで痛みがでることがあります。巻き爪に合併することも良くあります。

■爪の生え替わりに伴う痛み

怪我で爪の下に広範囲の内出血を起こすと、爪が剥がれて新しい爪が伸びてきます。新しい爪が先端到達するまでには1年ほどかかりますが、その爪が先端に届くあたりで痛みがでることがあります。巻き爪と違って繰り返さないのが特徴です。

■グロームス腫瘍

爪の下にできるおできで強い痛みがでることがあります。手指に多いのですが、足の親指にでたことで巻き爪と間違って治療されているケースがあります。爪の中央、半月近くを押すと痛くなることが多いです。

■爪下外骨腫(そうかがいこつしゅ)

爪の下の末節骨から骨が伸びて爪を押し上げる病気です。痛みがでたり、肉芽が出来たりして巻き爪と区別が難しいことも。爪を上から押すと爪の裏に痛みを感じるが多いです。

■後爪郭爪刺し(こうそうかくぶつめさし)

靴の圧迫で血液循環が悪くなることで爪の成長が遅くなり、爪の付け根、後爪郭というところに痛みがでます。爪が痛いので巻き爪として治療を受けているケースがあります。

■爪甲鉤弯症(そうこうこうわんしょう)

怪我や慢性的な圧迫の後で爪の伸びが遅くなり厚くなります。痛みはないことがほとんどですが、たまに親指の爪、付け根の小指側が靴で押されて痛くなることがあります。治療が極めて難しく、確立された治療法がまだ見つかっていないのが現状です。

■ひょう疽(ひょうそ)

爪の周辺にバイ菌が入って化膿した状態のこと。爪が食い込んで痛むわけではないのですが、症状が紛らわしいことがあります。

このような病気を診断するのは、専門的な医師でなければと難しいことがあります。皆さんは「巻き爪」と思っていても、そうではない病気の可能性があることを知っておいて欲しいと思います。

5.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。巻き爪シリーズ第一回。いかがだったでしょうか?次回以降は「巻き爪の治療について」詳しく説明していきたいと思います。ちょっとした空き時間などで、ブログをチェックしていただけると幸いです。次回のブログも、乞うご期待を!

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
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  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
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  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

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テレビ朝日『中居正広の土曜な会』出演♪

  • 2024.02.01

先日テレビ朝日の『中居正広の土曜な会』という番組に出演依頼をいただき、スタジオに行ってきました。テーマは 【爪トラブル】乾燥する冬にトラブル増加 爪の悩みを解消 とのことで、爪の切り方などについてお話しさせていただきました! 

 我々の病院で一番多い爪の悩みは巻き爪、陥入爪なのですが、深爪など間違った爪切りをしてしまうと、より症状が悪化することがあるので、受診される患者さんにも日々お伝えしています。

 スタジオに行くのは初めてだったのでとっても緊張しました💦が、スタッフの皆さんが丁寧に流れを説明したり一緒に練習したりしてくださって、また本番直前、中居さんが入られると魔法のトークで緊張も和らぎ、気がついたら収録が終了していました。普段テレビで見る方々が目の前にいて、突然皆さんとご一緒に爪の先までハンドクリームで保湿をすることになるとは思いませんでした😆

最後はとても楽しく終えることができました!ありがとうございました。

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教えて肌爪先生!自宅でできる陥入爪セルフケア7選

  • 2023.05.29

こんにちは。肌爪先生こと神楽坂肌と爪のクリニック院長の野田です。陥入爪の痛み、ジクジクに悩みながらも「病院にいく時間がない」「痛くされるのが恐い」という方も少なくないと思います。「セルフケアでしのげないか?」「病院に行くのを先延ばしたい」その気持ちよくわかります。

セルフで手当するにしてもどうすれば良いでしょう?俗説や民間療法、間違ったネット情報で処置をしてしまい、結果何年も長引いたり、病院受診の時に重症化していたりすることも珍しくありません。我々医師としては、受診が遅れてしまったのは仕方ないにしても、せめて正しいセルフケアをされていたなら外科処置は避けられたのに・・・そう思うこともしばしばです。そこで今回は「自宅でできる陥入爪セルフケア7選」と題して正しいケアについて深掘りしてみます。

※今回のブログの内容は、こちらの動画もあわせてご覧ください。

【目次】

セルフケアで一番大切なこと?

<安静にする/清潔にする>

<塗り薬/飲み薬>

<テーピング/コットンパッキング/市販矯正器具>

騙しだまし痛みを隠し続けるか。積極的に痛みを取り除くか。

セルフケアで一番大切なこと

ところで、皆さんは『wound healing(ウーンドヒーリング)』という言葉をご存じでしょうか。これは、医学用語で創傷治癒、つまり傷の治りのことで、傷を正しく管理することで治癒を早めようという考え方です。

傷の手当について
「傷口は乾燥させた方が良い」
「傷は濡らしてはいけない」
「毎日、消毒しない化膿する」
と思い込んでいませんか?以前は医師でもそう考えるのが普通でした。しかし、専門医の間では「むしろそんなことはしてはいけない」という風に傷に対する考え方も大きく変わってきています。医師による治療はもちろん、皆さんのセルフケアにおいても「ウーンドヒーリング」の考えに基づいた正しい傷の管理が大切。それによりもともと持っている自然治癒能力を最大限引き出すことができ、速く傷を治したり重症化を防ぐことができるのです。うまく管理でできれば病院には行かずに済むこともあるかも知れません。

<安静にする/清潔にする>

安静にする

ここでは身体の安静だけではなく“傷の安静”も含みます。足をむくませないためにお散歩やお買い物などでの歩き過ぎを控える、長時間立った姿勢を避ける、ストッキングやハイヒールによる圧迫をしないなどです。配達や立ち仕事や通勤でパンプスを履く方などから「数日仕事を休むと傷の状態がよくなる」という話をよく伺います。ウーンドヒーリングのためにむくませないこと、圧迫しないことが大切。とくに足の負担の大きい仕事をされている方や靴の圧迫に心当たりのある方は安静の実践により状態は確実に改善するはずです。

清潔にする

「清潔にする」と聞いて何をイメージしますか?毎日しっかり消毒する?傷は濡らさない?実はどちらも間違い。良く聞く「濡らさないようにビニール袋に包んで入浴し、その後しっかり消毒する」というありがちな方法は実はNGなのです。

「風呂に入れると湯のバイ菌が傷は入るから不潔」と思っている人が多いですが、菌の数から言えば実は風呂の湯より化膿した傷の方がずっとずっと汚いのです。また驚く方も多いと思いますが消毒液は細胞毒でもあり傷の治癒を遅らせるので消毒はむしろしてはいけないことです

ではどうすれば清潔になるのか?簡単です。毎日傷の汚れ(浸出液やこびり付いた軟膏など)を泡立てた石鹸とたっぷりのぬるま湯で洗い流せばいいのです。傷を石鹸の泡で包み3分待ったらよくすすぎます。シャワーを傷に直接ではなく膝のあたりにあて、湯を指先まで湯を流します。その後は風呂の湯に浸けてもいいし、抵抗があるのなら足浴もおすすめ。

洗う湯の中に消毒液を入れる・塩を入れると書いてある本もありますが、難しく考える必要は一切ありません。お風呂の蛇口やシャワーから出てくる“ぬるま湯”で十分。石鹸も薬用ではなく家にある普通のやつやフォームタイプのボディソープで大丈夫。より良くなどとは考えず、まずは家にあるもので今晩からさっそく実践して下さい。

<塗り薬/飲み薬>

塗り薬

傷の塗り薬はたいてい抗生物質配合のワセリン軟膏が使われます。「軟膏が合ってなくて治りが悪い」とお考えの方も多いですが、軟膏だけ変えたからといってそれまで治らなかった傷が治るということは決してないと考えていただいて結構です。塗り薬はあくまで補助的な治療であって傷の治癒を決定づけるものではないからです。

また傷を「乾かす」というのは実は逆効果だってご存じでした?傷の修復に必要な細胞の移動を妨げるからです。速く治すには湿潤環境、つまり適度に湿った状態に保つことが理想。そのために大切なのは抗生物質の種類ではなく基剤であるワセリンなのです。抗生物質はあくまで脇役。いろいろ考えず以前に病院で処方された、あるいは近所の薬局で普通に売っている「●●マイシン」と書いてあるワセリン基剤軟膏を使えばOKです。

付け薬といえば消毒液が傷にとって大切だと思っている人が多いです。
よく「アルコールがいいんですか?」「オキシドールがいいんですか?」と聞かれますが、
実はぜんぶダメ。傷を速く治したいなら消毒液はやめましょう。
先ほども書いたように消毒液は細胞毒でもあり、傷を治そうとする細胞の邪魔してしまいます。また刺激が強いため傷に塗れば拷問のような激痛です。さらに消毒液は長期間使うことでかぶれを起こしやすいという問題もあります。「何年ものあいだ毎日消毒を欠かさないのに傷が治らない」とおっしゃる患者さんではカブレにより皮膚がひどく赤剥けしている方がほとんどで、洗っていないため不潔で酷い臭いが漂っていることもしばしば。カブレにより状況がさらに複雑化し、こじらせた状態になているので経験を積んだ医師でなければ問題を正確に把握出来ません。患者さんは傷に良いはずの消毒液が問題を起こしているとは想像もできず、バイ菌によって化膿しているためと信じきっています。そこでますます熱心に消毒することになり、自身でこの状況から抜け出すのが困難になっているのです。

消毒液の触れる範囲に赤み、腫れ、皮むけ、痒みなどカブレの症状が見られる。親指に接した隣の指も同じ症状。

傷を速く治すためにはとにかくぬるま湯と石鹸が一番。ウーンドヒーリングの考えでは清潔を保つためには殺菌をするのではなく菌を物理的に洗い流すのが正しい。それ以上に傷をキレイにする方法はないからです。

傷の外用治療で重要なのは、消毒はしない。軟膏はその辺の薬局で買えるものでOK。このふたつを頭にいれておきましょう。

飲み薬

陥入爪の内服療法で大切なのは、抗生物質よりも消炎鎮痛剤です。有名な『ロキソニン』(ロキソプロフェン)は当院でもよく処方しますし薬局でも買えます。局所の赤み、腫れ、痛みを抑える強力な抗炎症作用があります。よく「ロキソニンは痛み止めですよね?我慢できれば飲まなくて大丈夫ですよね?」と言われますが、これは半分間違い。なぜなら、傷に対して消炎鎮痛剤を使う目的は痛み止めだけでなく、むくみや腫れを抑えること。傷の安静に繋がり、結果として治療を早めることができます。これもウーンドヒーリングの考え方に一致します。飲み薬は抗生物質より消炎鎮痛剤が主役ということを覚えておきましょう。

※(注)ただし市販薬を使用される際は、用法・容量を守って正しくお使いください。

ここまでご紹介した①~④を試しても改善しなければ早めに医療機関を受診しましょう。

それでも何かしら試してみしたい場合は、ちょっと難しいかもしれませんが最後の手段として以下をご紹介します。

<テーピング/コットンパッキング/市販矯正器具>

テーピング

爪の脇の皮膚を伸縮性テープで引っ張りって爪の刺激を和らげる方法です。いくつか方法がありますが当院でお勧めしているのはアンカーテーピング法です。軟膏や汗が付いているとすぐ剥がれるので貼る前に消毒用エタノールで皮膚(傷の無いところ)を拭きます。25mm幅のテーピングテープを用意し、コレを10mmと10cmの長さに切ります。

10mmのテープを爪の脇の皮膚に貼り、指で軽く押さえて体温で馴染ませます。

次に10cmテープの端を最初のテープに重ねて貼り、同様に馴染ませます。長いテープを軽く引っ張りながら指の付け根に向かってらせん状に巻き上げるように貼ります。

このケースは巻き爪ではなく、怪我のあとの爪の生え替わりに伴う陥入爪。

テープを貼るだけでは効果は無く、軽く引っ張って貼るのがポイント。テープが伸縮する時に皮膚が引っ張られて爪と皮膚の間にわずかな隙間ができます。この隙間が傷の安静に役立ち痛みを和らげ傷の治りを速めます。

テーピングは歩いていると剥がれてくるので日中何度か張り替えが必要です。テーピングと軟膏は同時併用が難しいので日中はテーピング、夜は軟膏と使い分けるのがオススメです。

コットンパッキング

爪と皮膚の間に柔らかい綿を詰めることで爪の刺激を和らげる方法です。お手持ちの化粧用コットンをふたつに割り、フワフワなところをピンセットで引き出すと柔らかい繊維が取り出せます。それを爪と皮膚とが当たっているところ、その隙間に繊維をピンセットで優しく少しづつ入れていきます。徐々に隙間が大きくなり爪と皮膚の間の距離を稼ぐことができます。直接、爪の刺激を緩和できるほか、浸出液が多い時はそれを外に引きだして傷の治りを速めるドレナージ効果もあります。

コットンが不潔になりやすいので最低でも1日1回は取り換えが必要。炎症の初期であればとても効果的ですが、慣れないと難しいかも知れません。炎症が酷くなるとコットンを詰めること自体が難しくなります。それが病院受診のタイミングとも言えるでしょう。

市販矯正器具

病院に行く前にダメ元でもいいから市販器具を試してみたいという患者さんのニーズは通販サイト上に巨大な市場を形成するほど切実です。患者さんの中には診察の際に様々な市販矯正器具をお持ちになり「こんなものを試したが全くだめだった」「効果が無く期待外れだった」と不満を漏らす方もたくさんいらっしゃいます。私自身も職業的興味からこの手の商品を多数買い集めて片っ端から試しましたが、ほとんどは全く効果が無いか不十分なものばかり。中には拷問器具のような爪を剥がす危険な商品もあります。巻き爪矯正はじっくり時間をかけて形を整えなければならないですが、器具の開発者に経験と理解が不足しているためです。

そんななかで唯一勧められるのはフットケア用品で有名なDr. Scholl(ドクター・ショール)の『巻き爪用クリップ』です。簡単に付けられるし効果も高いので実は当院でも採用しています。ただ、この商品にも一つ問題が。それは爪が薄く、変形の軽い人しかつけられないこと。「爪を選ぶ器具」ですが爪が薄く変形の軽い方は試す価値があると思います。

騙しだまし痛みを隠し続けるか。積極的に痛みを取り除くか。

ここまで自宅でできるセルフケアについてご紹介させていただきましたが、これらはあくまで補助的な治療に過ぎず、症状の改善や悪化を防ぐ役にたっても軽症のものを除いて解決にはなりません。特に肉芽ができているようなケースでは辛い時期が長引くだけで、結局は爪専門病院を受診した方が早いし楽だということになります。

それでも「嫌だな」「不安だな」と思っている方にこそ、当クリニックを受診していただきたいと思います。陥入爪で日々辛い思いをされている方が、痛みに耐えかねて受診を決意され、数多くの医療機関から当院を選んでいただいたからにはいかに速く確実に痛みを取り除いてあげられるか、そのスピード感と確実性こそが一番大切だと考えています。私たちが患者さまと辛さと向き合う際の基本スタンスでもあります。

実際に来院された方からは「こんなにすぐ痛みが取れるなら、もっと早く来ればよかった」という喜びの声もたくさんいただいています。受診したからと言って必ずしも医師の勧める治療を受ける義務はありません。治療を受けるかどうかを決めるのはあくまでも患者さんご自身です。NOというのに医師に気を遣う必要は全くありません。まずは診察を受け、状態を評価してもらい、治療法の説明をじっくり聞いて、できればいくつか質問をしていただいて、ご納得いただいたらその上で治療を依頼していただけたらと思います。長年陥入爪に悩む方、「そこまで言うなら相談だけでもしてみようかな」くらいの気軽な気持ちでまずは受診をご検討下さい。


【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

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本当は痛くない!巻き爪治療の真実を教えます。

  • 2023.03.31

こんにちは。
肌爪先生こと、神楽坂肌と爪のクリニック院長の野田です。
当院に来院される患者様の多くが
「巻き爪の治療って痛そう…」
治療の痛みが怖くて受診を迷っていた…

など、治療の痛みに対して強い不安感をお持ちで、これにより受診が先延ばしになって悪化してしまっているケースも多く見受けられます。
巻き爪は痛みを放っておけば悪化してしまうことが多いので、正しい知識をもつことがとても大切です。

巻き爪ワイヤー矯正治療を正しく理解していただくことで、少しでも受診の不安を取り除けたらと考え、今回のブログでは矯正治療の実際をテーマとして取り上げました。数分もあれば読める内容となっております。ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。

【目次】

そもそも巻き爪って、なにが原因でなってしまうの?

私たちは爪のスペシャリストとして、巻き爪で困っている人たちの一番の味方でありたい。

なぜ、ワイヤー矯正は「秒」で痛みがとれるの?

クリニックにはいつ相談に行けばいい?そして、どれくらいで治りますか?

そもそも巻き爪って、なにが原因でなってしまうの?

原因はたくさんありますが、当院にいらっしゃる患者様の約7割は、
パンプスやストッキングの圧迫によるもの。
パンプスはイメージできるとしてもストッキングは意外に思えるかもしれません。実は爪は伸び縮みする素材にとても弱く、持続的に圧迫されることで変形し巻いてきてしまうのです。ストッキングやフットカバー(パンプス用ソックス)などは足より小さく作られていて履く時にギュッと引っ張って履くことで足にフィットするわけですが、このようなタイプのものは、履いている間中ずっと元の形にもどろうとしてじわじわ爪をしめつけて逆矯正、つまり巻爪をつくっていることになるのです。実際ストッキングやフットカバーを穿く時だけ痛みを感じる方もいらっしゃるでしょう。これらは靴による直接的な圧迫よりむしろ大きな要因とも言えます。

私たちは爪のスペシャリストとして、
巻き爪で困っている人たちの一番の味方でありたい。

■予防する方法ってあるの?

自分に合った靴を履く、つま先にゆとりのある履物を選ぶなどがあります。あとはヒールの高さ。ヒールが高いと履いているうちにどんどん前のほうに詰まっていってしまい、指先がつま先の狭いスペースに押し込まれてしまうので想像以上の圧迫になってしまうのです。

経験上、履物が原因で巻爪になっているケースの多くは、履物を選ぶ女性の側の問題というより、職場において女性の靴はパンプスやストッキングがふさわしい、フォーマルであるといった社会の固定観念のほうが問題であると思っています。相談を受ける際には痛みを我慢しながら仕事をせざるを得ない女性の置かれた社会背景も理解しなくてはならないと考えています。

医師は患者様お一人お一人が抱える事情にできるかぎり寄り添い、経験と知識からベストな方法を提案し解決を目指すべきです。履物に関して言えば社会の固定観念は簡単には払拭出来ません。
しかし単にパンプスを禁止するのではなく、より取り組みやすい方法。例えば・・・

・通勤とオフォスで靴を履き変える
・ビジネス用と週末用を靴を履き分ける
・休足日をつくる
・季節によってはオープントゥを選ぶ
・インソールの滑り止めを使う


など、できることからやってみましょう。
私たち医師は常に患者さんの側に立つ味方でありたいと願っています。


■なぜ、あんなに痛いの?

指先というのは知覚神経が集中しており、非常に繊細な感覚を持っています。つまりそれは、怪我や圧迫などにより痛みを強く感じるということでもあります。また、巻き爪の多くは炎症(症状:赤み・痛み・腫れなど)を伴っています。炎症だけで痛いのに、それが感度の鋭い指先であったなら、なおさら痛いよね…ということです。この炎症がなくならないと痛みはとれないのですが、簡単では無いことも多くあります。

どうして治療をしても痛い…ということが起こるの?

巻き爪は皮膚科や整形外科・形成外科で治療が受けられます。
ただし、巻き爪への取り組み方は医師によって大きく異なります。受診先が巻き爪治療にを得意として積極的に取り組んでいる先生とは限らないのです。
「とりあえずこれつけといて…軟膏だけで終わった」
「爪がどんな状態か良く診てもくれなかった」

という話もよく聞きます。治療を受けても一向に痛みが取れない、時間がかかりすぎると感じた場合は別の医療機関の受診も検討すべきです。できればホームページなどで巻き爪治療について詳しく解説しているような、巻き爪治療に積極的なクリニックを選ぶと良いでしょう。

■巻き爪の治療は医療行為です。
あと、意外に知られていないのは、巻き爪の治療は医療行為ということ。

「病気を診断し治療する行為」を行うには医師の資格が必要です。つまり「巻き爪と診断し治療する」のは医療機関でしか許されていないのです。ネイルサロンやフットケアサロンで「巻き爪治療」「ドイツの資格があります」なんて広告をよく目にしませんか?医師は勤務していません。それなのに施術を行っている。医師法違反は重罪ですが、法的問題はおいておいたとしても、専門家ではない人がやる施術は場合によっては健康被害のリスクがあります。健康被害の訴えにより保健所の指導が入って突然閉店して治療が続けられなくなり困ってしまうこともあるかもしれません。

巻き爪治療を行うサロンがたくさんあるのはネイルサロンの乱立、競争の激化という背景もありますが、医療側が提供するサービスに満足していない方が沢山いらっしゃるため、そこニーズがあるからだと思います。これに関しては医療提供する側も大いに反省すべきだと思います。またこうしたサロンに勤務している方で、ご自身の仕事の法的根拠に不安を感じたらお近くの保健所で相談すれば明確になるでしょう。コンプライアンスが求められるのはネイルサロンであっても例外ではありません。

巻き爪の診察は慎重に行う必要があります。

診察の際に医師が「これ痛いですか?」と不用意に患部に触れて飛び上がるほど痛い思いをしてトラウマになったというようなお話も聞きます。このような診察の仕方はNG。それでなくても触れてほしくないのに、患者様からすればたまったものではありませんよね。

私たちは診察するときには、視て観察し直接患部に触れずに口頭で「こういう状況で痛みはありますか?」と確認あるいは指差しで「ここは痛いですか?」と確認します。どうしても触れなくてはいけない場合でも、予告した上で最小限、痛くないようにできるだけゆっくりソフトに触れる、あるいは患者様自身で触れていただくようにしています。治療の際にも痛みに最大限配慮して行っています。

■巻き爪の専門家に相談するのがベスト。

巻き爪治療には、さまざまな方法があります。状態や御希望によって生活指導やテーピング、お薬だけにとどめることもあるし、ワイヤーだけでなく巻き爪クリップのような簡単な矯正法をお勧めすることもあります。
医学的な必要があれば患者さんの同意を得た上で麻酔をして爪を切ることもあるし、根治的な手術を選択することもあります。このように複数の治療選択肢から最適な治療法を提案し御希望の方法を選んでいただけるのは、私たちが巻き爪を専門としてやっているからこそ。

積極的に巻き爪治療をに取り組んでいない医療機関の場合は選択肢は狭まりますし患者さんの希望と違っていたり、効果が不十分であることもあるかもしれません。そうしたことが治療を受けた後も痛みがつづいてしまうことがある一つの原因です。

<<当院の巻き爪矯正は速やかに痛みがとれます>>

なぜ、ワイヤー矯正は「秒」で痛みがとれるの?

施術した直後から遅くても数日以内に痛みは激減また消失します。なぜか?
そもそも巻き爪というのは、巻いているからすぐ痛いという訳ではありません。

「爪が強く当たって皮膚が傷がつく」ことをきっかけに突然強い痛みが出始めるのです。

ほんの1ミリの爪の当たり方違いが無痛を激痛に変えることがあります。そこが巻き爪の厄介なところでもあります。朝出掛けるときは気になる程度だったのに、夕方激痛ということも決して珍しい話ではありません。靴による圧迫や足のむくみなどで爪と皮膚との相対的位置関係がわずかに変化することが強い痛みに繋がる。ワイヤー矯正ではこれを逆手に取ってワイヤーで爪をほんのわずか、ミリ単位で動かすことで痛みが激減またはゼロにする。それこそが、「秒」で痛みがとれる理由です。

■施術方法はさまざまですが、目的はおなじです。

巻き爪で用いられる施術のすべては、この『爪と皮膚との位置関係の改善』を目的としています。コットンパッキング法という爪と皮膚との隙間に綿を詰める方法、テーピングで皮膚を引っ張るのもおなじ理屈です。飲み薬や軟膏も腫れを退かせて爪と皮膚の距離を稼ぎ、爪の皮膚への刺激を緩和することで局所の安静を図るのが目的です。ただこれらの方法はあくまでも補助的治療であって単独では十分な効果は期待はできません。

ワイヤー矯正はより積極的に爪に働きかけることで、確実かつ「秒」で効果を実感できるのが大きなメリットです。施術自体も痛みはありませんし手術のように術後に痛むこともありません。しいて言うなら違和感がある程度。とはいえ1日もすればなくなるのでご安心ください。

■えっ?もう終わったの?と驚かれる患者様ばかりです!

当院で施術を受けた方の多くは
「もう終わったんですか?」
「まったく痛くなかった」
「こんなにすぐ良くなるなら、もっと早くこのクリニックに来たかった」

と喜ばれます。私たちが巻き爪を専門にして良かったと嬉しくなる瞬間です。
ワイヤー矯正をされた方は、あまりにすぐに痛みがなくなるので「このワイヤーって痛み止めの成分が入っているんですか?」と聞く人もいるくらいです。巻き爪ワイヤー矯正を受けようかとで悩む方はたくさんいます。そんな方たちに「本当に痛くないからビクビクせず安心して受診して下さい」と言ってあげたいです。

クリニックにはいつ相談に行けばいい?そして、どれくらいで治りますか?

痛みを感じたら無理せず医師への相談を検討する、が正しいです。
爪が巻いているから即治療ということではありません。爪が一周するほど巻いていても痛みは全くないという患者様は珍しくありませんし、逆に爪がほとんど巻いていなくても激しく痛む患者様もいます。巻き爪の医学的分類には変形の程度を指標とする考えもありますが、痛みの有無で治療の必要性を判断しその除去を最優先するというのが私達の考えです。

■矯正期間は短いと戻りやすく、長ければ通院が続かなくなってしまうため、
当院では6ヶ月としています。もちろん希望により期間の変更も可能です。

巻き爪ワイヤー矯正により痛みがすぐに取れるのは説明したとおりですが、痛みが無くなったからといってすぐにワイヤーを外すと短期間で戻ってしまいます。かといって年単位だと通院が続かない患者さんも多くいらっしゃいます。そこで当院では通常半年を一つの区切りとして、そこで一旦ワイヤーを外します。その後はまた巻いてきた方だけ再開を検討していただきます。

治療するかどうかの判断の材料として変形の程度はあまり優先していません。では、なにを優先しているのか。それは、患者様が痛くて困ってらっしゃるかどうか。誤解があっては困りますが決して「痛くない人は治療しない」ということではありませんよ。
例えば痛みはまったくなくで「そのうち痛くなるって聞いて来ました」という方の場合。一回も痛みを感じたことがないのであれば、適切な爪切りの方法や履物を選ぶことでそのあともずっと痛くなることなく生活できる可能性は高いのです。その場合は

「こうすると痛くなく生活できることが多いので試してみては?」
「予防だけで様子を見るのもひとつの選択肢ですよ」


と生活指導のみを行うケースも多々あります。

もちろん患者様からの希望があればすぐに治療をはじめられますが、通院も必要ですし、矯正治療は保険が使えないので費用も決して安いわけではありませんからね。放っておけば悪化するなどと脅してして治療を開始といったことは決していたしません。患者様のおひとりおひとりの病状とニーズを把握したうえで、その時点でベストな方法を提案する。爪のプロフェッショナルである当院のポリシーです。

「痛くされるのが嫌だから病院に行くのがこわい」「どこに相談していいのかわからない」「色んなところを試したけど、まったく治らない」…そんなお悩みを抱えている方がいたら、当院へお越しください。みなさまが抱えてらっしゃる不安・悩みも、秒で解決いたします!


【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-12-15 さわやビル2F
予約制03-3513-8212
●終日診療 △午前の部のみ診療 -休診
【平日】10:00~13:00/14:00~19:00
【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
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院長野田 弘二郎
副院長野田 真喜(女性)
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◆都営大江戸線
「飯田橋駅」B3出口より徒歩3分

当院には駐車場はございません。お車の場合は飯田橋駅ラムラ地下駐車場が便利です。(30分:300円・駐車サービス券はございません)

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