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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ
カテゴリ:院長

拡張ピアスの閉じ方(たぶん)世界一詳しく書かれたブログ〜画像あり

  • 2019.10.04

拡張ピアスはこうすれば閉じられます

〜拡張ピアス閉鎖について(たぶん)世界一詳しく書かれたブログ〜

春先になると神楽坂肌と爪のクリニックでもご相談が増えるのが拡張ピアスを塞ぎたいというご相談です。
男性がほとんどですが、最近では女性もチラホラ。
拡張ピアスを塞ぎたいというワケも人それぞれですが、人生の転機となるタイミングで、という方が多いですね。それが春なのでしょう。その理由となるのは・・・

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ピアスによる耳切れ「耳垂裂」がこんなにきれいになります!(画像あり)

・転職する、就職する:職場によっては差し支えるようで
・結婚する:お相手の親御さんのお考えもさまざま
・子供が生まれた:私も子供がいるので、その気持ち良く分かります
・お受験で親子面接を受けることになった:自分のことならまだしも、子供の将来は別ですよね
・趣味が変わった、飽きた、家族に言われた・・・ などなど
・他に拡張しすぎて穴が裂けちゃったという方も:焦りもハンパない・・

そこで突然困ることになるのが拡張ピアスの穴の始末。特に就職や結婚式など日時が決まっている予定があると焦る人も多いようです。見慣れない人には拡張ピアスはけっこう怖い不気味なイメージがあったりして誤解を受けかねないですから。慌てて当然です。なんとかしなきゃ!

そこで自分でこんなことしてみたけど・・・
 ピアス外しておいたけど、ある程度以上は小さくならない・・向こうの景色が見えちゃう!
 イヤリングで隠そうにも、拡張した穴が大きすぎて隠しきれない・・
 ピアスがハマってないと、ダラリと垂れ下がってカッコ悪い・・ダルダル
 ピアスショップで相談したけど、拡張ピアスを閉じる方法までは教えてくれない・・
 医者に相談したら「やったことがないから無理!」と門前払いされた・・・当院に紹介してくれればいいのに
 美容外科で相談したら片耳30万以上と言われてさすがにあきらめた・・・相場はかなりお高いようです
 30万払って手術は受けたけど医師の経験不足で余計に変形してしまった・・・これは最悪!!

 こまってネットで情報探したけど拡張の仕方の情報は多いけど閉じる方は書いてない・・・

こう言ったお話を患者さんから聞きます。皆さんほんとうに困ってらっしゃるんです。
タトゥーもそうですが、始めるよりやめる方が何十倍も難しく、お金もかかるのが拡張ピアス。後悔するくらいなら初めからやらない方が良いなんてのは当たり前の話しですが、人生のシーンは年代ともに大きく変わっていくもの。ご本人は拡張ピアスを気に入ってても、まわりが拡張ピアス受け入れにくい環境に変化することだって良くあります。もちろん年齢とともに自身の趣味や価値観が変わって拡張ピアスが黒歴史になることだって。今すぐ拡張ピアスを閉じたい!とう方だけでなく、今は拡張ピアスしているんだけど、将来は元の耳に戻したいと考えていらっしゃったらこのブログがお役に立てるかもしれません。

神楽坂肌と爪のクリニックではピアスによる耳切れなどピアストラブルの症例が特に多いのですが、拡張ピアスの閉鎖手術も数多く手がけております。拡張ピアス閉鎖手術の目的は、穴を塞ぎ見た目を元の状態に戻し、拡張した過去さえも無かったかのようにすることです。変形したり、キズが目立ってしまい、「あ、この人拡張ピアスしてて手術で塞いだんだ」ってバレちゃだめなのです。ビヨーンと伸びた耳を元の形にどこまで近づけるかは外科医の腕次第。患者さん側からすれば集められる情報次第。せっかく拡張ピアスを閉じる決心をされたのなら後悔しないためにも病院に行く前にまずはしっかりした情報を入手、整理しましょう。ということで今回は拡張ピアスの塞ぎ方について皆さんの知りたい情報を世界一詳しく説明します。ここまで前置き。この後もとってもとっても長いので↓↓の目次をみて必要なところだけ読んでも良いんですよ。

このブログの目次
・費用はいくらかかるの?
・どこで手術を受けたら良いの?
・手術って痛いの?これ大事!
・手術ってどうやるの?その1.準備編
・手術ってどうやるの?その2.麻酔編
・手術ってどうやるの?その3.手術編
・手術ってどうやるの?その4.術後経過と抜糸編
・手術のリスクと合併症について
・良くあるご質問

費用はいくらかかるの?

さて、まずは皆さん一番気になる費用について。若い方も多いですから現実的に負担出来る額なのかは気になりますよね?で、まず残念なお知らせから。拡張ピアス閉鎖は健康保険で治療することができません。拡張ピアスの穴はご自身の希望で開け、拡張したのであって、生まれつきでも病気で穴が開いたのではないですよね。すると開ける時はもちろん、閉じる時も健康保険は使えないのです。つまり治療は自費診療、10割負担、全額自己負担なのです。扱いは美容で二重まぶたにするのと同じですね。因みに生まれつき耳が欠けている先天性耳垂裂という病気には拡張ピアス閉鎖とほぼ同じ内容の手術を行いますが、もちろん保険が効くのでご自身の負担は3割負担で3万ちょっとです。もしその治療費を全額自己負担したとして計算するとだいたい片耳11万円くらいになります。しかも健康保険なら消費税も無税。ありがたいですね。拡張ピアスの方は残念ですが・・・。お国の方針ですから従うしかない。

またご存じかもしれませんが、健康保険であればどこの医療機関で受けても手術料金は同じです。熟練のカリスマ外科医が執刀しても、初めてメスを握るピチピチの新人研修医が初挑戦しても同一料金なのです。ところが自費診療の料金は病院によってバラバラです。同じ手術でも何倍も違うことがよくあります。自費診療では、経営者は自分の考えで勝手に料金を設定して良い事になっています。外科医の腕、経験や報酬、経営戦略、コスト(材料費、スタッフ人件費、家賃、広告費)などにより料金を設定します。どの項目をとっても各病院で異なることばかりですね。言ってみれば、レストランと同じなんです。お鮨屋さんだってマグロ一貫100円の店もあれば1万円の店もありますよね。顧客が納得して払ってくれるのであれば幾らで設定しても良いのです。考えてみるとむしろ当たり前の感じもありますが、ここが保険診療とは大きく違います。

さて、前振りが長かったですがここでやっと実際支払う金額のお話。自費で拡張ピアスを閉じる手術はネットや業界情報、あるいは神楽坂肌と爪のクリニックにいらっしゃった患者さんから直接聞いた話しによれば片耳で最安8万円〜高いところで50万円以上で20万位が多いようです。もっと安い設定のところもあるかも知れません。先ほど書いたように料金設定は自由なのですから。たとえば品番とスペックの決まったパソコンを買うのであれば価格.comで比べれば簡単です、でも手術では誰が執刀するで肝心の治療結果が全く違ってしまうので単に金額だけで決められるものではありません。最悪手術前より悪くなることだってあります。高ければ良いわけでもなく、安くても安心出来ないのです。戦略的に高く設定しているところも多いです。レストランもそうですが、手術も高いお金を払ったから良い手術してもらえると限らないところが難しいところですね。いや、手術の場合はやり直しが難しいので、お腹が空けばまた行くことになるレストランとは比べものにならないくらい難しいのです。

クリニックにもよりますが、実際に受診して料金を相談するだんになると手術料以外にもいろいろと費用のかかるところもあります。採血が1万円だとか、医師指名料が3万円とか、プラチナ料金(テクニックや材料が違う?)5万円、穴が大きいから10万円プラスだとか・・・いろいろと。神楽坂肌と爪のクリニックもそうですが、美容系以外だとこうした費用がないところもあります。まぁ拡張ピアスの手術に血液検査が必要かどうかは置いておいて、これも各クリニックの経営戦略です。納得出来れば払えばよろしい。こうした費用は独自であって当たり前のことではないので納得出来なければそういうクリニックを避けることもできます。ネットで30万と書かれてて無料カウンセリング受けたら、医師ではなく凄腕セールスレディーが出てきて、なんだかんだで60万円と言われてしまい「オススメです!皆さんそうされますよ♪」「今日ここで決めるなら5万円ディスカウント」なんてところもあるんです。病院なのに美容医療の世界はなんだか怖いですね。でもそういう美容外科は決して珍しくないのです。

因みに「神楽坂肌と爪のクリニック」の場合、拡張ピアス閉鎖は手術料金は11,0000円。手術料以外に初診料3,300円と薬代730円です。なお当院では無料カウンセリングは行いません。セールスレディーもいません。医師が診察と相談を承りますが、治療は受けなくてもただ相談するだけでも費用がかかります。あと抜糸の時に再診料と処置料が合計1,650円。なお、2ヵ所目以降(例えば両耳を同日に行う場合)は割引があって1ヵ所99,000円です。美容外科クリニックでの拡張ピアス閉鎖の相場は片耳20-30万前後だそうですから、当院の手術料もっと高く設定しても良いのかもしれません。でも拡張ピアス閉鎖を希望する患者さんって20代前後の若い方がほとんどで、「来月就職決まってるんでなんとかお願いします」なんて話を聞いちゃうと初任給より高い手術料はなかなか請求出来ません。それに我々が低額で提供出来る理由は圧倒的な症例数の差。迷い無く手際よくやりますから実所要時間は美容外科の半分以下。15-20分程度です。早すぎじゃないかって??いやいや1時間いじっててもキレイには仕上がらないのです。理由はのちほど説明しますね。

どこで手術を受けたら良いの?

ここまで料金が違うのは説明しましたが、ではどこで手術を受けたら良いのでしょう?関東にお住まいで東京都新宿区にある神楽坂肌と爪のクリニックに来院いただけるのであれば良いのですが、すごく遠いという方もいらっしゃいますよね。なかには海外にお住まいとか。ここでももう一つ残念なお知らせがあります。実は拡張ピアス閉鎖はやっていない病院がほとんどなのです。試しに近所の耳鼻科や総合病院に電話して問い合わせてみて下さい。9割以上の確率で「えっえっ?拡張ピアス?あの大きな穴のやつでしょ?そんなのうちじゃできません!」と言われてしまうでしょう。拡張してない普通のピアス穴閉鎖だってやらないところが殆どなのです。

では駅前の美容外科では?試しに「ホクロ取りたい」とかなんとかで無料カウンセリングに行ってみて下さい。そこで、ホクロ相談の後でおもむろに拡張ピアス閉鎖の相談をして下さい。たぶん「え?拡張ピアス?それって・・・え〜っと、片耳30万かな。そうそう30万だ、うん。それでいいならやります。でも今ここで決めてくれるなら20万でいいよ。ローンも扱ってるから。え?お金が無い?じゃ、特別に18万円で!ただし、今ここで決めてくれたらね」なんて言われて、なんだか適当な料金設定に逆に不安になるかもしれません。

驚かれるかも知れませんが拡張ピアス閉鎖の手術をやったことない美容外科医なんてたーくさんいますから気をつけて!むしろやったことがある美容外科医のほうが珍しいくらいです。見抜くのは簡単です。予告無し唐突に「先生ご自身が執刀された拡張ピアス閉鎖の症例写真見せて下さい」と言ってみましょう。今はないから後で見せます、とかなんとか言ってごまかそうとするクリニックで手術を受けるのはあきらめましょう。診察についてアドバイスするとすれば納得するまで質問して説明を受けることです。少しでも不安があれば、「家族と相談してまた連絡します」と言って一旦帰宅する勇気を持ちましょう。時間がなくても近所のクリニックで安易な即決というのはは危険です。納得出来なければ他の医師にもセカンドオピニオンを得ることを強くオススメします。

では拡張ピアス閉鎖をやってくれる可能性が高い病院はどこでしょうか?それは形成外科専門医のいるクリニックや総合病院の形成外科でしょう。もちろんやらないところや慣れてないところもあるので事前に確認は必要です。事情によって手術を急いでらっしゃる方も多いとは思いますが病院選びはよくよく慎重に。クチコミもお金で買える時代ですからね。因みに神楽坂肌と爪のクリニックではどこかの病院で手術受けたけどズレたり、耳が長ーくなったり、お尻みたいにくびれた、など結果に不満のあるケース(ヤフー知恵袋に画像がいくつもありました。私から見ても気の毒な形にされちゃってますし、時間とともに良くなると説明うけたとありますがそんなはずありません!)の修正も同じ料金で承っております。もちろんやり直しよりも、最初からやらせていただければ結果が良いのは言うまでもありませんが、他の病院の手術が納得いかなくてもあきらめる必要はありません。

手術って痛いの?

費用の次にご質問が多いのが、治療は痛いのかということ。ピアス開けるとき少し痛いのは我慢出来るけど手術が痛いのは嫌という患者さんはたくさんいらっしゃいます。だって手術ですもん、ピアスと違って想像もつかないし当然心配になりますよね。それなりの心の準備も必要だし、あんまり痛ければやめとこうかなぁという方もいらっしゃるはず。料金より痛みのほうが気になるという方も多いです。ここで良いお知らせです。実は拡張ピアス閉鎖手術は手術中の痛みが全くありません!ゼロです痛みがあるのは局所麻酔の注射だけ。因みに注射は耳たぶに直接します。皮膚なので歯医者さんみたいな粘膜表面麻酔のスプレーをシュッなんてことも出来ません。でもさいわい耳たぶは感覚が鈍いところなのでまぶたや鼻への注射と比べればずっと楽です。神楽坂肌と爪のクリニックなら30ゲージ(拡張ピアスのゲージ数とは違いますよ、30ゲージの針の太さは約0.3mm)の極細針を使います。普通は一番細い針といえばワクチンに使う26ゲージ、でもこれは30ゲージより5割近く太いんです。当然細い方が痛みは軽減されます。

麻酔さえ終わってしまえば手術中の痛みはゼロ、つまり全く痛みはありません。何か触れられている感じと耳元でカサカサ音がするだけです。「なんとなく触れるられてる感じが分かるけど、痛みを感じないのが不思議!」という感想がよく聞かれます。局所麻酔は2時間ほど効いていますので手術中に痛みが出てくることはありません。また2時間ほどたっても急に切れるのではなく少しづつ感覚が戻ってきます。それでも耳の手術では麻酔が切れてからの痛みもほとんどありませんのでご安心下さい。通常痛み止めが処方されますが、神楽坂肌と爪のクリニックで手術を受けた患者さんのなかには痛くなかったから飲まなかったという方も沢山いらっしゃいます。飲んだ方が腫れが少なく傷がキレイになるので痛くなくても飲んだ方が良いです。いずれにしても耳たぶの手術は痛みを心配する必要はありませんのでご安心下さい。

手術ってどうやるの?その1.準備編

いよいよ手術について具体的に説明します。まずは準備編から。まず手術しないほうの耳も含めて全てのピアスを外します。どの病院でもまず例外なく外すよう言われるはずです。理由は手術中に機械を使って止血する際に手術部位以外に火傷を起こすリスクがあるからです。ピアスがどうしても外れなくなっちゃってせっかくの手術が延期なんてことにならないよう、当日はピアスは全部外してから病院に行きましょう。事情があって外せない場合は手術延期も検討して下さい。それくらい大事なことです。

トイレをすませたらいよいよ手術室に案内されます。専用の手術室のこともありますが、小さな手術なので当院のように診察室ですることもあるでしょう。いずれであっても心地よく空調され、外科医の趣味によるBGMが流れているはずです。まず手術用ベッドの横になってもらい、髪の毛をテープで固定します。耳のまわりの毛を剃ったりはしませんのでご安心下さい。緊張から寒いと感じたら看護師にタオルやブランケットを掛けてもらいましょう。それだけでも結構リラックスできます。外科医は貴方の頭側に置いた椅子に座ります。そして上から手術用ライトが迫ってきますが、手術する方の耳を上にして顔は横を向いた状態なので怖くはありません。

写真撮影のあと、皮膚にペン(通常青い手術用マーカーかピオクタニンブルーというインクを爪楊枝につけたもの)で切開予定線を描く「デザイン」をします。デザインは最終仕上がりの8割が決まってしまうほど一番大事なプロセス。体表の形成手術において外科医の実力の差が一番出るのが実はデザインなのです。手術というものは手先が器用なだけではダメで、経験とセンスがなければ良い結果になりません。患者さんお一人お一人について拡張された耳たぶの状態、つまりは皮膚の引き延ばされ具合、凹凸、歪み、ズレ、他のキズ跡やピアス穴との位置関係などと、縫合後にかかる皮膚の緊張とそのバランス、キズの向きと長さ、将来的なキズへの影響、左右のバランスなどなど様々なことを評価、勘案しながらデザインが決定されます。

デザイン用のペンを握りながら我々外科医はすでに「メスを握っているモード」に入り、どう切ってどう縫うか、頭の中で緻密にシミュレーションします。経験の十分な外科医であれば、デザインは迷ったり書き直すこともなくバシッと一発で決まります、またそのシミュレーションは非常に正確で、実際に切る時や縫合する時になってデザインを変更することは滅多にないのです。神楽坂肌と爪のクリニックではデザインが1分、手術は15-20分程度です。外科医がうーんと考え込んでデザインを何度も書き直したり、切り始めてからデザインを変更するのは経験不足の証拠です。ただし、この段階で外科医の経験不足に気がついても遅すぎるのですが・・・。

拡張により引き延ばされている皮膚は穴を閉じるには使えません。質感が異なりますし、引き延ばされた皮膚を無理に使おうとするとぴょこっと飛び出したり、布袋様の耳のような長く伸びた変テコな耳になってしまいます。先ほど書いたヤフー知恵袋で変形を残してしまったケースはみんなこれです。皮膚を残せば失敗しても後日やり直しやすいというのがありますから、経験の少ない外科医は弱気になって皮膚を残しすぎて形が悪くなってしまうのです。キレイに仕上げようとすると迷わず切り捨てるほうが良いこともあります。この「思い切り」も充分な経験が無いと難しいところなのです。やり直しになれば患者さんは「お金」と「痛み」という負担が増えてしまいます。

手術ってどうやるの?その2.麻酔編

デザインが済んだらそれに沿って局所麻酔の注射をします。細い針(神楽坂肌と爪のクリニックでは30ゲージという極細針)で歯医者さんでも使われるキシロカインという麻酔薬を1〜2mlほど注射します。耳の手術で使う麻酔薬にはエピネフリンという血管を収縮させて出血を少なくするお薬が入っているので少し胸がドキドキするという方もたまにいらっしゃいます(ほとんどの方は気がつきません)がこれは数分で収まりますので心配いりません。ただし、過去に局所麻酔をして息苦しかった、じんましんが出た、吐き気があったなどの経験のある方は、局所麻酔薬にアレルギーがある可能性があるので通常のクリニックではなく麻酔科のある総合病院での治療が必要となります。過去にこうした症状があった方は必ず主治医に伝えて下さい。これを伝えなければ最悪命に関わることがあります。ここほんとに大事です!

さて麻酔の注射をしてから10分ほど待ったら耳とその周りを手術用消毒液で拭きます。耳の大きさに穴をあけた青か緑色の不織布(病院によっては厚手の布)を頭にかけて耳だけが露出した状態になります。目は開けておいても良いですが紙がかかっているので周りの様子は見えません。このため音に過敏になってしまい、耳元でカチャカチャ、あるいはカサカサいう音(手術の道具の音)が気になってしまうかも知れませんが手術中に麻酔が切れたり、突然痛んだりすることは決してないのでリラックスして、次に行く旅行のことでも考えましょう。あるいはこのチャンスに外科医にいろいろ質問してみるのも良いでしょう。例えば、拡張ピアス閉鎖手術の患者さんは多いのですか??とか、またピアス開けたくなったらいつから出来ますか?などです。しっかりした外科医であればそんな状況でも真摯に答えてくれると思います。

手術ってどうやるの?その3.手術編

次に手術が実際どう行われているのか説明します。まずデザインの線に知ってメスで皮膚を切り、拡張ピアス穴を裂きます。え?裂いちゃうの??と思う方も多いですよね?だってせっかくつながっているのに!先ほどデザインのところでも書きましたが、裂かずに拡張部分の皮膚だけ取って縫い合わせてもそこだけピョコッとイボのように飛び出したヘンテコな耳になっちゃうのです。経験が少ない外科医はヘンテコな耳を作ってしまい、途中でおかしいのに気がつき、慌てて切り直してやり直すことが多く、やり直すものだからその分時間がかかってしまいますし、当然最終的な仕上がりも悪いのです。穴が小さく縁から遠い場合は裂かずにやることもありますが、これは患者さんの希望で決めるのではなく担当医師の判断になります。

さて、一旦裂いたら裂け目の先端部分に小さな皮膚のぴらぴら(皮弁)を残してこの皮弁がきっちり正確に噛み合うようにします。W形成術とか小三角弁法などと呼ばれる方法で術後のヒキツレを防止します。普通の形成外科医はここをZ形成術とすることでしょう。標準術式であり私も大学病院で若い外科医に指導する時にはZ形成術でやっていましたが、今はこの部分にはW形成術をします。耳垂の縁を合わせる時にはZ形成術では立体的に微妙な歪みができます。もうひとつの問題はZ形成術では症例による自由度が少ないという欠点があるのです。特に裂け目の長さが前後で異なったり、厚みが違ったりすることも多い拡張ピアス閉鎖ではW形成術が有利だと考えています。ただしこれは外科医の好みの問題、かなり専門的で微妙なことなので外科医自身がやりやすい方法であればどちらの方法でも全く問題ないと思います。

手前味噌ですが耳垂裂手術におけるW形成術をウェブ上で最初に大きく打ち出したのは実は神楽坂肌と爪のクリニックの私です。耳垂裂手術でW形成術をやっていますというクリニックは沢山ありますが、その説明文は私のブログより後に書かれたものばかりです。中には当院ホームページのイラストと説明文をまるごとパクっていったクリニックもあります。でも抗議はしていません。私のブログをこっそり読んでる同業外科医の一部の方、いまギクッとしましたね?良い方法だから真似されたのだと納得していますけどマルパクリは気分の良いものでは無いです。

いずれにしてもZとWは普通の人がみれば同じようしか見えないくらい、細かすぎて伝わらない違いです。普通の人がキズを虫眼鏡で見ても二つの違いは分からないでしょう。ZであろうとWであろうとどちらでも良いのですが、こうした小さな皮弁をいれないと(しない方法を直線法といいますがそれはさすがにダメ)のちのち縫ったところがお尻みたいにくびれて見た目が非常に悪くなります。「W形成術でやって下さい」などとリクエストすると外科医によってはやりにくくて嫌だなと感じると思うのでやめたが良いでしょう。どんな治療もそうですが、経験のある医師に「お任せ」が一番結果が良いものなのです。「ネットで見たやり方でやって下さい」などと言ってしまうと、「目の前の医者よりネットを信用する人なんだ」と警戒されてしまい、最悪治療を断られてしまうかも知れません。良い手術を受けるためにはお互いの信頼関係も大切です。

手術の説明に戻ります。世界一詳しいだけになかなか話しが進みませんね。さて、デザインに沿って皮膚を切開したところまででした。次に剥離といって切開線に沿って少しだけ皮膚の中を切りキズがぴったりキレイに合うように縁を加工します。このあと高周波メスを使って丁寧に止血をします。丁寧と言っても一つ一つの止血は一瞬。ジッでおしまい。このジッ、ジッ、ジッと繰り返します。同じ場所をジーーーーーーーッと長いこと止血する癖のある外科医がいますが、止血が逆に不確実になり再出血のリスクが高く、熱損傷も起こしやすく結果が良くありません。そういう外科医は出血源がよく見えていない、または見ようとしていないのです。経験を積めば止血も上手くなります。

最後は糸と針を使って縫合します。皮膚同士がぴっちり隙間無く合うように髪の毛ほどの細さのナイロン糸で丁寧に縫い合わせます。キズの合いをアダプテーションと言いますが、これも外科医の腕で全く違ってしまいます。アダプテーションが非常に正確だと傷の治りが良く傷跡も目立ちません。さてデザインが正確だと縫合してお終いですが、デザイン不正確だと不格好になり、もう一回キズを開いて皮膚を切り足してから縫い直しになります。そうすると手術時間が1時間近くかかってしまうのです。デザインがいかに大事かは準備編で説明しました。慣れた外科医なら皮膚切開から仕上がりまで無駄ややり直しがありませんので15〜20分程度でしょうか。軟膏を塗ってガーゼで保護してようやく手術完了です。

手術ってどうやるの?その4.術後経過と抜糸編

先ほども書いたように術後の痛みはほとんどありません。通常痛み止めなどの飲み薬3日分くらいとキズに付ける軟膏が処方されます。神楽坂肌と爪のクリニックでは手術後の制限として3日ほど熱い風呂(シャワーやシャンプーは可)に入ったり、運動したり、飲酒することは控えていただいています。内出血をおこして耳が数日間にわたって紫色になることがあるからです。詳しくは主治医の指示に従って下さい。当院でお願いしている自宅での傷の手当てですが、シャンプーしたあと軽くすすいで、タオルで優しく水分を取ります。消毒はせずに、軟膏を付けたバンドエイドで耳たぶを軽く挟んでお手当は完了です。これを1日1回やっていただきます。毎日通院処置など必要ありません。消毒しない理由は、よく洗っておけば化膿することはないですし、むしろ消毒液にかぶれてトラブルを起こすの方が多いからです。因みに我が家には消毒液というもの自体おいてありません。子供がケガをしても水道水で洗うだけです。消毒液を使うメリットは何もありません。

手術をしてから5〜10日で抜糸、つまり糸を抜きます。4日以内だとキズが開く可能性があり、2週間以上置くと糸の跡が残るかもしれません。形成外科や美容外科ではこの「糸の跡」を非常に嫌います。外科系ではキズ跡は仕方がないものと考えられがちですが、主に体の表面を扱う形成外科や美容外科では皮膚の仕上がりがとても大切だと考えているからです。ズレや糸の跡、キズの盛り上がりやヒキツレが起きないように材料や器具を選び、デザインし、手術し抜糸するのです。尚、抜糸について詳しく知りたい人はこちらのブログをどうぞ。

抜糸直後のキズ跡はまだ生々しいモノです。でも安心して下さい。普通の人から見たら拡張された耳よりは抜糸直後の耳のほうがずっと自然に見えます。抜糸が済んだらもうハンドエイドで保護する必要もありません。抜糸から2週間ほどしても縫った跡はピンク色の線として、見えしこりのように触れると思います。このピンク色の線としこりは普通3ヶ月をピークに概ね半年〜1年続きます。それを過ぎると耳たぶは普通の柔らかさになり、縫った跡も肌色になって目立ちません。良い手術を受ければ、「実は以前に拡張ピアスしてて、1年前に閉鎖した手術を受けたんだよ」と言われても耳を見せられてもなんだかよく分からないくらいになります。

手術のリスクと合併症について

拡張ピアスの手術はリスクの高い手術ではありませんが、いくつか起こりえる合併症があります。頻度の高いものは手術後の内出血で、2-30人に一人くらいの割合で耳たぶの一部が紫色になります。ただし、数日で色は薄くなり10日ほどで吸収されてなくなります。傷の治りにも影響はありませんので心配はいりません。

もう一つは拡張ピアスに限らず、皮膚の手術であればどこでも起きえるのがケロイドです。ピアス穴を開けたり、包丁で切ってしまっても生じる可能性があります。だいたい1000人に一人の割合で起きます。希ですが、起きてしまった場合は注射や手術で治療します。

良くある質問


Q. 手術は痛いですか??
A. 手術は無痛です。触られている感覚だけで痛みは一切ありません。

Q. 大きな穴があるのですが大丈夫ですか?
A. 可能です。ただし大きく拡張している場合は手術も難しくなります。手術を担当する医師の腕次第でもありますので病院選びは特に慎重になって下さい。

Q. 軟骨部の拡張も塞げますか?
A. 軟骨部の拡張は更に難易度が高まります。組織の伸展性が乏しいからです。穴の大きさにもよりますが、非常に大きい場合は変形を残すことがあるかもしれません。治療前にしっかり説明を受けて下さい。

Q. ボディピアスも塞げますか?
A. 塞げます。もちろん外科医の技量によりますが。料金は当院の場合、拡張ピアスと同額です。但し、鼻ピアスが切れているケースでは治療が更に難しいので倍額をいただいております。

まとめ

長いブログを最後までお読みいただきありがとうございました。拡張ピアス閉鎖について(たぶん)世界一詳しく書かれたブログはいかがでしたか?繰り返し書きましたように良い耳に仕上がるかは執刀する外科医の技術と経験次第です。特に拡張ピアス閉鎖手術は決してありふれた手術では無く、むしろ特殊な手術であり、大きく差がついてしまいます。幸い病院や医師を選ぶのは患者さんのほうです。どの病院で治療をするか決めた時点で手術後の結果は決まったも同然なのです。病院選びは費用や通院のしやすさ、イメージやクチコミだけで決めると後悔します。手術後に大きく変形してしまうと手術後の修正は簡単ではありません。できれば複数の医師に相談してから決めるくらいの慎重さがあっても良いと思います。くれぐれも「今日決めれば安くするから!」と決定を急がせるクリニックでは手術を受けないようにして下さい。

院長NHKに出演いたします

  • 2018.06.20

おはようございます
本日NHKの「あさイチ」に院長が出演いたします

正しい足の爪の切り方などについて解説しております。
9時過ぎからの予定です。
よろしければご覧ください!

http://www1.nhk.or.jp/asaichi/common/img/logo.png

謎の奇病?親指の爪の真ん中がボコボコ その2

  • 2018.01.05
前回爪をいじる癖による変形について説明しました。 今回は爪変形とストレスとの関係、さらにはハビットティックの治療法について説明していきます。

 爪がボコボコとストレスの関係

爪がボコボコになっている方で多いのが、過去に爪をかんでいたことがある方や普段からストレスにさらされるお仕事の方。 そうした方はお仕事の忙しい時期のしばらく後に爪の症状も悪化したりします。 それはストレスを感じた時に気を紛らわせるために爪をいじるからで、自分自身の身体へ向かう行為が習慣化してしまうです。 こうした癖を神経性習癖と言います。他にも爪を噛んだり、サカムケをむしったり、髪の毛をいじったりなど。 ストレスの矛先が「爪」に向かいやすいのは爪が心と深い繋がりがあるためだと考えられます。女性はネイルをすると不思議と気分がアガるとよく言いますよね?爪と心は不思議な関係にあります。 もう一つ、重要なのは爪が指先の目立つ場所にあるため社会的意義においても重要だと言うこと。 太古の昔から人間は爪に色を塗って装飾としていました。 女性は特に年齢に限らず、ネイルをしたり手元をきれいに見せたいという方がほとんどではないでしょうか。 つまり、爪は人目をひきやすいということです。 そして人目を引きやすいのは美しく手入れされた爪だけでなく、変形した爪も同様なのです。 冒頭に書きましたが名刺を出す時、お釣りにやりとりで人目が気になる。 相手の目が指先で一瞬止まる気がする・・・ 資料を差し出しても爪ばかり見られる気がする。思わず手を握り爪を隠してしまう。 職業によってはより深刻な事もあります。たとえば、スシ職人やソムリエ。爪がボコボコな状態だったら客の立場からどう思われます? 実際ハビットティックが原因で失業しかけたという患者さんもいらっしゃいました。 爪がボコボコしているストレスから更にいじってしまうという悪循環。痛みがあるわけではないのですが、患者さんの悩みはとても深いのです。 それだけに治療が上手くいくと大変喜ばれるのです。実際その失業しかけたとおっしゃる方も数ヶ月で健康な爪を取り戻され本来のポジション(板前さんでした)に復帰されました。

爪のボコボコは治療できます

さて、この爪のボコボコはきれいに治ります。それも立った5-6ヶ月で。それこそ魔法みたいに。 その治療法は、飲み薬でもつけ薬でもなく、爪を保護することだけ。 爪の上にアクリル樹脂を乗せて爪全体を保護します。そして患者さんには爪変形の理由を説明して、爪だけでなくサカムケもいじらないよう頑張っていただくことです。 え?それだけ? ウソみたいですが、本当です。治療経過をご覧いただけばおわかりいただけるはずです。 【ビフォーの画像】 【アフターの画像】 【治療後(半年後)の画像】 保護しながら爪が入れ替わるのを待ちます。手の親指だと5-6ヶ月でキレイに生え替わります。そんなに待たなくても治療開始直後から一見キレイな正常の爪になりますから、長年悩んでいた患者さんにはこれだけでとても喜んでいただけます。またそれが治った状態をシミュレーションすることになり治療へのモチベーションが上がります。 治療後の写真をみると爪の変形とともに周辺の赤み、つまりサカムケを剥いた跡もなくなっています。キレイになっていく爪を見ながら患者さん自身爪を大切にすることで悩みから解放されることを実感するため、爪をキレイに保つことが快適な生活に直結するからです。少なくとも爪変形を見られるストレスからは解放されるのですから。 ただし、せっかくきれいな爪にもどっても数年後にまた爪をいじってしまい爪がボコボコになってしまう方もいます。仕事の忙しさ、ストレスの大きさと関係していることが多いようです。しかしこの治療、決してワンチャンスということではなくて、再発してしまったら何度でも繰り返すことが出来ます。そうした気楽さからむしろ気楽に過ごせていじらなくなったと仰る患者さんもいます。爪変形をあきらめてしまっている方はドンドンいじってしまい変形が進む傾向があるのです。 因みに先ほどの治療は全て自費診療となります。医者も役人も知らない病気なのですから健康保険が効かないのも仕方がありません。因みに費用は当院では指1本で3500円、両方の親指の場合は5500円で、概ね月に1回の取り替えが必要です。また初診時には初診料3000円をいただいております。治療期間は半年程度ですから、指1本2万円程度で治せる計算です。治療が終わった後、またいじってしまう不安のある患者さんの場合は自信がつくまで続けることももちろん可能です。 中には健康保険で治して欲しいと仰る患者さんもいらっしゃいますが、その場合は精神科へいったりカウンセリングを受けたりお薬を処方してもらうことになるでしょう。私はハビットティックがカウンセリングやのみ薬が必要とは思っていません。沢山の患者さんと接してきて言えるのは、ハビットティックが精神的な病気で起きるのではなく、ちょっとした癖によって起きるに過ぎないからです。 また、強い意志があれば爪いじるのを我慢して自力で治すことができそうですが、実際にはそれは無理というものです。患者さんの中にはそうした癖を恥ずかしく思ったり、爪に悪いと知っているのにやめられないという方も多いのです。実際自分の意志で頑張りますと仰った患者さんが1年ほどして余計に変形してやはり治療をお願いしますと戻ってらっしゃったこともあります。 もし、爪のボコボコで悩んでいる方がいたら、当院へご相談ください。 http://www.hadatotsume.com

親指爪のボコボコは謎の奇病?いいえ治せます!洗濯板状爪 その1

  • 2018.01.05

親指の爪が波打つようにデコボコしていて長年悩んでいる方がいらっしゃいます。

名刺を渡す時にギョッとされる

資料を手渡す時に見られるのがイヤで指先を隠す不自然な動作になる

コンビニのお釣りのやりとりで店員の目が気になってしまう

食事中に相手の目が指先で一瞬止まる

・・・これは母指爪のデコボコ変形で来院された方々から伺った実際のお悩みです。

こんな悩み、あなたまもありませんか?

まずはググって調べますよね?で、ネット情報にはビタミン不足、亜鉛不足、ビオチンが効く・・・など治療したことも無いくせにもっともらしいことを書いている皮膚科医が多くて驚きます。育爪サロンで売っている何千円もするケアオイルなんてのもあります。試したという方も多いですが効果はありません。だって全部根拠のない話し、率直に言ってウソですから!

色々試してもだめ。患者さんは変形に悩んだ末に病院で相談してもそこでも医者は首を捻るばかり。

「わからない」「水虫かな」「内蔵の病気かも」いろんなことを言われ、検査を繰り返しても異常はみつからず・・・しまいには「爪は専門外」「珍しい謎の奇病」だから大きい病院へ行きなさいと。

ところが大学病院、国立病院、爪の専門家、10軒以上回っても偉い先生達も言うことは同じ。

「様子を見なさい」「保湿しなさい」中には「死ぬことは無い」なんてドクハラ(ドクターハラスメント)発言まで!悲しいことにどれも私が患者さんが当院来院前に体験された実話です。

こうした深刻な悩みを持つ患者さんが私のクリニックには月に5−6人はいらっしゃいます。

実は珍しくもないし、奇病でもないのです。

こうした患者さんに共通する爪の状態とは・・・

1.親指の爪中央に、根本から先端まで一定の間隔で刻まれる横筋がある

2.爪半月が異様に大きい、甘皮が無い、爪の付け根の皮膚が腫れている

3.爪周辺にサカムケがたくさんあり、皮が剥けて赤くなっている

さて、なぜこのような事が起きるのでしょうか?原因は意外にもアレなんです。

意外な理由?爪がボコボコになる原因とは

実はこの爪のデコボコは「ハビットティック(habit tic)」といって、自ら爪をいじってしまう癖が原因で爪が変形してしまっている状態なのです。

ハビットティックの方の特徴

  • 人差し指や反対の親指で爪の付け根を繰り返しいじってしまう
  • 甘皮やサカムケもむしる癖がある、皮膚が乾燥しやすいと感じている
  • 子供の頃に指しゃぶりや爪を噛む癖があった
    爪噛み癖についての記事を読む】
  • ストレスが多い仕事、環境にある、緊張がかかると、あるいは解けるとつい爪をいじってしまう。

経験のある医師なら特徴的な爪変形から簡単に診断できます。検査も必要ありません。

受診した先の医師が知っているか知らないか、その経験と知識が全てなのです。

患者さんに変形の理由を説明すると、「そうか!確かにいじる癖があります!」「自分では内心そう思ってました」とすぐにご納得いただくことも多いのです。

でも、実は説明が難しいことも少なくないんです。

癖というデリケートな問題を含み、患者さん自身そうした癖を恥ずかしいと思ってらっしゃる場合も多いので、医師が無遠慮にそのことを指摘したり、伝え方を誤ると患者さんを不快にしてしまったり怒らせてしまうこともあるからです。

丁寧に説明し、そういうことも可能性としてあるといった言い方でお伝えしないと、「そんな癖はない!」「サカムケは乾燥が原因ですから!」「水虫に間違いないんだもう一回検査をして下さい!」とお叱りを受けることもしばしばです。

これではいかに正確に診断できても治癒に導くことはできません。ハビットティックの爪変形治療には患者さんの協力と理解が必須だからです。

でも私のクリニックにはそうした患者さんでも納得していただける秘策があります。

それは他の病院には無い、何百例ものハビットティックの治療前・後の症例写真。もちろん我々自身が治療したケースの写真です。ご自身とそっくりの爪の変形が、そして今までどの医師も診断も治療もできず、治らないと半分あきらめて長年悩んできた爪が、まるで魔法のように治っている様子をご自身の目で確認していただくのです。

今まで保湿やマッサージなどの治療法を提案はしても症例写真を見せてくれた医師はいないのですから遙かに説得力があるはずです。

更に今ではYoutube動画やこのブログを読んだ患者さんが治療への理解を深められた上で来院されますので、私にとっても患者さんにとっても最短で治癒に結びつく良い環境になりました。

水虫に違いないと思い込んでいた患者さん達もそうした情報で治療に納得し、信頼していただける。そして少しづつご自身の事を話していただけるようになることもあります。

「実は少しだけいじる癖があるんです・・・。」「でも爪は硬いから癖で変形するなんて信じられなくて・・・」と・・そりゃそうです。

あんな硬い爪がちょっとイジるくらいで変形するなんて普通の方は思いません。

でも指先ではカチカチに硬い爪も、付け根でまだ生まれたばかりの時はすごく柔らかいのです。

患者さんの中には「やっと希望が持てました!!」と、治療が始まる前から喜びの涙を流される患者さんもいらっしゃいます。

今まで医師に見捨てられたようでとても辛かったんだろうなぁと我々も同情していまいます。

そう、ハビットティックでの最大の問題は、これを知らないお医者さんが非常多いこと。日本の教科書には載ってません(2016年から一部の本に載るようになりました)からしょうがないのかもしれません。そういう私も、海外の医学雑誌や文献を探してようやく見つけたのです。試しに「habit tic」でググってみてください。外国の写真がヒットしますが国内の医師が撮影した写真はありません(2023年5月現在)

さて、次回のブログではハビットティックとストレスの関係について、そしていよいよその治療法についても解説していきます。

「抜糸(ばっし)」についての良くある質問 神楽坂 肌と爪のクリニック 院長野田弘二郎

  • 2017.10.11

神楽坂肌と爪のクリニックhttp://hadatotsume.com

海外で受けられた美容外科手術後の

抜糸は当院では行いません

紹介状のない方の抜糸ご依頼も承りかねます。

ご理解いただきますようお願いいたします。

当院の患者さんよく聞かれる質問に「ばっし」についてがあります。今回はこのばっしについてお話しします。

「ばっし」とは、同じ発音で全く違う意味を持つ用語があります。

ひとつは歯科用語で、智歯(親知らず)やう歯(虫歯)などの歯を抜くことを指す「抜歯(ばっし)」。

もうひとつは傷口を縫った後、数日経ってから糸を抜きとることを意味する「抜糸(ばっし)」があります。

※歯科用語では、同じ発音のため混同しないように「抜糸」のことをあえて「ばついと」と言いますが、抜歯を滅多にしない(実は医師でも顎の手術で抜歯することがあるんです)お医者さんにはなじみの無い言い方です。

今回は「抜歯(ばっし)」ではなく、患者さんから聞かれる「抜糸(ばっし)」に関しての質問についてお話したいと思います。

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抜糸(ばっし)って痛いですか?

抜糸(ばっし)は痛いのか?
答えは、抜糸は痛くありません。

正確に言えば、昔は痛かったけど、今は痛くありませんということになります。それには理由があります。

私が医師になった20年以上前、当時研修したお腹の外科手術などで皮膚を閉じる時に縫合糸として使われていたのが天然繊維である絹糸を何本も撚り合わせた糸でした。

「シルクスーチャー」、あるいは単に「シルク」と呼んでいました。また太さも0.2~0.3ミリほどと太い物でした。

このような天然繊維の太い撚り糸は繊維の間に組織の一部や浸出液や血液が固まったかさぶたが入り込み、糸と皮膚が癒着(くっついて)しまいます。

そのため、抜糸(ばっし)のとき癒着が無理にはがされて痛みが起きていたんですね。

最近では傷口を縫う糸の素材としてナイロンを使っているので、昔とはまず糸の材質に違いがあります。

ナイロン糸はストッキングにも使う表面がつるつるした材質で、撚り糸ではなく1本の繊維でできた糸で皮膚と癒着(ゆちゃく)することもないため抜糸の時も「スルッ」と抵抗なく抜けるため痛みが無いんです。

また、また当院のような顔の縫合を多く行うところでは糸の太さも0.05~0.06と髪の毛よりも細い糸を使っています。

更に、糸の跡を残さないように糸をユルく結んだり、抜糸の時も糸をできるだけ引っ張らないなどキズを優しく扱えば抜糸は本当に痛くないのです。

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抜糸(ばっし)をするときに麻酔をしますか?

手術をするときは、もちろん麻酔をしますが「抜糸でも麻酔をするんですか?」と患者さんから聞かれます。

答えは、抜糸(ばっし)をするときに麻酔をすることはありません。

なぜなら、手術は麻酔をしないと当然痛みを伴いますが、抜糸(ばっし)は痛くないので麻酔をする必要がありませんよね?

抜糸そのものが痛みがないのに、わざわざ麻酔の注射で患者さんに痛い思いをさせたいと考える医師はいません。

また、稀に「どうしても麻酔をしてほしい」と言われることもありますが、麻酔液を注入する圧力で、傷口が開いてしまう可能性があるので実際に麻酔をしたことはありません。

抜糸(ばっし)は、痛くないので麻酔の必要もありませんので、ご安心ください。

因みに生後3ヶ月くらいの乳児で顔の精密な手術後に抜糸をする際、非常に希ではありますが全身麻酔をすることがあります。リスクを考えると必ずしも薦められませんし、いずれにしても非常に希です。

どのくらいで抜糸(ばっし)するんですか?

抜糸(ばっし)までの期間は、傷のくっつきやすさや体の部位にもよって違いがあり、5日から2週間の間で抜糸(ばっし)します。

「そんなに早く抜糸(ばっし)していいの?」
「傷はちゃんとくっついているの?」

この抜糸(ばっし)までの期間を早いと感じたり、不安な気持ちになる患者さんもいらっしゃいますが、実はキズは抜糸(ばっし)する糸と皮膚の中に埋め込んだ中縫いの二重になっているため開くことはありません。そしてこの中縫いは抜糸しません。

腫瘍切除後の縫合

キズがナイロン糸で縫われた状態

ほくろ

抜糸後、半年ほど経った状態。キズはほとんど見えません。

顔のように血流がよく、傷が早くくっつく部位などは、5~10日の早めに抜糸(ばっし)をするんですね。

抜糸(ばっし)が早い方が糸の跡を残しにくいというメリットがあるんです。

抜糸(ばっし)を必要以上に遅らせるとムカデの足のような糸の跡を残すことがあります。

実際にはムカデの足のような跡は傷の縫い方、結び方、糸の材質なども関係するので抜糸の時期だけの問題ではありませんが・・。

逆に血のめぐりが良くない手足や、力のかかる関節部、真皮が薄くて傷がくっつきにくい頭皮や足の裏などは、逆に遅らせて2週間待って抜糸(ばっし)をします。

ただ、あまり抜糸(ばっし)が遅すぎると、糸が埋もれて取れなくなってしまったり、めり込んでしまい糸が見えなくなってしまうことがあるため危険なので何カ月も抜糸(ばっし)せずに放置するなんてことはしないでください。

結論としては、抜糸(ばっし)は適切な時期に抜くことが理想的なのです。そしてその時期は施術をした医師が決定します。

溶ける糸で縫わないんですか?

これも良く聞かれます。

吸収糸といって抜糸(ばっし)が必要なく、時間が経つとボロボロと自然と脱落する糸があります。皮膚や口の中を縫う時は溶ける糸といっても溶けてなくなるわけではないんです。

この糸はナイロン糸とくらべて糸の跡が残りやすいという決定的なデメリットがあります。キズと癒着しやすい(組織反応が強い)ことと自然に脱落するまで1ヶ月以上かかるためです。

また皮膚では感染のリスクを高める欠点あるため、通常は皮膚の縫合には使われず、もっぱら粘膜や皮下組織の縫合に使われます。

つまり溶ける糸はデメリットが多すぎるため皮膚の縫合には使わないのです。

ついでに言えば生体接着糊で「くっつけてしまう」方法もあります。キズがくっついた後、糊は剥がれ落ちるので抜糸(ばっし)も不要です。

ただしこの方法はキズ同志を正確に合わせることが出来ず、場合によっては段ができたり、傷口に食い込んでキズ跡が目立ってしまったりすることがあります。そのためキズを仕上がりを重要視する手術、つまり形成外科や美容外科手術では普通使いません。

今回は抜糸(ばっし)についてよくあるご質問にお答えしました。ご質問があればお寄せ下さい。

抜糸って誰でもできますか?

自分で抜糸ができませんか?近所の病院で抜糸してもらっても良いですか?どこで抜糸しても一緒ですよね?時々いただくご質問です。

当院は全国から耳垂裂や巻き爪手術を希望される患者さんにおいでいただきますが、遠方にお住まいの患者さんでは抜糸のために再度ご来院いただくことが難しいことがあります。その場合は紹介状を作成し、ご自宅近くの医療機関で抜糸処置を受けていただくことも可能です。

ただし、医療機関ならどこでも良いというわけではありません。特に耳や顔の手術のように非常にデリケートな手術の場合は糸が非常に細く、糸の掛け幅も極小で縫合されているため抜糸には特別な器具が必要になりますし、技術的にも難しいものになります。

そうした器具、技術のない医師が抜糸をした場合、そもそも抜糸が出来ない、出来ても糸を皮膚の中に残してしまったり、最悪キズ跡を傷めて出血し、仕上がりにまで影響が出てしまうことがあります。患者さんは期待通りに仕上がりにならないことにもなりかねませんし、せっかく丹精込めて綺麗に縫合した我々術者もガッカリです。

では、だれに頼めば綺麗に抜糸してもらえるでしょうか?確実なのは「形成外科専門医」資格を持っている医師です。いろいろある専門医としてはレアな資格になりますが、少し大きな町であれば一人二人捜せるはずです。美容外科という手もあるのですが、医師によるレベルの差が激しいですし、そもそも保険診療をやっていなかったりすると通常数百円ほどの抜糸処置に数千円支払うことになります。

因みに当院院長と副院長は形成外科専門医の資格を持っており、他の病院で縫合された患者さんの抜糸も承りまわっております。但し、美容外科手術、脂肪吸引手術などの抜糸は当院では承っておりませんのでご理解のほどお願いいたします。海外での美容手術は術後のトラブルが特に多く、そのトラブルの対応は出来かねるからです。

手術をした医師としてはやはり手術にやりっぱなしは責任を果たせていないようで嫌なものです。そのため当院では、関東圏の患者様にはなるべく抜糸のために再診していただくようお願いしております。

こうした抜糸ですから自分でやるのは現実的ではありません。また抜糸せずに糸放置すれば糸の跡がくっきり残りますのでこれもやめた方が良いでしょう。

院長 フジテレビ『ノンストップ』 生出演

  • 2017.01.25


本日 肌と爪のクリニック院長が、

朝の情報番組『ノンストップ』に

またまた出演の依頼を頂き行ってまいりました!!

しかも生出演させていただいております!

個人的には 設楽さんから、ボケコメントを頂いた辺りの掛け合いが面白かったです笑

内容ですが

乾燥の季節に健康的な爪を保つ方法や、

内臓疾患が推測出来る爪の変化などです。

↓院長の顔がちょっとコワイですかね

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出演に伴い、院長診察が休診となっておりました時間帯には

大変ご迷惑をおかけ致しました。

ご協力ありがとうございました

神楽坂 肌と爪のクリニック
http://www.hadatotsume.com/treatment/treatment.html

NHK おはよう日本!

  • 2016.11.08

おはようございます

NHK の朝の情報番組 《おはよう日本》から取材のご依頼を頂きまして、

院長が本日11月8日放送分に出演予定です

巻き爪の治療、予防についてお話しさせていただいておりますので、

よろしければご覧ください

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メディア掲載情報を更新いたしました✨

  • 2016.08.12

お知らせです.

8月10日に発売されました

PHP研究所「PHPのびのび子育て」9月号
足トラブル解決&フットケア これで安心(94~97ページ)

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外反母趾、ウオノメ、タコ、巻き爪などの原因・治療、日頃行えるフットケアなどについて院長が詳しく解説しております。
よろしければご覧ください

また半年ぶりに

当クリニックのメディア掲載情報も更新しておりますので、合わせてご覧いただけますと幸いです。

皆様毎日暑い日が続きますが、熱中症などどうぞお気をつけください


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神楽坂 肌と爪のクリニック

https://www.hadatotsume.com/media/

朝日新聞朝刊

  • 2016.06.08

今朝の朝日新聞医療面で、
院長が読者の皆様の爪に関するご質問にお答えさせていただきました

http://www.asahi.com/apital/articles/SDI201606088646.html?iref=com_api_hea_hatenatop

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割れ爪に関してです。よろしければご覧ください

当クリニックでは、医師の診察の上、経験豊富な医療ネイリストが施術を行っております。

初診時爪の先端が割れてずっと治らず、洗髪や着替えなどの日常生活が不便なために来院されました。

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⬇️施術後ジェルやアクリル樹脂を用いて、割れた部分を塞ぐように固定をします。施術直後から、とても快適に過ごしていただけます。

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爪に関するご相談はこちらまでお願いいたします。

神楽坂 肌と爪のクリニックhttp://www.hadatotsume.com/treatment/wire/wire.html

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フジテレビ ノンストップ 院長出演させていただきました

  • 2016.05.23

フジテレビ午前の情報番組ノンストップさんから、全身の80%に大やけどを負った方の記事をうけて取材依頼をいただき、本日放送されましたm(_ _)m.
院長が重症熱傷についてご説明させていただいております

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神楽坂 肌と爪のクリニックhttp://www.hadatotsume.com

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-12-15 さわやビル2F
予約制03-3513-8212
●終日診療 △午前の部のみ診療 -休診
【平日】10:00~13:00/14:00~19:00
【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
初診の最終受付は平日18:15、土曜日17:45となりますのでご注意下さい。
  日祝
院長野田 弘二郎
副院長野田 真喜(女性)
Access
◆JR総武線
「飯田橋駅」西口より徒歩4分
◆地下鉄:有楽町線、南北線、東西線、大江戸線
「飯田橋駅」B3出口より徒歩3分

当院には駐車場はございません。お車の場合は飯田橋駅ラムラ地下駐車場が便利です。(30分:300円・駐車サービス券はございません)

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