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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ

【専門医のまとめ第7回】巻き爪やさしく解説:爪棘【突然の痛みはコレが原因】

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

巻き爪やさしく解説シリーズ、
今回は「爪棘(そうきょく)」について取り上げたいと思います。

爪棘とは、あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、
突然の激痛ではじまり、適切な手当をするまで、
どんどん痛みが進行していくという非常に厄介な症状を引き起こします。

さらに厄介なのは、ホームケアやお薬は無効で自然治療もほぼないということ。
一旦発症してしまうととても厄介ですが、有効な予防策がない訳ではありません。
そこで今回のブログでは、そもそも爪棘とは何なのか?というところから、
できる理由と治療法、予防法まで詳しく説明していきたいと思います。

ぜひ最後までご覧いただき、
ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

【目次】

1.爪棘とは何か?

2.爪棘はなぜできるのか?

3.爪棘の診断

4.爪棘を治すのは簡単!

5.爪棘の予防

6.まとめ


1.爪棘とは何か?

巻き爪の典型的な症状として
「パンプスなどで圧迫された時などにジワッと痛む」というのがありますが、
それがある時、突然鋭い激痛に変わり、触れることさえできないくらいに
ズキズキと激しく痛みはじめることがあります。

ズキズキとした痛み。その原因になるのが爪棘。つまり“爪のトゲ”です。
痛みは突発的かつ強烈で、痛みのレベルで言えば
前回のテーマで取り上げた『肉芽』をさらに上回るほどツライものです。

爪棘の痛みには、進行性というもう一つの特徴があります。

通常、足の爪は月に約1.5ミリのスピードで指先に向かって伸びます。
爪棘は、爪の先端がトゲのようになっている状態。
そのため、爪と同じスピードで指先に向かい、少しずつ肉に刺さっていきます。
まるで身体の中に一寸法師がいて、
縫い針のつるぎで肉を突き刺しているようなものです。

そのため軟膏や飲み薬で様子を見たところで、
まったく改善せず、むしろどんどん悪化していきます。
化膿して真っ赤に腫れ上がったり、肉芽ができたりすることもあり、
最悪の場合、爪棘の先端が指先から飛び出してくることもあるのです。

取り除かれた爪棘

しかもこの痛みというのは、爪棘を取り除くまでずーっと続きます。
何年ものあいだ、セルフケアで凌いできた巻き爪患者さんが、
突然の激しい痛みに耐えきれずに医療機関に駆け込んでくる。
そのもっとも多い理由が、この『爪棘』なのです。

2.爪棘はなぜできるのか?

爪のトゲは自然にできるのではありません。
じつは、患者さん自身が作ってしまっているのです。


その背景にあるのが、巻き爪。巻き爪の患者さんの中には、
爪のくい込みを深爪で回避している方がたくさんいらっしゃいます。
むしろそれが普通と言ってもいいくらいです。
そして多くの場合は、深爪で痛みがなくなります。

しかし、自分の足の爪を切るのは意外と難しいもの。
理由としては手の爪に比べて、厚くて切りにくい、
遠くて見えづらい、身体が硬いと届きにくい、など。
特に炎症による腫れや痛みがある状態で、
家庭用の爪切りで正確に切るのは至難の業です。

そうした状況の中で、運悪く爪の一番深い所を切り残してしまうことがあります。
そこで残った爪を引き抜くように取り除こうとすることで、
爪の角がトゲ状に残る⇒これが爪棘誕生の瞬間です!
そして、直後~翌日あたりから激しい痛みに見舞われます。

3.爪棘の診断

爪棘の治療をする上で求められるのは、
当然ながら速やかに激しい痛みを取ることです。
そのために医師に求められるのが、正確な診断能力と的確な処置を行うスキル。

よくある「軟膏やテーピングで様子を見ましょう」というやり方は、
爪棘にはまったく通用しません。それは爪棘の症状は突発的かつ進行性だから。
患者さんの痛みは数日の間にドンドン悪化してしまいます。
患者さん側には経験のある医師を選ぶことが求められるのです。
そのため、医師も患者さんも爪棘の特徴についてよく知っておく必要があります。

1.病歴の特徴

爪棘は、長年『巻き爪』で悩んでいた患者さんによく見られます。
こうした患者さんは痛みを深爪で凌いできたケースが多いです。
痛みが出る数日前に爪を切ったというエピソードもよく聞きます。


痛みの原因が思いつかないという患者さんでも
こちらから「直前に爪切りをしませんでしたか?」と尋ねると、
「たしかに、2日くらい前に気になって爪を切りました。考えてみればその後、急に痛みが出てきたかも」と答える方が多いのです。

2.痛む方向の特徴

巻き爪は、爪の横が皮膚に食い込むため、
横方向から皮膚を押すと爪の脇の皮膚が痛みます。
一方で爪棘は、爪の先端に小さなトゲがあるため、
指先の方から皮膚にちょんと触れるだけで、
その部分が針で刺されたような鋭い痛みを感じます。

3.痛む場所の特徴

巻き爪は、一般的に爪の中央付近から先の方にかけて痛みがあります。
爪棘では、指先の部分に集中した鋭い痛みがあるのが特徴です。

診察をする際、医師が不用意に患部に触れると
患者さんは飛び上がるほど痛いので
医師は指先だけで痛みの方向や場所を確認することが大切です。

そして、患者さん自身の指で軽く触れていただき、
横からと先から、どちらか痛いですか?
どの辺が痛いですか?とひとつ一つ尋ねながら診断します。

爪棘が放置されると、膿を伴う化膿性炎症になって指全体が腫れたり
肉芽の中に爪棘が埋まっていることもあります。それが更に進行すると、
爪棘の先端が皮膚を突き抜けて飛び出してくることもあります。

他院手術例

特殊な爪棘の例として、深爪とは無関係に生じるものもあります。
巻き爪の根治術後に生じるもので、爪母の取り残しなど不適切な手術が原因。
今回、取り上げている通常の爪棘とは症状・予後共にまったく異なります。
根治術の再手術が必要ですので、手術を担当した医師にご相談下さい。

4.爪棘を治すのは簡単!

爪棘に対して、内服薬や軟膏の効果は気休め程度にしかなりません。
テーピングや巻き爪ワイヤー矯正は、むしろ症状を悪化させます。
肉芽であっても冷凍凝固は無効です。

明らかな爪棘にそうした治療を勧められたら、ただちに次の病院を探しましょう。

Q.では、爪棘を治すにはどうしたらいいの?

これはとてもシンプルです。爪のトゲを切り取れば良いのです。
的確に判断して速やかに爪棘を切ること。それ以外の方法はありません。
爪棘は医療用の鋭いニッパーで切り取りますが、
それには二つの方法があります。

■方法①/簡易手術

巻き爪シリーズで何度も説明してきた簡易手術。
局所麻酔注射をして、爪の端を幅2-3ミリ切除すると同時に爪棘を取り出します。

■方法②/爪甲除去

局所麻酔をして、あるいは麻酔なしで爪棘だけを切りとります。
肉芽を伴っていたり、炎症範囲が広い場合は簡易手術。
症状が指先先端に限局する場合は爪甲除去が適切です。
簡易手術について過去の動画で詳しく説明しています。

▼是非そちらをご覧下さい▼

【巻き爪まとめ第3回】やさしく解説:簡易手術編【肉芽に確実&即効】

処置の痛みとして最も楽なのは意外にも麻酔なしでの爪甲除去です。
理由としては、指先へ痛い注射をせずに済むからです。
爪切り自体より、麻酔注射のほうがむしろ痛いと判断されるケースでは無麻酔でおこないます。

じつは、ほとんどのケースで麻酔なしで爪甲除去が可能です。
ただし、無麻酔での爪甲除去を痛みなく終わらせるには
高い診断能力と熟練の技が要求されます。
また腫れが酷い場合や、患者さんの不安が強い場合は 注射による局所麻酔をおこないます。

5.爪棘の予防

爪棘は一旦作ってしまうと厄介なので、予防がとても大切です。

聞いたことがある方も多いと思いますが
巻き爪では、爪はスクエアに切りましょうとよく言われます。
爪の角を切らない、角を深爪しないように、ということです。
誤解が非常に多いのですが、爪をスクエアに切っていれば
巻き爪が治るということでは決してないのでご注意ください。

あくまで角をスクエアに保てば深爪にならないので
少なくとも爪棘を作って急激に悪化することはないというのが本当のところです。

とにもかくにも爪切りに気をつけることで
突然の激痛に見舞われるリスクは回避することができるでしょう。
旅行などの大切なイベントの直前に
突発的に激しい痛みに見舞われることはぜひ避けたいものです。

旅行や運動の直前に、深爪をすることの危険性をぜひご理解下さい。

6.まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

巻き爪シリーズ第7回の今回は爪棘について説明させていただきました。
冒頭で、爪棘は何年にも渡って巻き爪を深爪で凌いできた患者さんに多いとお話ししました。

患者さんは決して好んで深爪をしているわけではなく、
あくまで巻き爪のくい込みを回避しようと深爪し、時に失敗して爪棘を作ってしまうのです。

最悪の事態に陥る前に、早めにワイヤー矯正などで治療されることをお勧めします。
また爪棘を作ってしまった場合でも、治療により痛みが落ち着いたら同様に治療を検討して下さい。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

ご相談、お待ちしています。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
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