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神楽坂 肌と爪のクリニック

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神楽坂「肌爪日記」クリニックブログ

治療後の経過に関する誤解。症例写真はいつ撮影?【ほくろ除去の誤解シリーズ4】

神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。

YouTubeにて『神楽坂肌と爪のクリニック公式チャンネル』も開設しておりますので、
登録がまだという方はぜひチャンネル登録をよろしくお願いいたします。

ホクロ除去の誤解シリーズ第4回、今回取り上げるのは、ほくろ除去後キズの完成にいたる迄の

経過に関する誤解です。

これからホクロを取ろうと考えている方で、

いつからメイクできるのか、
症例写真みたいにキレイになるのはいつか?
どの季節に治療するのが最適か?
結婚式などのイベントの何ヶ月前に治療を受ければ良いか?

これらについて正しくイメージできていますか?

治療前に是非知っておくべきことばかりですが、

」実はここには思い込みや誤解が大変多いのです。

「こんなはずじゃ無かった」と後悔しないように本記事を是非最後までご覧いただき、
ご家族やお友達とも共有していただければ嬉しく思います。

1.ホクロ除去後には必ずキズが残る

2.術後いつからメイクできる?

3.症例写真の真実

4.瘢痕の成熟過程

5.キズ跡にテープを貼るべきか?

6.ほくろ除去に最適な季節はいつか?

7.ホクロ除去はイベントのどのくらい前に受けるべきか?

8.まとめと大切なメッセージ


1.ホクロ除去後には必ずキズが残る

まず向き合っていただきたいのは、

ホクロ除去後には「必ずキズが残る」という事実です。


「レーザーのような先進的な機器を使えば、ホクロをとっても傷跡が残らないのではないか?」
「美容外科で10万円も払えば跡は残らないのではないか?」

これは非常にありがちな思い込みです。

ホクロ除去後のキズを楽観的に考え、過小評価すれば後悔することになるでしょう。

我々医師にできるのは、

ホクロを手品のように消し去ることではありません。
出来るだけ目立たないキズ跡に置き換えると言うことです。
そしてそのキズ跡は、長い時間をかけて徐々に目立たなくなっていく物なのです。

もちろん最終的な結果は術式や医師のスキルによって大きく異なりますが、
完成までの経過は同じように辿ります。

手術後のキズの赤みやデコボコを目の当たりにして不安に陥る患者さんは少なくありません。
私たちは、その不安に向き合い、誤解を解きつつ正しい情報を提供できるよう努力しています。
今回の記事・巻末に埋め込んだ動画は、その取り組みの一環として制作しました。

2.術後いつからメイクできる?/h2>

まず、「ダウンタイム」という言葉について、改めてお話しさせてください。


ダウンタイムとは
「治療後の赤みや腫れ、かさぶたなどが目立ち、社会生活に支障が出る期間」
のことです。

その期間は治療法によって異なり、
メスによる手術で1週間前後、レーザーではその2、3倍というお話を前回の動画でさせていただきました。まだの方はこちらの動画も是非ご覧下さい。


この時期を過ぎればキズに軟膏を塗ったり、バンドエイドで覆う必要は無く、
医師の許可があればキズの上に直接メイクもできるようになります。

しかしまだ完全に治ったというわけではありません。


この時期は傷跡はまだ赤みが目立ち、デコボコやしこりを触れることがあります。

皆さんにとって気になるのは、それらがキレイに無くなってキズが完成するまでの期間、
言い換えればノーメイクでも傷跡が目立たなくなるのはいつか?と言うことではないでしょうか?

つまり皆さんにとってのダウンタイムは
医師の考えるダウンタイムよりずっと長いと考えるべきなのです。
皆さんは治療前にその期間を知っておくべきですし、我々医師はそこまで配慮した上でしっかりと説明すべきだと思うのです。

3.症例写真の真実

医療機関のホームページ等には、
術後のイメージを分かりやすく伝えるために多くの症例写真が掲載されています。

Ai生成イメージです

悪質なクリニックを除けば、症例写真には切り取り以外の加工や修正はされません。
キレイに仕上がった多くの症例写真があればクリニックを選択する上での安心材料になるでしょう。

皆さんはそれらをご覧になって、術後の状態を想像されることと思います。
しかし治療後直ぐに、症例写真のようになると誤解してしまうと「こんなはずじゃなかった」と落胆することになります。

あの症例写真というものはいつ撮影されるものかご存じでしょうか?

誤解されている方も多いのですが、治療後すぐに症例写真のようになるわけではないのです。
実は、ほくろに限らず、皮膚の術後写真というものは通常「手術の1年後」撮影されます。
学会報告や医学雑誌など医師同士の情報交換や、専門医の資格審査でも6ヶ月から1年の写真を示すのが標準です。

なぜならキズの完成には丸一年かかるからです。

キズ跡は通常3ヶ月をピークに赤みと硬さが目立ち、1年かけて周りの皮膚と馴染んでいきます。
赤みだけでなく手術によってできた「ドッグイヤー変形」と呼ばれる傷口の端の盛り上がりも、
多くの場合時間とともに目立たなくなるので、キズを短くするために部位によっては敢えてドッグイヤー変型を残すこともあります。

言い換えれば一年以内はキズ跡が良くなる余地があり、
1年を過ぎてしまうと固定化され、その後の改善はほとんど期待できないということです。]

つまり症例写真を見る時は、ホクロ除去一年後の状態としてイメージする必要があるのです。
決して一週間後ではないことに留意して下さい。

また症例写真はあくまでイメージです。

決してそうなることが保証されている訳ではありません。

実際には、ホクロの位置、大きさ、術式、医師のスキル、患者さんの肌質などによって結果が大きく異なることもしばしばです。
かといって経過の思わしくない写真ばかり提示すれば患者さんは混乱することでしょう。

症例写真は旅行会社のパンフレットにある「イメージ写真」位の気持ちで見ると良かもしれません。




これは裏話ですが、
術後1年後の写真を撮影させていただくのは実は簡単ではありません。

お忙しい中、問題なく仕上がった結果をわざわざ見せに来ていただける奇特な方はいらっしゃらないからです。当院の術後症例写真は、どれも別のホクロを取りに来院されたリピーターの方達です。
結果を気に入っていただいてリピートしていただけるわけですから、症例写真に結果の良いものばかり集まるのはある意味当然かも知れません。

4.瘢痕の成熟過程/h2>

キズは直ぐ治っても、キズ跡として完成する迄には一年もの長い期間がかかるわけですが、その間、身体の中では何が起きているのでしょう?

治癒からキズ跡の完成までは次の四つの段階に分けられます。


止血期(数分~数時間):ホクロ除去後、最初の数時間で血小板が集まって止血され修復準備が始まります。

  • 炎症期(数日)数日で炎症細胞が集まりキズの修復が進みます。毛細血管が拡張して必要な材料が血液を介して運び込まれます。この時期は腫れや痛みがありますが、炎症が過剰にならないようロキソニンなど消炎鎮痛剤でコントロールします。

増殖期(1~3週間)線維芽細胞がコラーゲンを生成して肉芽組織を作り欠損を埋めます。酸素と栄養を供給するために新しい毛細血管が作られます。周辺からは上皮細胞が伸びてキズが覆われます。ここまで約1〜3週間です。

成熟期(数か月~1年)数ヶ月かけて肉芽が成熟し、コラーゲンに置き換えられます。傷口が引き締まるためしこりとして触れます。この状態は未成熟瘢痕と呼ばれ、修復途中のため豊富な血流により赤みも強くなります。半年以降、瘢痕の成熟が進むとコラーゲンがキレイに並び替えられ、柔らかくなっていきます。役目を終えた毛細血管が本来の密度と太さに戻るので傷跡の赤みが薄くなっていきます。このように約1年かけて完成したキズ跡は成熟瘢痕と呼ばれます。

このような経過が滞りなく進むことでキズ跡は徐々に目立たなくなっていきます。

適切な方法でホクロを取り除き、創傷治癒の正しい見識に基づいて理想的な環境を整え、創傷治癒の邪魔をしないように自然治癒に導くのが医師のとるべき姿勢だと考えています。

経過中に行うことで結果を左右するほどの治療機器や特別な塗り薬は存在しません。
本当に必要なのは職人的スキルと長い経験、そして時間の経過といった地味なものばかりです。
ホクロ除去を受けたら、あとは紫外線の悪影響を避けながら、焦ること無く瘢痕の成熟を待つことで、1年後には得られるべき最良の結果となるでしょう。

5.キズ跡にテープを貼るべきか?

患者さんから、ホクロ治療後にテープを貼った方が良いか?というご質問を良くいただきます。

キズ跡をキレイにするためにテープを貼ることを勧める医師が大変多いからです。
いや、むしろそれが普通と言っても良いでしょう。


テープを貼るのはキズの緊張を緩めたり、紫外線を避けるのが目的です。

実は、私はホクロ除去後にテープを貼る必要はないと考えています。


四肢で使うことがありますが、顔には使いません。
顔にテープを貼るのは見た目が良くないですし、快適性に欠けるので1年間も続けるのは簡単ではないと思います。
なによりテーピングで本当に緊張が取れるのか疑問に思っています。
また糊によるかぶれや色素沈着を起こすリスクもあります。

私の考えではキズの緊張を緩めるのは、
手術の時点で医師の手によりしっかり行われるべきなのです。

患者さんはキズ跡に過度の緊張がかからないよう数ヶ月の間安静を心がければ良いのです。
日焼け対策はもちろん必要ですが、日焼け止めを塗るほうが簡単かつ快適で続けやすいと思います。

私はキズがキレイになるかどうかは、術後のテープ云々ではなく、治療法の選択と医師のスキルで決まると考えています。

つまりは実は皆さんがクリニックを選んだ段階で結果は既に決まっているのです。

ですから、治療後にあれこれ心配しても無意味かもしれません。

そんなことよりも良いクリニック選びに注力する方が、余程大切かつ現実的と言えるのではないでしょうか?

6.ほくろ除去に最適な季節はいつか?

誤解が多いのですが、


夏場で気温が高いとバイ菌が増えるからキズが化膿しやすいというのは全く間違いです。
実は感染のリスクに季節による差異はありません。

正しく管理されていれば、どの季節であっても化膿はしません。

これもネットに書かれているのか、季節による紫外線の強さを気にされる患者さんも多いです。
実際にはこれも結果に差はありません。
紫外線はキズの赤みを長引かせ、色素沈着のリスクを高めますので対策が必要です。
そしてその期間は瘢痕が成熟するまでの「治療後1年間」なのです。つまりいつ治療するにしても季節は一周するのですから日焼け対策が必要なことに変わりありません。

これらのことからホクロ除去に最適な季節というものはなく、いつ治療を受けても差はないということがお分かり戴けるかと思います。

7.ホクロ除去はイベントのどのくらい前に受けるべきか?

結婚式などの大切なイベントが控えている場合、その何ヶ月前に治療を受ければ良いでしょうか?


これまでの説明でお分かりかと思いますが、イベントの1年以上前ということになります。
しかし、それでは間に合わないという方も多いでしょう。


実際はキズ跡の赤み程度ならコンシーラーで簡単に隠すことができます。

飛び出した大きなホクロはさすがに隠せませんのでイベントの2~3ヶ月位前までに除去すれば良いでしょう。もちろんそれには良い治療を受ければ、という前提があることは言うまでもありません。

酷い凹みや歪みが残ってしまった場合、メイクでも隠すことができず、場合によっては再手術が必要となることもあるからです。

なお結婚写真の前撮り等、撮影の場合は、傷跡やホクロがあっても加工修正できるので安心して下
さい。


繰り返しになりますが、治療後1年というのはノーメイクでもキズが目立たなくなるまでの
期間なのです。

8.まとめと大切なメッセージ

今回の記事では、ほくろ除去後の経過について、ありがちな誤解を解きながら解説しました。

ポイントは次の2点です。


1.焦らないこと
:術後すぐにキズ跡がキレイになるわけではありません。完成は1年後であるこ
とを忘れないで下さい。途中経過が予想と異なっていることに慌ててしまい、別の医療機関に修正
を依頼したりすれば状況が複雑化してしまい、決して良い結果には結びつきません。じっくり結果
を待つ心構えで治療を計画して下さい。

2.信頼できるクリニック選び:傷跡が目立つかどうかを決めるのは、ここが全てです。キズの説
明をごまかしたり、ぼやかしたりする医師は避けて下さい。是非時間をかけて複数候補から慎重に
選びましょう。ネット上の問合せではなく、必ず執刀医から直接話しを聞いてから判断して下さい。
最初にカウンセラーや大学病院派遣のバイト医が説明をするクリニックを選ぶ際はよほど慎重にな
って下さい。説明と治療結果の責任は執刀医自身が負うべきだからです。

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【記事監修・執筆】

医師 医学博士 院長 野田 弘二郎

  • 日本形成外科学会専門医
  • 皮膚腫瘍外科指導専門医
  • プロネイリスト
  • オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
  • パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
  • 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員

<詳しいプロフィールはこちら>

神楽坂肌と爪のクリニック 形成外科|腫瘍皮膚科|美容皮膚科
院長 野田 弘二郎(日本形成外科学会専門医)
副院長 野田 真喜(女性・日本形成外科学会専門医)
〒162-0825
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