ピアスが外せない!そんな時どうする?【セルフケアと治療】
神楽坂肌と爪のクリニック』の院長、野田弘二郎です。
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さて先日、神楽坂肌と爪のクリニックはピアストラブルの専門クリニックとして
日本テレビ「月曜から夜ふかし」という人気バラエティー番組で取り上げていただきました。
2025年5月5日放送で「ピアスがどうしても外せない」トラブルを
病院で解決するという内容でした。
皆さんも、もしピアスがどうしても外せなかったらどうしますか?とても困りますね?
・強引に外して大切なピアスを壊してしまったら困る
・つけたままでは会社や学校で差し支える
・放っておいて耳たぶの変形など大きなトラブルにならないか心配…など
じつはピアスが外せないというご相談は、それほど珍しいものではありません。
もしそうなった時でも困らないように、あるいは既にそうなって困っているという方のために今回テーマとして取り上げようと思った次第です。
ぜひ最後までご覧いただき、
お友達やご家族とも共有していただけると嬉しく思います。
【ピアスが外せない」の4つのパターン】
ピアスが外せない、というトラブルには大きく分けて次の4パターンがあります。
【パターン1】キャッチが硬くはまって外せない
<特徴と原因>
これはもっとも多いパターンで、特にファーストピアスの患者さんで起きがちです。
ファーストピアスは1~2ヶ月間入れたままにする必要があるため、

キャッチが簡単には外れないよう、硬くはまるように作られているからです。
また、はじめてということもあり、ピアスの扱いに慣れてない方がほとんどのため、
怖くてうまく外せないという方も多くいらっしゃいます。
<放置した場合のリスク>
通常は放置してもリスクは特にありません。

タイミングを見て、ピアスを開けてくれた病院で外してもらうことをおすすめします。
その際、セカンドピアスを持参して“入れ替え”を依頼するのも良いでしょう。

ただし、耳たぶがキャッチによって締めつけられて、腫れ、赤み、浸出液がある場合は
大きなトラブルに繋がる恐れもあるので、すぐにピアスを開けた医師に連絡して下さい。

消毒液は絶対にNG。
カブレによって状況を複雑化させるので
くれぐれも「自宅で消毒して様子を見る」ことだけはしないでください。
症状が悪化して、後悔することになるかもしれません。
<自分でできる対処法>
ファーストピアスに構造は、通常のスタッドピアスと同じです。
キャッチは硬くハマまっていますが
ピアスヘッドとキャッチを掴んで強く引き離せば外せます。

焦っていると余計に外せなくなるので、すこし時間をおいて、
気持ちに余裕がある時に再チャレンジすると、上手くいくでしょう。
それでも自分で外すのが怖い…と感じたら、
ピアスに慣れた人に頼んで外してもらうのもおすすめです。
<病院での治療>
ピアスの扱いに慣れた医師なら、道具を使わず素手でサッと外してくれるでしょう。
ピアスを多く扱う医療機関であれば、外すための専用器具を備えている場合もあります。
また、構造は異なりますが、
市販の「スナップリングプライヤー(千円程度で購入可能)」という工具でも代用可能。
キャッチの輪の部分にプライヤーの先端を差し込み、広げることで外すことができます。
こうした工具を使えば、固くて外れにくいキャッチも比較的簡単に外すことができますが、
ピアスやキャッチが傷ついたり、壊れたりするリスクも高くなります。
万が一そうなっても、ピアスの破損を弁償してくれる医療機関はありません。
医療の現場では、患者さんの健康が常に最優先されます。
相談する際には、このことについて理解しておく必要があります。
<予防>
ファーストピアスの場合は、万が一ピアスが外せなかったときに備えて、
あらかじめ医師に相談しておくことをおすすめします。
セカンドピアスの場合は、耳につける前に、
手元で何度かつけ外しの練習をして、慣れておくようにしましょう。
特に、高級なピアスに多く見られる「小さなボタンで外すタイプのキャッチ」は
構造が複雑なため、必ず事前に練習が必要です。
【パターン2】ねじ込みピアスが硬く締まって外せない

ボディピアス用のダンベル型ピアスに多いトラブルです。
ダンベル型ピアスは、ボルト側とナット側が同じ形状をしていることが多く、
どちらがどちらか分かりにくいため、回す方向を間違えやすい傾向があり、
外そうとして逆に強く締めてしまい、余計に外れなくなるケースがよく見られます。
また、先端がボール型など掴みにくい形状であることも多いため、
ネジを緩める際にオイルを使うと、かえって滑りやすくなり外せません。

素材が粗悪な悪い製品も少なくないため、カブレを起こすことがあり、
その浸出液でツルツル滑って外せないこともよくあります。
<放置した場合のリスク>
すぐに外せなくても、直ちに大きなトラブルにつながることは少ないですが、
タイミングを見てピアスを開けてもらった病院に相談することをおすすめします。
キャッチが外せない場合と同様に、腫れ・赤み・浸出液などの症状がある場合は、
すぐにピアスを開けてくれた医師に連絡しましょう。
<自分でできる対処法>
ねじ込み式ピアスは、ヘッドを正面から見て反時計回りに回すと外せます。
ちなみに鏡越しに見る場合は、時計回りです
滑って回せない場合は、石鹸でピアスを洗って乾かした後、
飲食店などで使用される“ニトリル手袋”をつけて回してみてください。
それでもダメな場合は、ラジオペンチを2本使う方法もありますが、
ケガや破損のリスクがあるため、無理せず病院に相談しましょう。
<病院での治療>
病院では通常、ペアンやプライヤーといった手術器具でピアスを掴み、回して外します。
どうしても外れない場合は、ピアスの隙間から超硬刃の特殊ニッパーで軸を切断することもありますが、この器具を備えている医療機関は限られています。
また、腫れや痛みが強い場合は、局所麻酔の注射を使うこともあります。
ピアスの材質によっては、手術用の高価な刃物が一度で使えなくなるリスクもあるため、
治療費は麻酔込みで1万円以上かかることもあります。
なお、器具を使った処置では、ピアスやキャッチが破損する可能性も高いため、
病院では患者さんの健康が常に最優先であるということについて、
よくよく理解した上で治療を依頼するべきです。
<予防>
ねじ込み式ピアスは、耳につける前に目の前で何度か練習してください。
回す方向や、どのくらい締めると外れにくくなるかがわかります。
また、ピアス装着時は、耳たぶの裏側から軸を通し、ナット側が表にくるようにつけます。
そして、ナット側を利き手で時計回りに回す習慣をつけておくと、着脱時に迷いにくくなります。
【パターン3】ピアスが壊れて外せない
<特徴と原因>
ピアスやキャッチが壊れて正常に付け外しができない状態です。

比較的珍しく、「月曜から夜ふかし」の取材で治療したのはこのパターン。
ボディ用のねじ込み式ピアスを転用して耳たぶにつけていたら、
ネジ部分が壊れて空回りするようになり外せなくなったというケースでした。
<放置した場合のリスク>
番組に登場していた患者さんは、実に8年の間ピアスが外せなかったそうです。
放置してもリスクというほどのことはありませんが、ピアス周辺が不潔になり、
臭くなるなど問題になることがあります。
毎日石鹸でよく洗って清潔を保ちましょう。
腫れや赤み、浸出液がある場合は大きなトラブルになることもあるので、
すぐにピアスを開けてくれた医師に連絡して下さい。
<対処法>
自分で対処するのは難しく、症状を悪化させてしまう恐れもあるため、
無理せずにピアスをあけてくれた病院に相談しましょう。
<病院での治療>
先ほどの、ねじ込みピアスが硬く締まって外せない場合と同じです。
まずはペアンかプライヤーといった手術器具で
ピアスを掴んで回して外すことを試みますが、
無理な場合はピアスの隙間から超硬刃という特殊なニッパーで切断します。
腫れや痛みが強い場合は、注射による局所麻酔を使うこともあります。
<予防>
ずばり、ピアスは正しく使いましょう、ということです。
ボディピアスは、耳たぶにつけることを想定して作られていません。
また、品質の良いピアスを選びましょう。ねじ込み式の場合、
機械加工の精度が低い安価な製品はトラブルが非常に多いです。
通販での購入は避けて、確かな品質の製品を、店舗で購入すると
トラブルのリスクが下がります。
【パターン4】ピアスが耳たぶにめり込んで外せない
<症状と原因>


ピアスやキャッチが皮膚にめり込んで外せなくなった状態は、埋入ピアスと呼ばれます。
ピアスやキャッチが完全に見えなくなるほど皮膚に埋まってしまうことも多く、
これは2番目に多いトラブルです。

ほぼ全例がピアス初心者で、それも多くはセルフでピアスをあけた人です。
また、耳たぶの厚い人に多いです。

キャッチや短い軸のピアスが落ちそうで不安になり、
キャッチを強く締めすぎてしまうこと、
また選んだピアスやキャッチが小さすぎること、
ピアスの軸が耳たぶの厚みに対して短すぎることなどが、埋入ピアスの主な原因です。
最初は、ピアスやキャッチによる軽い腫れや
小さなキズから始まり、それが悪化して腫れが強くなると、
さらに締め付けがきつくなります。
そして最終的には、ピアスやキャッチが皮膚にめり込み、
気づいたときには見えなくなっていたというのが典型的な経過です。
<放置した場合のリスク>
二次感染による化膿、ケロイド、耳たぶの変形など
大きなトラブルに繋がりますので速やかな対処が必要です。
特に軟骨部はリスクが高いです。
<対処法>
ピアスヘッド側が半分くらい埋まっている場合なら、
キャッチを外して押し出せば外せます。
ただし、多くの場合ピアスホールは塞がってしまいます。


ピアスヘッドが半分以上埋まっている場合や
キャッチ側が埋まっている場合は自分で外すのは困難です。
摘出手術が必要なので、すぐにピアスを開けてくれた医師に連絡して下さい。
<病院での治療>
注射による局所麻酔をして、埋まったピアスを摘出します。
取り出すためにピアスを切断することもあります。

ピアス摘出後は、ピアスホールは塞がってしまいます。
ピアス穴を残したい場合は、レスキューピアスに入れ替えて2ヶ月間留置します。
<予防法>
初心者はピアスが落ちるのが怖くてキャッチを締めつけてしまいがちです。

ピアスをつける時、ピアスと耳たぶの間には1~2ミリの隙間が必要です。
特にファーストピアスの場合は腫れも考えて2ミリ以上の隙間を望ましいです。
また何故か初心者が選びがちな


ピアスヘッドやキャッチは、特に皮膚へのめり込みリスクが高いため避けてください。
市販のピアッサーは軸が短いものが多く、耳たぶが厚い方ではめり込みやすくなります。
耳たぶが厚い方は、セカンドピアス以降も必ず軸の長いものを選ぶようにしましょう。
そうしなければ、繰り返しトラブルが起こる可能性があります。
まとめ
今回はピアスが外せない時の対処についてお話ししました。
ピアスというのは、トラブルリスクの高いアクセサリーです。
だからこそ、ピアスを開ける場合は医療機関で、
それもピアストラブル対応に実績のある医師に開けてもらうことが大切です。
というのも、患者さんから時々伺う話ですが、
ピアスをあけておきながら、いざトラブルになると
「ピアスはあけるがピアストラブルは専門外なので専門の医療機関へ行って下さい」と
突き放すような医療機関もあると聞いているからです。
医師側もトラブルに対処できる経験とスキルがなければ
患者さんにピアスを開けるべきではありません。
どうしても解決しないという方は、
神楽坂肌と爪のクリニックへご相談下さい。
御連絡お待ちしております。
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【記事監修・執筆】
医師 医学博士 院長 野田 弘二郎
- 日本形成外科学会専門医
- 皮膚腫瘍外科指導専門医
- プロネイリスト
- ミラドライ公式認定医
- オールアバウト公認 肌と爪の健康ガイド
- パリ第7大学ドゥニ・ディドロ微少外科手術ディプロマ取得
- 日本形成外科学会、国際形成外科学会、日本美容外科学会、日本皮膚外科学会、日本美容医療協会会員