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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ
カテゴリ:ほくろ、おでき、シミ、レーザー

『頭皮のイボ』をシェービングでキレイに取る方法

  • 2025.05.12

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

本日は『頭皮のイボ』を取り上げようと思います。

突然ですが、頭皮のイボ、気になりますよね?

指先にデコボコが触れるだけじゃなく、
クシで髪をとかす時に引っかかってしまったり
床屋さんや美容室で気をつかったりと
顔のイボと違って、他人からは見えにくいのですが、
できた人にしか分からない困りごとがあるものです。

今日はそんな、いや~な頭皮のイボの治療についてのお話。

数分で読める内容です。

ぜひ、最後までご覧いただき、
ご家族やお友達とも共有していただけると嬉しく思います。

【目次】

1.頭皮のイボとは

2.良性?悪性?

3.イボ除去の方法

4.シェービングの実際を解説

5.おわりに


1.頭皮のイボとは

頭皮から盛り上がり、触れるとガサガサしている“おでき”です。
痛みはありません。頭皮にできるイボのほとんどは老人性イボで、
その名のとおり老化現象の一つと考えられています

顔にできることの多い老人性イボですが、
頭皮のイボは高齢の方に多いのが特徴で、
大きく盛り上がる傾向があります。

これは頭皮のイボが髪の毛に隠れて見えにくいため
大きくなるまで気がつかなかったり
人目につかないために治療が先延ばしにされやすいためだと考えています。

そして高齢になるまでにイボは時間をかけて成長し、
逆に髪は薄くなってイボ見えるようになり、皆さん気になりはじめます。

結果、医療機関を受診する頃には大きく盛り上がっているというわけです。

また、今回は取り上げませんが、頭皮のイボ状に盛り上がる病変として、
『ウイルス性イボ』や『黒子』、『血管腫』、『粉瘤』などがあります。

これらの病変は比較的小さいことが多く、治療法も異なります。
診断は専門医でなければ分かりませんので、気になる病変があれば
まずはお近くの皮膚科や形成外科で相談することをおすすめします。

2.良性?悪性?

頭皮のイボはデコボコして不気味な見た目ですが、
悪性の可能性はないのでしょうか?

先ほど説明したとおり、幸いほとんどは良性病変である老人性イボです。

ほくろ

ウイルス性イボや黒子等のこともありますが、いずれも良性ですので安心して下さい。

皮膚癌 ボーエン病
皮膚癌 基底細胞癌

ただし、数は非常に少ないですが、基底細胞癌、ボーエン病、扁平上皮癌といった悪性、
つまり皮膚癌のこともありますので要注意です。

皮膚癌 ボーエン病

イボやその周辺に赤みがあったり、
糜爛(びらん)といって表面にキズができていることがあります。
その場合は早めにお近くの医療機関で相談していただき、
病理検査を受けることをおすすめします。

病理検査とは病変の一部または全部を切り取って
病理専門医に細胞をチェックしてもらう方法です。

これにより、診断が確定し、良性か悪性かなどが判断されます。

もちろん悪性でなかったとしても

●指先にデコボコ触れて気になる

●髪を梳かす時に櫛に引っかかる

●見た目が気になる、床屋さん・美容室で気を遣う

先ほど挙げたような支障が気になる場合は
皮膚科や形成外科で除去してもらうことができます。

3.イボ除去の方法

イボの除去法として以下のようなものがあります。

冷凍凝固について

これは、超低温のマイナス196度の液体窒素を患部に押し当て、
組織を凍傷させて取り除く方法です。
安全で高度な技術を必要としないため、
多くの医療機関で受けられる、最も一般的な治療法です。
ただし、頭皮にできるような分厚いイボの場合は、
処置に手間がかかり、治療回数が多くなる傾向があります。
また、この方法では病理検査を行うことはできません。

■高周波メスによる電気凝固・レーザーによる焼灼について

このふたつはいずれも高温でイボを破壊する、似たような治療法です。
比較的簡単な手技ですが、頭皮に多い分厚いイボでは処置が難しくなることがあります。
無理に1回で取り除こうとして焼きすぎると、深いやけどを起こし、

脱毛のリスクが生じる可能性があります。
また、レーザー治療は健康保険が適用されない点も大きな課題です。

■紡錘形切除縫縮について

これは、イボを切除し、頭皮にできた欠損部を縫い縮めて閉じる方法です。
分厚い病変でも一度で取り除くことができますが、頭皮は伸びにくい組織のため、
幅が1センチを超えるような広い病変では、縫合が難しくなる場合があります。

5センチを超える大きなイボ。紡錘形切除縫縮はできない

無理に縫い縮めると血流が悪くなり、毛が抜けてしまう可能性があります。
また、縫合した部分自体にも脱毛が起こることがあり、これも一つの問題です。
さらに、頭皮は出血が非常に多く、髪の毛の中で傷口を糸で縫い合わせる作業は、
技術的にも手間がかかります。

こうした理由から、頭皮における紡錘形切除・縫縮術は、
比較的小さな病変に適した方法と言えるでしょう。

■シェービングについて

イボのような表皮病変、つまり浅い病変をメスでそぎ取る治療法です。
分厚いイボや広い範囲の病変も、一度で問題なく除去することができます。
切除と異なり、太い血管を傷つけることがないため出血が少なく、
コントロールもしやすいのが特徴です。

処置後は浅い擦り傷のようになり、
数日で自然に治癒するため、縫合や抜糸の必要もありません。
高温を用いないためダウンタイムが短く、
毛根を傷つけることもないため、脱毛の心配もありません。

このようにメリットが多いことから
私たち、肌と爪のクリニックでは頭皮のイボにはシェービングを採用しています

ひとつ問題点があるとすれば、
黒子や血管腫など皮膚全層病変、
つまり深い病変の治療には使えないことです。

皮膚全層病変には先ほどの紡錘形切除縫縮をおこないます。

4.シェービングの実際を解説

シェービング方法については以下の動画も合わせてご覧ください。

※手術動画は5:31~あたりからご覧いただけます。

処置前に、イボから生えている毛をハサミでカットし、注射による局所麻酔を行います。
麻酔がしっかり効いているため、痛みはまったくありません。
まずは、メスを使って飛び出したイボの部分を浅く、薄くそぎ取ります。
この際、毛根や血管を傷つけないよう、深く削りすぎないように注意を払います。
使用する麻酔薬には止血剤が含まれているため、
頭皮であっても出血はわずかににじむ程度です。

動画で紹介している症例では、
頭皮に多く見られる分厚いイボだったため、
最初にそぎ取ったあと、残った部分をさらに丁寧に削り取ります。
こちらも同様に、毛根や血管を損傷しないよう、浅く慎重に行います。
処置中に出血がありますが、キズが浅いため止血は容易で、すぐに落ち着きます。
浅い擦り傷のような状態に仕上がるため、縫合の必要はありません。

シェービング後

キズより深いところに健全な毛根が見えています。
ここから元通り毛が生えてきます。
病変の広さや厚みに関係無く、1回の手術で治療を完了することができます。
時間にして1~2分。翌日から洗髪することができます。

レーザーや電気凝固と違って高温にならないので
キズは1週間ほどで治ってしまいます。

一週間後に来院していただき、キズの治りを確認させていただき、
病理検査をした場合は、そこで結果を説明します。

5.おわりに

さて頭皮イボ治療の解説はいかがでしたでしょうか?
シェービングのメリットがご理解いただけたかと思います。

シェービングは古くから行われている古典的な術式で、
当院では年間数百件、ごく日常的に行っています。

YouTubeで顔イボ治療としてシェービングを取り上げてから気がついたのですが、
私たちにとってはごくあたりまえのテクニックである「シェービング」ですが

シェービング前
シェービング後

実は世の中ではあまり知られていないようです。
というのも、当院を受診された患者さんの中には、
他院でシェービングについて相談したところ、
「そんな方法はやっていない」
「聞いたこともない」

と言われた方が、たくさんいらっしゃるのです。
そのことに、むしろ私たちが驚いているほどです。

繰り返し説明しましたが顔や頭皮のイボには大変優れた方法です。

もし、シェービングをする医療機関が見つからないという方がいらっしゃいましたら
当院までお問い合わせ下さい。
ご連絡お待ちしております。

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5日以内で来院希望の方は電話でお申し込み下さい。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

目の周りのホクロ

  • 2024.08.31

目の下のほくろの手術の方の経過です。
この方は術後数年して、他の部位の治療のために来院されました。キズは目立たなくなり喜んでいただけました。

術前
術後1週間目の抜糸時
術後2年

目の周りの皮膚はとても薄いので術後数日は皮下出血が出ることがあります。皮下出血は10日程度で消えていき、傷の仕上がりに影響はありませんが、大事なご予定がないときの手術をおすすめしています。また術当日は自宅に戻られてからガーゼの上から冷やして頂くこともあります。ご相談ください。

黒子の手術後1年

  • 2024.02.13

こんにちは😃

黒子の手術の方の治療経過です。

術後の抜糸は1週間で済みますが、傷が落ち着くのは半年から1年ほどかかります。

この方は手術から1年たち、他の治療のため久しぶり来院されました。当院を信頼していただき次の手術も任せて頂けることはとても嬉しく思います🐻ホクロ自体をしっかり切除することはもちろんですが、傷の向きを目立ちづらい方向にすること、傷の長さを極力短くすること、皮膚の表面だけでなく真皮の縫合を確実に行うこと、術後の患者さん自身に行っていただくケアについての説明などを特に気をつけて診療にあたっております。

#n神楽坂肌と爪のクリニック#ほくろ手術#粉瘤#脂肪腫#手術#形成外科#神楽坂#日本形成外科学会専門医#皮膚腫瘍外科指導専門医

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シミのレーザー治療をされた方の経過

  • 2024.01.18

こんにちは

シミのレーザー治療をされた方の経過をお伝えします。

レーザー照射前


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ほくろ切除後 術後3ヶ月

  • 2024.01.18

以前ご紹介させていただいた、鼻の横にあるほくろの方の治療経過です。

手術の後のキズ跡は、お化粧や洗顔時の摩擦を避けることや、日焼けをしないようご説明いたします。

。必要に応じ、目立ちづらいテープを傷の上に数ヶ月貼って過ごしていただきます。

先日、術後3ヶ月の経過観察に来てくださいました。

順に、術前、術後7日目、術後3ヶ月です。

皮膚腫瘍の治療・・・皮膚皮下腫瘍摘出術 【手術】局所麻酔の下、手術を行います。腫瘍を切除し止血確認後に皮膚を縫合します。【リスク】皮下出血、感染、瘢痕、ケロイド【手術費用】保険診療になります。大きさや部位により異なります。(例:約9,000円:頭部・顔面の5mm程度のできもので3割負担の場合。診察料、検査料、麻酔料、お薬代などを含む概算。)

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業界騒然!「ホクロ除去。手術VSレーザーどっちがイイ?」ホントのこと、言っちゃいます。

  • 2023.12.15

肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTube『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』、おかげ様で、チャンネル登録される方が増えてきました。ありがとうございます。
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

今回は「ホクロ除去」についてです。
方法としては『手術』と『レーザー』がありますが、はたして本当にイイのはどちらなのか?をテーマに、私の形成外科医としての考えを“同業医師への忖度抜き×完全患者さん目線”で、本当のところを包み隠さずお話ししていきたいと思います。

というと同業の先生方に怒られてしまいそうですが、ここはひとつ勇気を持ってお話しさせていただきますので、どうか最後までご覧ください。そして、私の考えに共感していただけましたら、是非ご家族やお友達にも教えてあげていただけると幸いです。

【目次】

1.ホクロの動画をたくさん見て感じたこと

2.ホクロ除去で必ず傷痕を残すのはなぜか?

3.手術とレーザーの傷痕の違い

4.手術の傷痕を目立たなくする工夫

5.手術VSレーザー、仕上がり以外のメリット・デメリットとは?

6.おわりに


1.ホクロの動画をたくさん見て感じたこと

昨今、YouTubeには医師が解説するホクロ切除動画が多数上がっています。
レーザーと手術のどちらが良いのかについても、たくさんの専門家による解説があり、私もいくつか視聴させていただいたのですが、そこでひとつ気づいたことがありました。

あくまで私が見た限りなのですが、動画で情報発信をされている方は、主にホクロ除去をレーザー治療で行っている美容系の先生がほとんど、ということです。

そして、それらの動画のほとんどが同じ結論に至っています。
それは「手術も良いのだけれど、やっぱりレーザーのほうがキレイになる」という結論です。一般の皆さんであれば「専門家が言うのだから、そうなのか」と納得されるのかもしれませんが、私は同じ医師として、また形成外科の専門医として、その結論にかなり違和感を覚えてしまうのです。

「いやいや、そうじゃないでしょ!」と…。黙っていられなくなり、この記事を書こうと思いました。

2.ホクロ除去で必ず傷痕を残すのはなぜか?

これを聞いて「えっ?」と思った方もいるでしょう。レーザーでホクロを取れば傷痕は残らないと思っていらっしゃいませんか?わかります。ただ、それは非常によくある、大きな誤解なのです。ご相談の多い皮膚病変の深さを、以下のイメージ図で比較してみましょう。

シミやイボは皮膚の浅い部分にある表皮病変。治療で取り除いても、そこに生じた欠損は正常の皮膚で覆われるので傷痕を残さずに治癒します。
一方で「ホクロ」というのは皮膚の真皮という深いところまであるので、手術かレーザーかに関わらず、取り除いた後は正常皮膚ではなく、瘢痕組織という傷痕の組織で埋められて治癒するという特徴があります。

レーザーでホクロを取るとⅢ度熱傷(皮膚の深い層にまで及ぶ重度の熱傷)に匹敵するキズになるのです。

瘢痕組織は少し、テカテカしていて正常皮膚とは質感が異なります。皆さんがキズと呼んでいるものそのものです。

3.手術とレーザーの傷痕の違い

ホクロをレーザーで除去すると、その大きさでやや凹んだキズ跡になる。これは多くの動画で説明されています。例えば直径1cmのホクロを除去すると、レーザーでは直径1cmの傷痕になります。

手術では除去後に1本の線状の傷痕になるよう糸で縫い縮めます。レーザーのように凹みこそしませんが、逆にキズの両端が盛り上がります。縫い縮める時に中央と端に近い部分では、皮膚の移動距離に差があるためで、犬の耳のように見えることからドッグイヤー変形と呼ばれています。

盛り上がる部分をあらかじめ切り取ることで、変更を目立たないように修正することはできますが、そうするとキズの長さは直径の3~4倍にする必要があります。つまり1cmのホクロ除去の場合、傷痕の長さは3~4cmの線になるということです。多くの動画で「手術ではキズが長くなる」と解説しているのはこのことを言っているのです。

4.手術の傷痕を目立たなくする工夫

傷痕が3倍になると聞くと、ひどく目立ってしまいそうですが、本当にそうなのでしょうか。実は手術ではキズ跡を目立たなくするテクニックがいくつかあるのでご紹介します。

術前(デザイン)
術後

ひとつは当たり前のようですが、丁寧に手術をすること。
長い傷痕もかなり目立たなくできます。写真のケースは若い女性の顎のホクロ。
私が手術で除去しました。左の手術デザインでは、傷痕がホクロ直径の3倍くらいになってしまうことがわかると思います。でも、右の術後1年の写真をご覧ください。いかがですか?長いキズ跡は目立っていませんよね。

術前
術後

こちらのケースも同じです。太い毛が生えていたので同時に処理してあります。術後の傷痕は見えますが、キズの長さは気にならないと思います。このようにキズが目立たないのは、手術ではキズ跡が細かい線になるので、レーザーと比べれば皮膚の表面から見える瘢痕組織の量が圧倒的に少ないからです。

術前
術後

一般的な考え方ではないのですが、ホクロ除去後の傷痕を目立たなくするために最も重要なのは、この「瘢痕組織をいかに少なくするか」ということだと私は考えています。

術前(他院でレーザー治療後)
デザイン
術後

また、別のテクニックとしてキズの長さ自体を短くすることもできます。写真のケースは上唇の盛り上がったホクロですが、慎重にキズを合わせることで、長さをホクロの3~4倍ではなく、2倍程度に抑えられました。
皮膚の伸展性や周辺筋肉の動きからドッグイヤー変形になりにくい場所だからです。じつはこの患者さんは、ほかのクリニックでレーザー治療を受けて、ホクロがまったく取れていないということで私のクリニックに来院されました。

そのクリニックの医師から「ホクロ表面にレーザーによるクレーター状の傷痕がみられます。最初にホクロを手術で取るとキズが3~4倍にもなるのでやめた方が良い」と説明されたそうです。論理的にはその通りですが、写真を見てわかるようにテクニックでカバーできることがお分かりいただけると思います。また、傷の治りの良い鼻やまぶたでは「くりぬき法」といって、ホクロ除去後に欠損を縫わずに自然と治るのを待つテクニックもあります。

術前(鼻尖部くりぬき)
術後

この場合、傷痕の長さはレーザーと同じです。このケースは鼻の大きなホクロで、欠損を縫い縮めてしまうと鼻の形が変形する心配があります。

「くりぬき法」を行うと欠損はレーザーと同じで瘢痕組織により埋められ、ホクロの大きさのやや凹んだキズとなりますが、レーザーの熱が加わらない分、治りが早くキレイに仕上がります。

術前(デザイン)
術後1回目
術後2回目

傷痕を長くしないテクニックは他にもあります。それが「連続縫縮術」という方法。写真は太ももにある500円玉を超える大きさのホクロ。普通に手術すれば傷痕の長さは8~10cmくらいになってしまう。かといって、レーザーで除去して500円玉大の傷痕を残せばこれも目立ちます。
このケースでは手術を2回に分けて行うことで、ホクロの長さより少しだけ長く、細いキズに抑えることができました。

術前
術後

このように手術の欠点とされるキズの長さも、経験とテクニックがあれば、ほとんどカバーできるのです。私は「どのようなホクロであっても、レーザーよりも手術のほうがキレイに仕上げられる」と考えています。

5.手術VSレーザー、仕上がり以外のメリット・デメリットは?

ここまで、ホクロ除去は手術のほうがレーザーよりキレイに仕上げられると説明させていただきました。しかし、それはあくまで私自身の経験から得た見解。そもそも誰がメスを握るのかによって手術の仕上がりも異なるので、単純に比較することはできません。
そこで、仕上がり以外の部分で、手術とレーザーにどのような違いがあるのか、以下の表にまとめてみました。表ではメリットは青、デメリットを赤で示しています。

まず健康保険による治療ですが、手術は美容目的でなければ可能です。美容目的ではない場合とはどういうことかというと見た目の改善を目的としない、例えば「ひげそりで傷つけて毎回出血する」や「(半年に2倍など)急に大きくなって悪性が心配」といった理由がある場合です。費用は自己負担3割の場合、顔で2cm以下なら5000円程度。今回、この記事でお見せしたケースは全例自己負担4980円でした。

炭酸ガスレーザーによるホクロ除去に健康保険を使うことは、どのような理由があってもできません。費用はクリニックにより大きく異なり、5mm程度で一個あたり1~3万円くらいでしょうか。つまり、手術の2~6倍の費用がかかるということです。

手術では治療回数1回で取り残しがないかを病理検査で確認できますが、レーザーでは熱の影響がどこまで及んでいるのか判断しにくく、病理検査による切除範囲の確認もできないので、時々取り残しが起きます。多くのクリニックではその際の費用は無料のようです。

他院でレーザー治療を
受けたのち再発(鼻)
他院でレーザー治療を
受けたのち再発(手首)

写真の2つのケースは、他のクリニックでレーザーを受けたが再発してしまい、私のクリニックにいらしたケースです。鼻のホクロは毛穴部分で再発していますので、そこだけ追加でレーザー照射をしました。

手首のケースはテカテカしたキズの中央にホクロが再発しています。再発は仕方ないですが、レーザーの傷痕がタバコを押し当てた跡、いわゆる“根性焼き”のように見えてしまうのは問題です。こちらは傷痕ごと切除しましたが、今度はその跡が“リストカット”に見えてしまう心配もあったので斜めのキズに仕上げました。
こうしたケースでは最初から治療後の傷痕をイメージ(どう見えるのか?など)して治療にあたらなくてはいけません。

術前
抜糸前
術後

最後に抜糸です。手術では5~10日後に抜糸が必要となりますが、抜糸の翌日からキズ部分へのメイクが可能。レーザーでは、抜糸こそ不要ですがキズが自然になるのを待つため、メイクができるようになるまで10~21日と、手術の倍の日数がかかってしまいます。

いかがでしょうか。このように、ホクロ除去は仕上がり以外の部分でも、レーザーよりも手術のほうが有利なことが多いということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

6.おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
ホクロ除去に関する動画のほとんどはレーザーのメリットは説明しても、手術のメリットはあまり語られていませんでした。
今回の記事と以下の動画で、手術には患者さんにとって好ましい点がとても多いことがお分かりいただけたと思います。ついつい熱が入ってしまい、ボリューミーな内容になってしまいました(猛省)。

キレイに仕上げるにはスキルとセンスが要求される方法なので、ご興味をお持ちの方はお近くの形成科専門医に相談されることをお勧めします。
神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の場合は、こちらからご予約を承っております。
ご連絡お待ちしております。


【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

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顔のイボシェービング。レーザーよりもキレイに!50代以降必見「顔のイボをシェービングでキレイに取る」

  • 2023.11.10

肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。最近好評いただいているYouTube『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて今回ですが、顔の大きなイボを、レーザーよりもキレイに取る方法、シェービングについてご説明いたします。
シェービングは昔から行われている方法であるものの、レーザーのようにネットで積極的に推奨する医師がいないためか、一般にはあまり知られていないのが現状。じつは患者さんにとってのメリットがとても多い方法なので、是非最後までご覧いただき、ご家族やお友達にも教えて上げてもらえたら幸いです。

【目次】

1.顔のイボってなに?

2.どうしてできるの?予防法は?

3.どうやって治療するの?

4.治療費は?

5.おわりに


1.顔のイボってなに?

40代以降の方の頬やこめかみに多い、こげ茶色のデコボコ盛り上がったイボです。正式には『脂漏性角化症』または『老人性イボ』と言います。そう、実は前回の動画で取り上げた首のザラザラとおなじものです。老人性イボなんて少々残念な名前ではありますが、60代以降の方ならだれにでもあるごく一般的なデキモノです。

※前回記事も併せてご覧ください。

黒っぽくデコボコした不気味な見た目から悪性ではないかと心配される方も多いのですが「良性病変」です。特にこのケース、イボの上の部分から出血しています。こうした変化を潰瘍と言い悪性化を懸念するサインです。

顔や首以外にも、髪の毛の中や背中などにもできることがあり、デコボコが広がって10円玉以上の大きさになることがあります。

自覚症状こそありませんが、見た目が悪く、お顔のイメージを大きく損ねてしまいますので治療を希望される方も多いです。

2.どうしてできるの?予防法は?

老化や紫外線の影響と考えられていますが、遺伝的な要因もあり「できやすい人」「できにくい人」の差が大きいのが特徴です。特殊なケースとして、胃癌など内臓の癌によって老人性イボができることがあります。数ヶ月間という短い期間に何十個も多発することがあり、レーザートレラ兆候(またはLeser-Trélat徴候)と呼ばれています。この場合、ただちに内臓の精密検査が必要です。             

予防法としては日焼け止めを塗ったり、日傘さしたり帽子をかぶるなどの紫外線対策が有効ですが、背中など、もともとあまり日の当たらない部分にもできますのでそれだけで予防できるとは言い切れないのが現状です。

3.どうやって治療するの?

まず、はじめに申し上げますが、最近SNSで多く見かける「冷蔵庫にあるアレ」や、ハトムギ美容液で老人性イボが取れることは絶対にありません。くれぐれも騙されないよう、注意しましょう。イボを取りたくなったら医療機関、皮膚科や形成外科で相談しましょう。

治療法は主に冷凍凝固、手術、レーザー、電気凝固の4つ。手術には切除・縫縮と今回ご紹介するシェービングがあります。それぞれに特徴があり、表では他と比べて特に大きなメリットは青、デメリットを赤で示しています。どの治療法にするかは患者さんの希望もありますが、最終的には担当医の判断で決定されます。各治療法について説明していきましょう。

冷凍凝固

冷凍凝固は-196度の液体窒素を数秒間イボに押し当てる治療です。

低温で破壊されたイボはカサブタになって2週間ほどで剥がれ落ちて治癒します。麻酔は不要ですが、イボの厚みに応じて数回繰り返すのが普通です。広く普及していますので、お近くの皮膚科で治療を受けていただけると思います。当院で扱っていません。

■手術「切除・縫縮」

切除・縫縮とはイボの範囲で皮膚を切り取り、できたキズを糸で縫い縮める方法です。美容目的でなければ保険も使えます。

最大のメリットは取り残しがない確実さ。精密な病理検査が可能なので、皮膚ガンの可能性がある場合に有効な方法です。写真の症例ではイボ周辺に赤みがあり、悪性の懸念もあったため切除・縫縮で治療し病理検査をおこないました。結果、悪性細胞は見つからず、病変は取り残しなく完全に切除されていることも確認出来ました。綺麗に仕上げるにはスキルとセンスが要求される方法なので、熟練した形成外科医に依頼することをおすすめします。

■手術「シェービング・レーザー・電気凝固

シェービング、レーザー、電気凝固に関しては方法が異なりますが治療イメージが似ていますので、比較しながら説明します。イボは皮膚の浅い部分だけにある表皮病変なので、深い部分は傷つけずに浅い病変だけを取り除けば良い、というのが二つの共通した考えです。

3つの違いですが、シェービングはメスを使ってイボを薄くそぎ取ります。レーザーは熱で破壊して、焦げカスをガーゼでこそぎ落とします。電気凝固は熱で溶かして拭き取ります。

どれも仕上がりに大きな差があるわけではないのですが、シェービングが「深さが均一でシャープ」なのに比べて、レーザーは「処理する深さにランダムなムラ」ができます。また、レーザーと電気凝固では火傷が加わるのでダウンタイムが多少長くなります。

シェービング術
シェービング術後シェービングは深さを均一にコントロールしやすく、ダウンタイムも短いので仕上がりでは一番優れている印象があります。

後ほどあらためて説明しますが、シェービングと電気凝固は美容目的で無ければ保険が使えるので治療費が安いという、患者さんにとってとても大きなメリットがあります。

<<文章では伝わりにくい部分もあるので、それぞれの方法を動画で説明します!>>

シェービングでは幅20ミリ程のメスで、飛び出したイボだけを浅く、薄く一気にそぎ取ります。わずかに出血するので高周波メスで簡単に止血して終了です。

レーザーは炭酸ガスレーザーという種類のものですが、光の当たる範囲が1ミリ程と狭いのでこのようにまんべんなく照射していきます。照射後、見た目はあまり変わりませんが熱でブヨブヨに破壊されているのでガーゼで簡単にこそぎ落とす事が出来ます。ほどんと出血しないので止血は不要です。

電気凝固は高周波メスという機械を使用します。器具が当たっている部分でイボが溶けるように破壊され、出血もありません。レーザーと電気凝固は機器を持っていない病院では施術できませんが、さほど高いスキルが要求されるものではないので、担当医師による仕上がりの差が出にくいというメリットがあります。

シェービング術前
シェービング術後です。病理検査で良性であることを確認しました。シェービングは特殊な器具は不要ですが、正確な深さでイボをそぎ取るためには比較的高いスキルが求められます。

選べる治療法は医療機関の設備や医師の技量や好みによって変わってきます。できれば複数の治療法に対応できる医療機関を探すようにしましょう。また、説明や費用に納得できなければ、その場で決めずに別の医師に相談してみることを強くおすすめします。イボ治療はどの方法でもリスクは比較的小さいですが、取り残しや必要以上に深く皮膚を傷つけてしまうとケロイドが起こることがあります。医師の経歴や印象から、経験不足が懸念される場合やケロイドになりやすい体質の方は十分注意してください。

4.治療費は?

レーザー以外の方法は健康保険で受けることができます。ただし、これは毎回申し上げていることなのですが、美容目的の場合はどの方法でも保険は使うことができません。たとえば沢山イボがあって見た目のイメージ改善を目的にイボを取る時には保険は使えません。明らかに美容目的だからです。

「見た目が悪いから取りたい…」というような美容目的では、我々医師というのは健康保険は使えません。悪性を疑わせる所見があったり、「半年に2倍にもなってきて、悪性も心配だから取って欲しい」と相談されれば可能性はあります。ただし複数だと美容目的と判断されてほぼ断れてしまうでしょう。

◎具体的な治療費について

自費診療のレーザーはクリニックにより大きく異なり、イボが1~2センチの場合は一個あたり3〜10万円くらいではないでしょうか。その他にも診察料やお薬代に数千円、同時に病理検査を希望する場合、これも自費扱いとなり1万円位が加算されると思います。

美容目的ない場合で保険で行う切除、シェービングと電気凝固ですが、自己負担3割の場合、顔で2cm以下なら手術料5000円ほど、他に診察料やお薬代が1000円位、病理検査は3000円位。合計でも9000円程とレーザーの1/4から1/10で治療が受けられますので是非ご検討下さい。

シェービング術前
シェービング術後

神楽坂肌と爪のクリニックは保険診療(しつこいようですが美容目的は除く)が中心で、なにより仕上がりを重視しておりますので、シェービングを選択することが多いですが、レーザーや高周波メスもございますので患者さんのご希望や病変によって最適な方法を使い分けて治療を行っています。

5.おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。

「シェービング」は聞き慣れない言葉だったと思いますが、患者さんにとってメリットの非常に多い方法であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。決してどの医療機関でも受けられるわけではありませんが、ご興味をお持ちの方は、お近くの形成科専門医に相談されることをおすすめします

当院・神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の場合は、こちらよりご予約を承っております。

老人性イボは自然に治ることはありませんし、放置

すると大きくことも多いので、気になるようなら早めに医療機関で相談しましょう。最後に、繰り返しになりますがヨクイニン美容液やクリームなどでは絶対に治りませんので、くれぐれも注意して下さい!


【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

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首を触るとザラザラ。よく見ると小さなできものがたくさん!

  • 2023.10.05

こんにちは。肌爪先生こと、神楽坂肌と爪のクリニックの院長、野田弘二郎です。爪と肌の専門家として、皆さまのお役に立つ、質の高い情報を発信しております。YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

https://www.youtube.com/channel/UCodH3Zb-pJWdB2dGb-CnDLQ

動画ではなく、ブログで読みたい方は以下をどうぞ
タイトルを見てドキっとした方も多いのではないでしょうか。そうです。本日の話題は首を触るとザラザラする、アレです。鏡に寄ってよく見てみると小さなつぶつぶがたくさんできていて、襟元の開いたシャツを着たときに目立ちます。また、こすれて痒みの原因になったりして嫌なものですよね。本日の動画ではこの首のザラザラ、イボの治療や予防について説明していきたいと思います。

【目次】

1.首のザラザラってなに?

2.どうしてできるの?予防法はないの?

3.どうやって治療するの?

4.治療費は?

5.おわりに…皆さんに知ってほしいこと


1.首のザラザラってなに?

30歳以上の人の首まわりにできる1ミリ位の小さな柔らかいできもの。皮膚と同じ色のことが多いですが、先端が茶色や黒っぽく色が付いている場合もあります。

このような皮膚の小さな飛び出しを一般に「イボ」と言いますが、首ではいくつもまとまってできることが多いので、触ったときにザラザラとした感触があります。この首のザラザラはどれも同じように見えても、顕微鏡で構造を観察すると、軟性線維腫か脂漏性角化症という二種類に分かれており、それらが混在していることが多くあります。

黄:軟性線維腫、青:脂漏性角化症、赤:ホクロ(ホクロについては今回のブログでは触れません)

どちらも皮膚の表面近くにできる良性病変で、治療方針は同じですので区別する必要はありません。

■軟性線維腫

アクロコルドンとも呼ばれ、肌色で、付け根が細く小さく飛び出したものが多いですが、大きくなって先端が重さで垂れ下がったものもあります。また、首以外にも脇の下や背中太ももの内側に等にできることがあり、中には先端が1cm以上になるものもあります。

■脂漏性角化症

付け根が広く平らに盛り上がり、茶色ないしは黒色のことが多いです。表面に細かい凸凹があることが多いです。加齢によるお顔のシミは平らで見た目は異なりますが実はこの脂漏性角化症の一形態なのです。脂漏性角化症が盛り上がったものは老人性イボと呼ばれます。

どちらも基本的には無症状ですが、患者さんは「見た目が気になる」「こすれることで小さなキズができて、痒い」などの理由から来院されるケースが多いです。

当院に来院される患者さんのなかには、当院受診前に近所の皮膚科に相談したところ「老化だから、病気じゃないから放っておきなさい」と言われている方も多いです。たしかに首では邪魔になるほど大きくなることはなく、悪性化もないと考えていただいて結構です。見た目が気にならない方であれば、放っておいてもいいですし、痒みに関してもステロイド軟膏で簡単に改善します。しかし、首という目立つ場所なので、患者さんが見た目を気にされる、治療できるならキレイにしたいとお考えになるのも当然です。お気軽にご相談ください。

2.どうしてできるの?予防法はないの?

老化、紫外線、摩擦等が原因となります。首のイボが多く見られるのは、家族にイボの方が多い人、よく日焼けをする人、ワイシャツを着ることが多い人、日常的にネックレスをつける人、そして太った人です。

予防としてはなるべく紫外線を避ける、襟つきの洋服を避ける、ネックレスやマフラーなどでこすれないようにする、ダイエットをするなどが考えられます。とはいえ治療自体は簡単なので、予防する!と構えるのではなく、イボができたら治療すると考えるほうがシンプルです。

3.どうやって治療するの?

イボは飛び出した部分だけが病変であり、付け根より深い部分は正常皮膚です。つまり飛び出した部分を取り除くだけで治療できます。ただ、いくら治療が簡単だからとって、自ら対処は絶対にしないでください。自分で取ろうとして、ピンセットでつまんで引っ張ると、痛い上にイボの部分が伸びて余計に目立ってしまうこともあります。はさみで切ろうとすると深く切りすぎて血が止まらなくなったり、切り足りなくて付け根が残ってしまったりすることもあります。キレイに、そして安全に治療をするには、やはり病院で相談する必要があるということです。病院での治療には『冷凍凝固』『切除』『焼灼』の三つがあります。

冷凍凝固以外は基本的に麻酔が必要です。切除の場合、慣れた患者さんだと2,3個くらいなら麻酔なしで受けたいという方もいますが、イボが大きい場合は多少出血して高周波メスで止血が必要なこともありますし、レーザー焼灼は動くと危ないのでやはり麻酔は必要です。また、麻酔を使う場合『フィルム麻酔』『麻酔クリーム』『麻酔注射』があります。フィルムとクリームは注射と違って痛みが無い代わりに、効果がでるのに一時間くらいお待ちいただきます。

麻酔フィルムと注射の組み合わせ。注射の痛みはない。組み合わせて使うこともあります。

■施術時間について

冷凍凝固は1箇所10秒くらい、切除と焼灼は2~3秒です。皮膚の浅い部分の病変なので、どの方法でもキズはほとんど残りません。ダウンタイムは治療法によって3日~14日ほど。切除で最も短く、冷凍凝固で最も長くかかります。

冷凍凝固は数日でカサブタのようになりそれが2週間以内に取れて治ります。施術時間とダウンタイムが長いのが欠点ですが、液体窒素による冷凍凝固はほとんどの皮膚科で行われています。

切除は治りが速く、仕上がりも一番良いのですが、切りすぎて出血したり、切り残しがあったり、医師のスキルを要求します。ホームページなどで病院を選ぶ際は、美容皮膚科ではなく、形成外科や美容外科で受けましょう。また医師の手術実績などをチェックするようにしましょう。

ハサミによる切除

焼灼に関しては医師のスキルは出にくいですが、やり過ぎて跡になることもありえます。また炭酸ガスレーザーなど治療機械は持っていない病院も少なくないので、どこでも受けられる施術ではありません。

炭酸ガスレーザーによる焼灼
高周波メスによる焼灼

どの治療法もリスクの小さい治療ですが、非常に稀に内出血、ケロイドが起こりえます。ちゃんとした病院を選べば心配いりません。

4.治療費は?

冷凍凝固と切除では健康保険が適用されます。ただし、首のザラザラの場合、多くの方が見た目の悪さの改善を希望されますが、こうなると美容目的となり健康保険での治療を断られるケースも少なくありません。保険で冷凍凝固する場合、3個までなら3割負担で700円ほどです。しかし、ザラザラするほどたくさんあるのに、3個だけとっても十分とは言えません。このような理由から、首のイボは自費で治療されることも多いと思います。

料金設定はクリニックによってさまざま。ネット調査によれば、イボ1個で600円~5,000円位とかなり幅があります。仮に30個取るとすれば1万8,000円~15万円と非常に大きな差になります。

肌と爪のクリニックの場合は、1個1,000円で切除または焼灼で除去します。下の写真は1〜2ミリのイボを43個取ったケースで、施術料は43,000円でした。
なお、5ミリを超えるような大きなものは健康保険で切除しますので、自己負担は5,000円ほどです。

青:脂漏性角化症、黄色;軟性線維腫、赤:ホクロ、オレンジ:血管腫 このケースの場合、ホクロと血管腫を除く、イボ(青と黄)43個全て除去して施術料は43,000円

■イボ治療に仕上がりの差はほとんどありません!

これは患者さんから伺った話ですが、とあるクリニックで30個ほどのイボをレーザーで除去したところ、20万円を超える高額請求をされたそうです。1個7,000円にもなります。イボの治療について独自の方法をアピールするクリニックもありますが、仕上がりの差はほとんどありません。もちろん、安いところが良いとも言えませんが、料金については必ず複数のクリニックを比較して選ぶようにしてください。これは、ぜひご自身だけでなく、周りの家族や友人にも教えてあげてください。

5.おわりに…皆さんに知ってほしいこと

本日は首のイボについてお話しさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。治療のところで「ヨクイニン」と呼ばれるハトムギエキスの飲み薬やクリームの話をしなかったことに「おや?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実際、首のイボにそうした薬を試したことがある方はたくさんいらっしゃいます。実は首のザラザラしたイボにヨクイニンはまったく効果がありません。そのことは新聞にも取り上げられました。

ヨクイニンの効果が見られるのはウイルス性のイボに限られるからです。そして、ウイルス性イボは首に多発することはありません。

ところがSNSを中心にこれらのイボを意識的に混同した広告手法で、ハトムギクリームが「首のザラザラに効く」と謳い、ネット上で販売している業者がたくさんいます。ハトムギエキスが首のザラザラには効果がないことは、たくさんの医師がネットに書いて警鐘を鳴らしているにも関わらず、残念なことに多くの方がだまされてしまっているのが現状です。

ただ、そうしたクリームは効果がないだけで、健康被害を起こすことがないのが唯一の幸い。

「安いし、病院に行く前に試しに買ってみよう」という消費者心理につけ込んでいるのです。消費者をあざむくような商品を安いからと試しに購入してはいけません。その消費行動が同じように欺される人を増やし続けるからです。
<このブログをご覧になった皆さんは、だまされないで下さい!>


【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

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首を触るとザラザラ。よく見ると小さなできものがたくさん!

  • 2022.07.28

 首を触るとザラザラし、よく見ると小さなつぶつぶがたくさんできている!という方はいらっしゃいますか。

 主に首や脇のあたりにできる、皮膚からぶら下がるようなごく小さなできものです。単発ではなく、たくさん出来ることが多いです。skin tagと呼んでいますが、正式にはアクロコルドン、軟性線維腫というものです。
何も症状がないことも多いですが、来院される方は、首を触るとザラザラとして気になる、少し大きなものの場合引っかかる、痒みがある、などを理由に来られる方も多いです。

YOUTUBE動画で詳しく解説しています↓

【40代以降必見!】 首のザラザラ・イボをキレイさっぱり【イボレーザー、保険治療も解説】

【治療】切除【リスク】出血、内出血
【施術費用】1個切除・・1,000円、20個切除・・20,000円、自費初診料3,000円(税別)

シミを退治!美しい肌になりましょう!!

  • 2022.03.17

温かく過ごしやすい日が増えてきましたね。

健康な肌のために、紫外線対策や保湿、良質な睡眠・食事などは欠かせませんが、

できてしまったシミはどうぞご相談ください!

レーザー照射前

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レーザーを照射しました。
施術後2週間です。

この後はしっかりと日焼け止めやテープなどで日焼けを防ぎ、過ごしていただきます。

しみレーザー治療【レーザー】MedLightC6【リスク】炎症後の色素沈着【施術費用】1×1cm 15,000円(税別)自費初診料3,000円(税別)その他、軟膏テープなど 

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
〒162-0825
東京都新宿区神楽坂2-12-15 さわやビル2F
予約制03-3513-8212
●終日診療 △午前の部のみ診療 -休診
【平日】10:00~13:00/14:00~19:00
【土曜日】9:30~12:30/13:30~18:30
初診の最終受付は平日18:15、土曜日17:45となりますのでご注意下さい。
  日祝
院長野田 弘二郎
副院長野田 真喜(女性)
Access
◆JR総武線
「飯田橋駅」西口より徒歩3分
◆東京メトロ有楽町線、東西線、南北線
◆都営大江戸線
「飯田橋駅」B3出口より徒歩3分

当院には駐車場はございません。お車の場合は飯田橋駅ラムラ地下駐車場が便利です。(30分:300円・駐車サービス券はございません)

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