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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ

業界騒然!「ホクロ除去。手術VSレーザーどっちがイイ?」ホントのこと、言っちゃいます。

肌爪先生こと『神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
YouTube『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』、おかげ様で、チャンネル登録される方が増えてきました。ありがとうございます。
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

今回は「ホクロ除去」についてです。
方法としては『手術』と『レーザー』がありますが、はたして本当にイイのはどちらなのか?をテーマに、私の形成外科医としての考えを“同業医師への忖度抜き×完全患者さん目線”で、本当のところを包み隠さずお話ししていきたいと思います。

というと同業の先生方に怒られてしまいそうですが、ここはひとつ勇気を持ってお話しさせていただきますので、どうか最後までご覧ください。そして、私の考えに共感していただけましたら、是非ご家族やお友達にも教えてあげていただけると幸いです。

【目次】

1.ホクロの動画をたくさん見て感じたこと

2.ホクロ除去で必ず傷痕を残すのはなぜか?

3.手術とレーザーの傷痕の違い

4.手術の傷痕を目立たなくする工夫

5.手術VSレーザー、仕上がり以外のメリット・デメリットとは?

6.おわりに


1.ホクロの動画をたくさん見て感じたこと

昨今、YouTubeには医師が解説するホクロ切除動画が多数上がっています。
レーザーと手術のどちらが良いのかについても、たくさんの専門家による解説があり、私もいくつか視聴させていただいたのですが、そこでひとつ気づいたことがありました。

あくまで私が見た限りなのですが、動画で情報発信をされている方は、主にホクロ除去をレーザー治療で行っている美容系の先生がほとんど、ということです。

そして、それらの動画のほとんどが同じ結論に至っています。
それは「手術も良いのだけれど、やっぱりレーザーのほうがキレイになる」という結論です。一般の皆さんであれば「専門家が言うのだから、そうなのか」と納得されるのかもしれませんが、私は同じ医師として、また形成外科の専門医として、その結論にかなり違和感を覚えてしまうのです。

「いやいや、そうじゃないでしょ!」と…。黙っていられなくなり、この記事を書こうと思いました。

2.ホクロ除去で必ず傷痕を残すのはなぜか?

これを聞いて「えっ?」と思った方もいるでしょう。レーザーでホクロを取れば傷痕は残らないと思っていらっしゃいませんか?わかります。ただ、それは非常によくある、大きな誤解なのです。ご相談の多い皮膚病変の深さを、以下のイメージ図で比較してみましょう。

シミやイボは皮膚の浅い部分にある表皮病変。治療で取り除いても、そこに生じた欠損は正常の皮膚で覆われるので傷痕を残さずに治癒します。
一方で「ホクロ」というのは皮膚の真皮という深いところまであるので、手術かレーザーかに関わらず、取り除いた後は正常皮膚ではなく、瘢痕組織という傷痕の組織で埋められて治癒するという特徴があります。

レーザーでホクロを取るとⅢ度熱傷(皮膚の深い層にまで及ぶ重度の熱傷)に匹敵するキズになるのです。

瘢痕組織は少し、テカテカしていて正常皮膚とは質感が異なります。皆さんがキズと呼んでいるものそのものです。

3.手術とレーザーの傷痕の違い

ホクロをレーザーで除去すると、その大きさでやや凹んだキズ跡になる。これは多くの動画で説明されています。例えば直径1cmのホクロを除去すると、レーザーでは直径1cmの傷痕になります。

手術では除去後に1本の線状の傷痕になるよう糸で縫い縮めます。レーザーのように凹みこそしませんが、逆にキズの両端が盛り上がります。縫い縮める時に中央と端に近い部分では、皮膚の移動距離に差があるためで、犬の耳のように見えることからドッグイヤー変形と呼ばれています。

盛り上がる部分をあらかじめ切り取ることで、変更を目立たないように修正することはできますが、そうするとキズの長さは直径の3~4倍にする必要があります。つまり1cmのホクロ除去の場合、傷痕の長さは3~4cmの線になるということです。多くの動画で「手術ではキズが長くなる」と解説しているのはこのことを言っているのです。

4.手術の傷痕を目立たなくする工夫

傷痕が3倍になると聞くと、ひどく目立ってしまいそうですが、本当にそうなのでしょうか。実は手術ではキズ跡を目立たなくするテクニックがいくつかあるのでご紹介します。

術前(デザイン)
術後

ひとつは当たり前のようですが、丁寧に手術をすること。
長い傷痕もかなり目立たなくできます。写真のケースは若い女性の顎のホクロ。
私が手術で除去しました。左の手術デザインでは、傷痕がホクロ直径の3倍くらいになってしまうことがわかると思います。でも、右の術後1年の写真をご覧ください。いかがですか?長いキズ跡は目立っていませんよね。

術前
術後

こちらのケースも同じです。太い毛が生えていたので同時に処理してあります。術後の傷痕は見えますが、キズの長さは気にならないと思います。このようにキズが目立たないのは、手術ではキズ跡が細かい線になるので、レーザーと比べれば皮膚の表面から見える瘢痕組織の量が圧倒的に少ないからです。

術前
術後

一般的な考え方ではないのですが、ホクロ除去後の傷痕を目立たなくするために最も重要なのは、この「瘢痕組織をいかに少なくするか」ということだと私は考えています。

術前(他院でレーザー治療後)
デザイン
術後

また、別のテクニックとしてキズの長さ自体を短くすることもできます。写真のケースは上唇の盛り上がったホクロですが、慎重にキズを合わせることで、長さをホクロの3~4倍ではなく、2倍程度に抑えられました。
皮膚の伸展性や周辺筋肉の動きからドッグイヤー変形になりにくい場所だからです。じつはこの患者さんは、ほかのクリニックでレーザー治療を受けて、ホクロがまったく取れていないということで私のクリニックに来院されました。

そのクリニックの医師から「ホクロ表面にレーザーによるクレーター状の傷痕がみられます。最初にホクロを手術で取るとキズが3~4倍にもなるのでやめた方が良い」と説明されたそうです。論理的にはその通りですが、写真を見てわかるようにテクニックでカバーできることがお分かりいただけると思います。また、傷の治りの良い鼻やまぶたでは「くりぬき法」といって、ホクロ除去後に欠損を縫わずに自然と治るのを待つテクニックもあります。

術前(鼻尖部くりぬき)
術後

この場合、傷痕の長さはレーザーと同じです。このケースは鼻の大きなホクロで、欠損を縫い縮めてしまうと鼻の形が変形する心配があります。

「くりぬき法」を行うと欠損はレーザーと同じで瘢痕組織により埋められ、ホクロの大きさのやや凹んだキズとなりますが、レーザーの熱が加わらない分、治りが早くキレイに仕上がります。

術前(デザイン)
術後1回目
術後2回目

傷痕を長くしないテクニックは他にもあります。それが「連続縫縮術」という方法。写真は太ももにある500円玉を超える大きさのホクロ。普通に手術すれば傷痕の長さは8~10cmくらいになってしまう。かといって、レーザーで除去して500円玉大の傷痕を残せばこれも目立ちます。
このケースでは手術を2回に分けて行うことで、ホクロの長さより少しだけ長く、細いキズに抑えることができました。

術前
術後

このように手術の欠点とされるキズの長さも、経験とテクニックがあれば、ほとんどカバーできるのです。私は「どのようなホクロであっても、レーザーよりも手術のほうがキレイに仕上げられる」と考えています。

5.手術VSレーザー、仕上がり以外のメリット・デメリットは?

ここまで、ホクロ除去は手術のほうがレーザーよりキレイに仕上げられると説明させていただきました。しかし、それはあくまで私自身の経験から得た見解。そもそも誰がメスを握るのかによって手術の仕上がりも異なるので、単純に比較することはできません。
そこで、仕上がり以外の部分で、手術とレーザーにどのような違いがあるのか、以下の表にまとめてみました。表ではメリットは青、デメリットを赤で示しています。

まず健康保険による治療ですが、手術は美容目的でなければ可能です。美容目的ではない場合とはどういうことかというと「飛び出したホクロがひっかかる」や「急に大きくなって悪性が心配」といった理由がある場合です。費用は自己負担3割の場合、顔で2cm以下なら5000円程度。今回、この記事でお見せしたケースは全例自己負担4980円でした。

炭酸ガスレーザーによるホクロ除去に健康保険を使うことは、どのような理由があってもできません。費用はクリニックにより大きく異なり、5mm程度で一個あたり1~3万円くらいでしょうか。つまり、手術の2~6倍の費用がかかるということです。

手術では治療回数1回で取り残しがないかを病理検査で確認できますが、レーザーでは熱の影響がどこまで及んでいるのか判断しにくく、病理検査による切除範囲の確認もできないので、時々取り残しが起きます。多くのクリニックではその際の費用は無料のようです。

他院でレーザー治療を
受けたのち再発(鼻)
他院でレーザー治療を
受けたのち再発(手首)

写真の2つのケースは、他のクリニックでレーザーを受けたが再発してしまい、私のクリニックにいらしたケースです。鼻のホクロは毛穴部分で再発していますので、そこだけ追加でレーザー照射をしました。

手首のケースはテカテカしたキズの中央にホクロが再発しています。再発は仕方ないですが、レーザーの傷痕がタバコを押し当てた跡、いわゆる“根性焼き”のように見えてしまうのは問題です。こちらは傷痕ごと切除しましたが、今度はその跡が“リストカット”に見えてしまう心配もあったので斜めのキズに仕上げました。
こうしたケースでは最初から治療後の傷痕をイメージ(どう見えるのか?など)して治療にあたらなくてはいけません。

術前
抜糸前
術後

最後に抜糸です。手術では5~10日後に抜糸が必要となりますが、抜糸の翌日からキズ部分へのメイクが可能。レーザーでは、抜糸こそ不要ですがキズが自然になるのを待つため、メイクができるようになるまで10~21日と、手術の倍の日数がかかってしまいます。

いかがでしょうか。このように、ホクロ除去は仕上がり以外の部分でも、レーザーよりも手術のほうが有利なことが多いということが、おわかりいただけたのではないでしょうか。

6.おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。
ホクロ除去に関する動画のほとんどはレーザーのメリットは説明しても、手術のメリットはあまり語られていませんでした。
今回の記事と以下の動画で、手術には患者さんにとって好ましい点がとても多いことがお分かりいただけたと思います。ついつい熱が入ってしまい、ボリューミーな内容になってしまいました(猛省)。

キレイに仕上げるにはスキルとセンスが要求される方法なので、ご興味をお持ちの方はお近くの形成科専門医に相談されることをお勧めします。
神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の場合は、こちらからご予約を承っております。
ご連絡お待ちしております。


【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • ミラドライ公式認定医
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

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