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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ

ほくろ術式徹底比較!あなたに最適な術式は?【ほくろ除去の誤解シリーズ7】

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。

YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

さて、ホクロ除去の誤解シリーズ、
第7回の今回は「ホクロ手術の術式を徹底比較」と題して、
『手術の主な5つの術式』について、
メリット・デメリットを比較しながら詳しく説明します。

この記事を見れば、もう術式選びを医師任せにする必要はありません。

手術で後悔しないために、最適なクリニック選びができる方法を盛り込みました。

記事の最後には絶対避けるべきクリニックの特徴も説明しました。

ぜひ最後までご視聴いただき、私の考えに共感していただけましたら、

ぜひお友達やご家族と共有していただけると嬉しく思います。

1.ホクロ手術の術式とは

2.各術式についての詳しい説明

3.どの術式が最善か?

4.まとめ 避けるべきクリニックとは


1.「ホクロが取れない問題」とは何か?

医療現場では、ホクロの「手術」というと、一般にレーザー治療以外の治療法を指します。

私はこれまでの記事や動画の中で、「手術はレーザーよりも仕上がりがきれいになる」と繰り返しお伝えしてきました。ただし、これはすべての手術に当てはまる話ではありません。あくまで、私たち形成外科専門医が標準術式として行っている「切除縫縮術」を前提としたお話です。

切除縫縮術とは、メスを用いてホクロを紡錘形(葉っぱ型)に切除し、できた皮膚欠損をシワの方向に沿って丁寧に縫い縮める手術方法です。この術式では、傷跡が目立ちにくくなるよう配慮した縫合が可能で、仕上がりの美しさを重視した治療が行えます。

しかし一口に「手術」といっても、メスを使わない方法や、傷を縫わない術式も存在し、実際にそうした手術は広く行われています。そして重要なのは、術式によって術後のキズ跡の目立ち方は大きく異なるという点です。そのため、医師から「手術でホクロを取ります」と提案された場合には、どの術式が適用されるのかを正確に確認しておく必要があるのです。

特に、顔のホクロを美容目的で除去する場合、キズ跡をいかに自然に、目立たなく仕上げるかは非常に重要なテーマです。医師にすべてを任せきりにしてしまうと、術後に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。「レーザーではない=手術だから安心」と短絡的に判断せず、どの術式で行われるのかまで理解したうえで、慎重に比較・検討することが大切です。

2.各術式についての詳しい説明

ここからは各術式について、ひとつひとつ詳しく見ていきます。

◎切除縫縮

まず、我々形成外科医の標準術式である「切除縫縮」です。

術式  方法キズ跡メリットデメリット
切除縫縮メスで紡錘形に切除  シワに沿って二重に縫合細く長い線  瘢痕組織が最小限で 
キズ跡が一番目立たない
ホクロより長いキズ  
熟練のスキル・経験が必要 

これは、メスを用いてホクロを葉っぱのような紡錘形に切除し、シワの方向に沿って縫い合わせる方法です。皮膚の深い層と浅い層、つまり真皮と表皮をそれぞれ丁寧に縫合し、二重に縫い合わせます。このように二層で縫合する理由は、皮膚同士を精密に合わせるため、そして将来にわたってキズ跡を細い線のまま保つためです。

最大のメリットは、キズ跡が非常に目立たないこと。瘢痕の量が圧倒的に少なく、さらにシワの方向に沿って縫うことで、キズを自然に隠すことができます。顔の筋肉の動き、つまり表情を邪魔しにくい点も大きな利点です。

一方でデメリットは、ホクロの大きさに対してキズが長くなること。そのため、このキズをできるだけ短く、かつ目立たないように仕上げるには、熟練した技術と豊富な経験が欠かせません。手間もかかり、医師のスキル差が最も出やすい術式でもあります。

▲切除縫縮については、こちらの動画でも詳しく説明していますので是非ご覧下さい。

◎くりぬき法

次に「くりぬき法」です。

術式(別名)方法キズ跡メリットデメリット
くりぬき法
 (パンチ法)
メス又はトレパンで  
 円形に切除     傷は閉じずに開いたまま 
パンチの形・大きさ 瘢痕組織が多い 
凹みが目立つ 
スキル・経験要求せず
切除縫縮より短いキズ レーザーよりキレイ
キズ跡が凹む   
場所によってキズが目立つ
トレパンでは大きなキズ 

これは、トレパンと呼ばれる円形の刃物やメスを用いてホクロをくり抜き、縫合を行わずにキズを開放したまま治す方法です。メスを用いた場合は、ホクロとほぼ同じ形・大きさのキズになります。一方、トレパンでは構造上、ホクロより一回り大きな円形のキズになります。

この術式のメリットは、縫合の技術を必要とせず、キズの向きを考える必要もなく、単純にくり抜くだけで済む点です。そのため、医師による技術差が最も出にくい術式といえます。キズは1〜3週間ほどかけて瘢痕組織で埋まり、二次治癒していきます。その過程で瘢痕組織が多く形成されるため、キズ跡は凹みやすい傾向があります。この点はレーザー治療と似ていますが、熱が加わらない分、治りは比較的早く、キズ跡もレーザーよりきれいになることが多いです。

ただし、部位によってはキズが目立ちやすくなります。例えば、頬や唇などでは、くり抜き法はおすすめできません。形成外科では、鼻にある大きなホクロなどに用いられることがありますが、その場合でも必ずメスを使用します。その理由は、トレパンは切れ味が劣るうえ、刃のサイズが0.5mm刻みの円形に限られるため、ホクロの形や大きさによっては必要以上にキズが大きくなってしまう可能性があるからです。

◎きんちゃく縫合

きんちゃく縫合は、くりぬきでできた円形の穴を、

巾着袋のように糸でギュッと絞って閉じる術式でタバコ縫合とも言います。

術式(別名)方法キズ跡メリットデメリット  
きんちゃく縫合
(タバコ縫合)
トレパンやメスで円形切除  糸で絞って閉じる   シワに沿わない  星形で不規則 小さいキズ 不規則キズで目立つ  形成外科では内臓に限る

この方法のメリットは、くり抜き法と比べてキズが小さくなる点です。

一方でデメリットもはっきりしています。キズの周囲に、巾着を絞ったようなシワが寄り、それが不規則なドッグイヤー変形として残ります。さらに、中央部分にはどうしても隙間が生じやすく、その部分は二次治癒となるため、キズ跡が目立ちやすくなります。

また、シワの方向に沿わない不規則な星形のキズとなるため、部位によっては表情の動きを妨げ、引きつれを生じることもあります。こうした理由から、私たち形成外科専門医は、美容目的で皮膚に巾着縫合を行うことはありません。そのため症例写真はありませんので、参考として確認したい場合は「ほくろ」「巾着縫合」で画像検索をしてみてください。

なお、形成外科においても、外から見えない内臓手術では、断端処理やチューブ固定の目的で巾着縫合を用いることがあります。用途がまったく異なる手技である点は、誤解のないよう補足しておきます。

◎高周波メス

高周波メス切除はレーザーと同じで、熱でホクロを焼き切る方法です。

術式(別名)方法キズ跡メリットデメリット 
高周波メス
(電気メス)
ホクロの形に切除
キズは閉じない又は縫合
くりぬき又は巾着縫合と同じ 火傷跡が加わる出血を抑えながら 短時間で沢山切除熱損傷を伴いキズが目立つ 取り残しのリスク 

これは“電気メス”とも呼ばれる方法で、電気エネルギーを用い、出血をコントロールしながら効率よく切除できるのが特徴です。そのため、短時間で多くのホクロを除去できるというメリットがあります。キズの処理は、縫合せずに開放したままにするか、あるいは巾着縫合を行うケースが一般的です。

一方でデメリットも明確です。高周波メスはレーザーと同様に、必ず熱損傷による火傷を伴います。そのため、同じ閉創方法であっても、メスやトレパンと比べてキズ跡が目立ちやすくなる傾向があります。また、切除と同時に組織が焼けてしまうため、病変が完全に取り切れているかの確認が難しく、取り残しのリスクが高い点も欠点です。

形成外科では、高周波メスをイボなどの浅い病変の除去や止血目的で使用することはありますが、ホクロ除去に用いることはありません。そのため、申し訳ありませんが、高周波メスによるホクロ除去の症例写真もありません。参考にしたい場合は、画像検索をしてみてください。

◎皮弁形成術

皮弁形成術はやや特殊な方法です。非常に大きなホクロや、鼻や口周り、

関節近くなど皮膚の余裕がない場所でキズを閉じる場合に使われます。

術式(別名)方法キズ跡メリットデメリット
皮弁形成術大きなホクロをその形で切除
 隣接する皮膚をスライド
させてキズを閉じる
ホクロのキズ+
隣接する皮膚のキズ
大きなキズを閉じる際 緊張が分散されて
皮膚への負担が小さい
キズ跡が複雑で不自然 トラップドア変形 熟練と高いスキルを要求

隣接する健康な皮膚の一部をスライドさせてキズを閉じます。メリットは、皮膚の緊張を分散させることで、キズにかかる負担を小さくできる点です。そのため、比較的大きなキズを閉じるのに適した術式といえます。一方でデメリットもあります。キズの形が複雑で不自然になりやすいこと、さらにトラップドア変形と呼ばれる皮膚の盛り上がりを生じることがあります。また、高度な技術と豊富な経験が求められ、術式の選択や操作を誤ると、スライドさせた皮膚が壊死するリスクもあります。

私は、こうした複雑で不自然なキズ跡を好まないため、顔に対して皮弁形成術を用いることはほとんどありません。掲載している症例写真は、手の甲に生じたボーエン病(皮膚がんの一種)のケースです。関節近くで病変が大きかったため、皮弁形成術によって閉じました。

最終的な術式の選択は外科医の考え方にもよりますが、顔のホクロ除去であれば、多少無理をしてでも切除縫縮術で閉じるか、あるいは二回に分けて閉じる連続縫縮術を選びます。そのほうがキズ跡がシンプルになり、結果として最も目立ちにくい仕上がりになると考えているからです。

3.どの術式が最善か?

では、これまで説明してきた術式の中で、どれが最善の方法なのでしょうか。

結論から言えば、それはホクロを実際に診察した担当医師が勧める術式です。

多くの場合、その術式は、その医師が最も得意とし、経験を積んできた方法でもあります。切除縫縮術を勧める医師に、くり抜き法を無理に依頼しても良い結果は期待できませんし、その逆も同様です。術式には向き・不向きだけでなく、医師ごとの得意分野がはっきり存在します。もし、提案された術式がご自身の考えや希望と大きく異なる場合、医師を説得しようとするのではなく、クリニックを変える判断をすべきです。

幸い、ホクロ治療に関する情報は、現在ではネット上に数多く存在します。本コンテンツもその一つですが、まずはご自身の希望に近い術式を事前に調べることから始めてください。そして、その方法に十分な経験と実績を持つクリニックを選ぶことが重要です。クリニックは、ぜひ複数の候補を比較し、慎重に選んでください。これまでの動画でも繰り返しお伝えしてきましたが、治療結果は、皆さんがクリニックを選んだ時点で、すでに決まっているのです。

4. まとめ 避けるべきクリニックとは

今回の記事では、ホクロ手術に用いられる術式についてお話ししました。内容を参考にしながら、慎重にクリニックを選ぶことで、より良い治療結果が期待できるはずです。ただし残念ながら、避けるべきクリニック、そもそも候補に入れるべきではないクリニックも存在します。


最後に、ホクロ治療のトラブルを数多く扱ってきた当院の経験をもとに、特に注意すべきクリニックの特徴についてお伝えします。

◎執刀医に形成外科の専門医資格がない:

充分なスキルや安全な治療に必要な知識が欠けている可能性があります。

YouTubeを見ていると残念なことに形成外科専門医でも到底勧められないクリニックも存在します。しかし手術を受けるなら最低限抑えておいていただきたい項目です。

◎取り放題:

食べ放題レストランのように、定額でいくつでもホクロを取るというサービス。一生付き合っていくことになる顔のキズ跡が、その選択で本当に良いのでしょうか。一つひとつに十分な時間と手間をかけることが難しい「取り放題」の施術で、良い結果を期待するのは現実的ではありません。結果として、修正手術が必要になり、かえって費用が高額になるリスクもあります。

◎説明の途中で料金が変わる:

決断を迷っていると、その場で料金を下げて無理に決断させようとするクリニックがあります。しかし、価格設定の透明性は、クリニックの信頼性に直結する最も分かりやすい指標です。自分たちの仕事に自信とプライドを持っているクリニックであれば、その場の判断を急がせるためのディスカウントはありえません

◎契約を急がせる:

「今だけキャンペーン中」「今日決めるなら特別料金」などと、即決を迫るやり方。これは患者さんから冷静な判断力を奪う営業手法であり、非常に危険なクリニックの特徴といえます。本来、信頼できるクリニックであれば、迷っている患者さんに決断を急がせることはありません。「一度持ち帰って、もう一度よく考えてみてください」と伝えるはずです。

◎プラチナ施術や様々なオプションが設定されている:

これはアップセルと呼ばれる典型的な営業手法です。「一生に一度の手術だから」という患者さんの不安や思いに付け込み、本来は不要な高額施術や物品の購入へ誘導されるリスクがあります。実際に、あるクリニックではホクロ1つの治療で30万円を超える料金を提示された患者さんが、複数いらっしゃいました。

◎カウンセラーやセールレディーが対応する:

医師ではなく、営業担当者が説明を行うクリニックは、最も避けるべき存在です。責任の所在が不明確になり、治療の主体が医療ではなく営利に置かれていることが、その時点で明らかだからです。私としては、最も避けていただきたいクリニックだと考えています。

ここに挙げたような特徴を持つクリニックを避けるだけでも、ホクロ治療におけるリスクは大きく下げることができます。もちろん、すべてが一概に悪いと断定するつもりはありません。ただし、こうしたクリニックを候補に入れる場合には、特に慎重に検討することを強くおすすめします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

どうぞ、次回の更新を楽しみにお待ちください。

尚、神楽坂肌と爪のクリニックで治療をご希望の方は、当院ホームページの問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。ご連絡、ご相談、お待ちしています。

こう

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
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